職場での臭い問題を解決! 加齢臭・ミドル脂臭を防ぐ効果的な対策とエチケット

職場における加齢臭やミドル脂臭の問題は、働くビジネスパーソンにとって避けて通れないテーマです。睡眠不足や疲れが臭いを悪化させることがあり、過度に気にしすぎることも逆効果です。本記事では、臭いのメカニズムを解説し、職場で実践できる対策とエチケット、適切な向き合い方などについて、東海大学理学部化学科の関根嘉香教授にお話を伺いました。


東海大学理学部化学科 教授 関根嘉香
1966年東京都生まれ。慶應義塾大学理工学部、同大学院理学研究科修了。日立化成工業株式会社に勤務。1993年東海大学大学院理学研究科にて博士(理学)号取得。2000年より東海大学に勤務し、2011年より教授。専門は環境化学、皮膚ガス学。主な受賞歴に、環境化学技術賞(日本環境化学会)、松前重義賞(学術部門)(東海大学)、室内環境学会賞・論文賞(室内環境学会)などがある。

睡眠不足が職場での臭いを悪化させる原因?

加齢臭は、加齢に伴う自然の現象であり、ある程度は避けられません。一方、ミドル脂臭は、発生の原因が明確であるため、対策を行うことである程度抑えることができます。

ミドル脂臭は、皮膚常在菌が汗に含まれる乳酸を分解して発生した「ジアセチル」と、皮脂のさまざまな酸化物が混じりあって生じる臭いです。このミドル脂臭の発生は、睡眠不足や疲労が蓄積することで促進されるというメカニズムがあります。寝不足やストレスが続くと、皮脂の分泌量が増え、汗の質も悪化しやすくなるため、臭いが強くなりやすいのです。また、息が切れるほど急いで走ると、臭いが強くなることもあります。これは、激しい運動+酸素不足で疲労するためです。以上から、しっかりとした睡眠を確保し、日頃から疲れを溜め込まないよう心がけることが、臭いを抑える基本的な対策となります。

必要な対策は取りつつも、加齢臭やミドル脂臭を、過度に恐れる必要はありません。これらの臭いは、シャワーや入浴で適切に洗えば落ちるため、日常的なケアを怠らなければ問題は少なくなります。具体的には、夜の入浴に加えて朝にもシャワーを浴びる習慣をつけたり、汗をかいたらすぐに着替えたりすることが効果的です。ただし、臭いを気にしすぎるあまり、過剰なケアを行ったりストレスを過剰に感じてしまったりすると、かえって皮脂分泌が増えて臭いが悪化する可能性があります。

ビジネスパーソン必見!職場で実践できる臭い対策ポイント

職場においては、自分の体臭に気をつけるだけでなく、周囲の人や職場環境にも配慮することが求められます。職場でできる臭い対策として、以下のポイントを実践しましょう。

職場で実践できる臭い対策ポイント
  1. 定期的に換気する
    空気がこもると臭いが滞留しやすくなります。窓を開けて換気し、新鮮な空気を取り入れることで、臭いを軽減できます。
  2. 上昇気流に注意
    人間は熱を発する存在であるため、自分の周りの空気が熱せられて上昇します。自分が座ったままで立っている人と接すると、臭いが頭から抜け上昇気流に乗って相手に届いてしまうことがあります。立ち上がって対話することで、臭いの問題を回避できます。
  3. こまめに拭き取りシートを活用する
    汗をかいたら、汗拭きシートなど濡れたものでこまめに拭き取りましょう。特に首筋や後頭部など、臭いが発生しやすい部位を意識してケアすることが大切です。
  4. デオドラント製品を適度に使う
    制汗スプレーやボディシートを適度に使用し、清潔に保つことで、周囲への配慮になります。

これらの対策を日常に取り入れることで、職場の人間関係を良好に保ち、快適な環境をつくり出せます。

臭いはセンシティブな問題――職場での正しい向き合い方は?

職場における臭いの問題は、非常にデリケートでセンシティブです。臭いについて指摘することは相手を傷つけるリスクがあり、対応を誤ると人間関係に深刻な影響を及ぼすことがあります。

大前提として、「臭いが気になる」と直接伝えるのは避けるべきです。どれほど正当な指摘でも、相手の自尊心を傷つけ、モチベーションの低下や信頼関係の崩壊につながりかねません。指摘する際は、「最近疲れていませんか?」「きのうも残業で寝ていないのでは。体調は大丈夫ですか?」などと会話してみましょう。相手も嫌な気分にならず自然に受け入れやすいため、職場の臭い解消につながるかもしれません。

一方、臭いに対して過敏になりすぎるのも問題です。大切なのは、「お互いさま」という意識です。職場ではさまざまな人が働いており、それぞれ異なる体臭があります。多少の体臭は自然なものとして受け入れる姿勢が、円滑な職場環境を維持するためには重要です。相手の臭いに対する寛容さと、自分のエチケットを守るバランスが取れた環境こそが、ビジネスパーソンとして成熟した職場といえるでしょう。

臭いの問題は避けられないものですが、正しい対策と適切なマナーを心がけることで、働きやすい職場環境をつくることができます。相手を思いやる心と、自己管理の意識を大切に、快適なビジネスライフを送りましょう。

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2025年2月28日時点の内容となります。
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