3か月に一度、マーケット情報や不動産に関する市況、最新のトピックスなどをお届けします。本記事は2024年夏に発行された、関西向けの内容となります。
【Market REVIEW】宿泊者数、インバウンド消費額は上昇傾向が継続
- 大阪府と京都府における宿泊者数も回復が進み、コロナ禍前を上回って推移しています。5月の2府合計の延べ宿泊者数は7,875,880人と、過去最高人数となる2019年8月の7,284,840人を超えています。円安を背景に外国人宿泊者数が伸びている一方、日本人宿泊者数は減少傾向に転じています。さらに、日本人宿泊者数を府別にみると大阪府では横ばい傾向にあるものの、京都府で減少傾向となっています。
- インバウンドによる旅行消費額も増加傾向にあります。訪日外国人消費動向調査によると、2024年1-3月期における京都府では2019年比+96.5%となる840億円、大阪府は同+31.0%の2,259億円となっています。費目別にみると、京都府ではおよそ40%が宿泊費となっていますが、大阪府では40%程度が買物代に支出されており、2府間での宿泊料金の差もありますが、消費の傾向にも特徴がみられています。
物価は上昇が継続、実質賃金はプラスに
- 国内の6月の消費者物価指数は、前年同月比+2.6%と2か月連続で上昇幅は拡大しています。財においては同+3.8%と再度上昇しており、特に電気・ガス・水道代で大きく上昇しています。これは政府による補助が縮小したことが主な要因とみられます。
- 毎月勤労統計調査によると、6月の名目賃金の指数となる現金給与総額は前年同月比+4.5%と5月の同+2.0%から大きく上昇幅が拡大しました。また、実質賃金においては同+1.1%と27か月ぶりのプラスとなりました。しかし、内訳をみると夏の賞与支給の貢献が大きく、来月以降、春闘の結果がどの程度反映されるか注目されます。
小売販売額、百貨店売上も上昇が継続
- 物価上昇の後押しもあり、小売販売額は増加が継続しています。商業動態調査によると、6月では28か月連続で前年同月比を上回っており、3か月連続で上昇幅が拡大しています。自動車小売業のみ前年同月を下回っており、一部自動車メーカーの出荷停止の影響がいまだに見られております。業態別では百貨店が最も上昇幅が大きく、次いで季節家電が好調であった家電大型店の上昇幅が大きくなっています。
- 百貨店協会によると、6月の売上高総額は5,018億円余(前年同月比+14.0%)と28か月連続でプラスが継続しています。総売上高に対するインバウンドのシェアは13.2%となっていますが、27か月連続の上昇となる661億円と調査開始以来2番目となる売上となりました。
新築マンション価格は上昇傾向が継続
- 不動産経済研究所によると、近畿圏の新築分譲マンション価格は、2024年上期(1-6月)では5,813万円(前年同期比+21.8%)と調査開始以来の最高値となりました。また、㎡単価は4年連続で最高値を更新しており、契約率も目安となる70%を超えた74.1%と、堅調な市況感がみられます。
- 東京カンテイによると、6月の近畿圏における70㎡あたり中古マンション価格は2,850万円(前月比+0.3%)と横ばい傾向が継続しています。大阪市では再び上昇傾向となっており、3か月連続での上昇となる4,030万円と、集計開始以来で初となる4,000万円台となりました。
オフィス空室率は足元で悪化も需要は堅調
- 三鬼商事によると、2024年7月の大阪ビジネス地区における平均空室率は4.35%(前月比+0.12ポイント)とわずかに悪化しています。平均賃料は12,129円/坪(同+0.08%)と上昇が継続しています。新築ビルが空室を残したまま竣工したことなどにより、空室率は足元で悪化したものの、拡張移転など前向きな需要がみられています。
- 令和5年度テレワーク人口動態調査によると、近畿圏を勤務地とする雇用型テレワーカーの割合は24.3%と令和3年の27.7%をピークに低下傾向にあります。出社率の増加によりオフィス面積の需要も上昇しており、堅調なオフィス市況の一因と考えられます。
【Market TOPICS】不動産鑑定問合せ件数の推移(関西圏)
- 不動産鑑定の問合せ件数は、今後の不動産売買の先行指標と考えられます。
- 関西圏の不動産鑑定問合せ件数は、2024年2Qで大きく増加し、集計開始以来の最高件数となっています。わずかではありますが、ホテルと物流に対する問合せ件数が増加しています。
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