【DXインタビュー】 摂津金属工業株式会社 ~中堅・中小企業が企業DXに取り組む意義とは~

厳しい事業環境の中で、持続的な企業成長のために企業のDX化が重要と考えている中堅・中小企業の経営者は多い。一方で、「従業員がITツール・システムを使いこなせない」「デジタル化を推進できる人材がいない」などの理由でDX化を推進出来ていない企業も多い。今回は、りそなデジタルハブ(企業のDX化を支援するりそなグループ関連会社)とともに、経営者自らが旗振り役となって業務のDX化に取り組んでいる「ハコ」づくり専門メーカー摂津金属工業株式会社の代表取締役社長 伊藤高之氏、総務部取締役部長 北谷哲也氏に話を伺った。(取材日2023年6月5日)

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DXに取り組むきっかけについてお聞かせください。

もともと、先行して経費精算の部分だけはデジタル化に取り組んでいたんですけども、その他の総務メニューは今まで紙ベースで取り扱っていましたので、それを効率よく運用していきたいと思いました。その上でデジタル化を進めるに当たって、まずどういうソフトがあるのか、どういうシステムがあるのか、どういう部分が変えられるのか、そういうニーズを持っていました。

DXへの取り組み内容についてお聞かせください。

取り組みは2点ございまして、一つはチームスピリット※1さんの製品を使って、勤怠管理、そして稟議書の発行であるとか、経費精算のメニューを導入させていただいております。もう一つは、アイル※2さんにご相談して生産管理の部分、これは営業から製造・在庫・管理に関わる全てのメニューを一つのシステムで管理していく取り組みを行っています。

※1 働き方改革プラットフォーム「TeamSpirit」シリーズは、勤怠管理、工数管理、経費精算など従業員が毎日使う業務を一元化したクラウドサービスで、働き方の“可視化”をすることで取り組むべき活動を洗い出し、生産性の向上を目的としている。

※2 アイルの豊富な知識とノウハウから生まれた販売・在庫管理システム「アラジンオフィス」は、中堅・中小企業様を中心に導入実績は5,000社以上で各業界特有の商習慣にも対応可能。

取り組む上で難しかった点についてお聞かせください。

経営者ですので、何か新しいことに取り組みたいというものは常に持っていました。そして、DX化を進めようと、社内で発信をしていたんですけれども、なかなか従業員の方の反応が鈍い。経営者は新しいことをしたい、ただ従業員の方はなるべく変化を求めない。そういうギャップがあったので、そこが一番難しい点かなと思いました。

DX化に向けての社内浸透/社内コミュニケーションについてお聞かせください。

なかなか業務のデジタル化は、従業員発信で進むことではないと思います。変化をつけることなので、ちゃんと従業員と対話をした上で、導入するシステムを決めてトップダウンでこれをしましょうと。導入の必要性とどういう風に業務の効率化ができるのかということをちゃんと説明した上で、ある程度トップダウンで一気に進めるということが必要なことだと思います。

インタビューにお答えいただく伊藤社長
インタビューにお答えいただく伊藤社長

DXへの取り組みに対しての従業員の皆さんの反応はいかがでしたか。

初めは使いこなせるんだろうか、皆さんちゃんとシステムを使ってくれるのかなという思いがあったんですけれども、実際聞いていると、自然と使いこなせるようになっていっている。もちろん使うための説明会等を順次やっていって進めていったんですけれども、意外と抵抗感なく運用できたと思います。

DXに取り組んで良かったことについてお聞かせください。

実務的には、今まで紙で扱っていたメニューがデジタル化されたので、非常に担当者からも効率が良くなったと聞いております。特に勤怠管理に関しましては、働き方の自由度を増やしていっておりますので、テレワークやタイムシフト出勤などに対応するのにやはり紙ベースではなかなか管理が難しい。そんな中でデジタル化したことによって管理が楽に行える。それで担当者からも好評です。

北谷部長
私は総務の責任者でございますので、先ほど社長が申し上げましたように、担当者が非常に紙ベースで大変だったというところです。特に弊社の従業員のうちの半分が美作(岡山県)の工場におりまして、そちらの勤怠管理は一人で対応しておりました。月の始めは2日3日ほど丸掛かりでやっていたところが、非常に効率が図れるようになりました。実際に2023年2月から勤怠管理システムを導入いたしまして、スマホですぐ出勤・退勤登録が出来るということで非常に好評を得ております。

総務部門責任者の北谷役員
総務部門責任者の北谷役員

DXへの取り組みは今後も加速させていくお考えですか。

最初にりそなデジタルハブさんから提案された内容というのは、非常に高度なSFA(営業支援システム)であったりとか、CRM(顧客管理システム)でしたが、まだ我々はそこまでデジタル化進められないよという話をしました。その中で、じゃあ日々触れるものをまずデジタル化していきましょう、例えば勤怠管理システムを導入することによってデジタル化への抵抗感を無くしていきましょうという話をいただいたことを非常に覚えております。実際に使ってみると、やはり紙でやるよりも非常に効率良くなった。これは、管理面だけじゃなくて、ユーザーの従業員の方も非常に使いやすいという結果になっておりますので、これから次のシステム等を導入していけば、より一層従業員の意識も変わっていきますので、DXへの取り組みは進んでいくのではないかなと思います。

中堅・中小企業が積極的にDXに取り組む意義についてお聞かせください。

これから「人材不足」は必ず起こり得る問題ですので、なるべく業務を効率化してAIなどに取り組めないことにリソースを集中していかないといけないと思います。やはり中小企業・中堅企業こそ従業員一人当たりの生産性を上げる為には、デジタル化をどんどん導入していかないといけないと思います。

DXに取り組む上で経営者が持っておくべき考え方についてお聞かせください。

先ほど申しましたように、経営者というのは新しいものをどんどん導入していきたい。ただ、現場レベルではなるべく今までと同じことを変えたくないというこのギャップは必ずあると思います。経営者がどこまで現場レベルの実務を理解するか、現場の方は何が出来るかというところまで分かった上でシステムを導入しないと、システムを導入しましたが実際にドライブできない等の問題が発生します。ちゃんと実務レベルを経営者は分かった上で、システムを導入していかないといけないと思います。

りそなデジタルハブのサポートを受けるに至った経緯や判断基準についてお聞かせください。

デジタル化をしたいという漠然としたイメージは持っていましたが、展示会などに行って各企業の話を聞いてみたりするんですけれども、では実際どれがいいのか比較はなかなか難しいと感じていましたので、一度りそなデジタルハブさんと面談させていただきました。それでどういう悩みを持っているのかをちゃんとヒアリングしていただいた上で、我々に適切なシステムを紹介してもらいました。そういう一連の流れがありましたので、非常に我々も見識が深まって分かりやすい説明を受けた上で、システムを導入していくことが出来たと思います。

りそなデジタルハブとのDXセッション※3について気づきや得られたことなどをお聞かせください。

記憶に残っているのは、最初に「社長の夢は何ですか」と聞かれた点です。そこからどういうビジョンを持っているのか、それを実現するにはどういうことをしていかないといけないのか、それにあたってデジタル化はどこができるのか。そういうステップを踏んだ上でお話が出来たので、このステップを踏むことが重要だったんだなと実感しております

※3 お客さまが“将来どのようにありたいか”をりそなデジタルハブのコンサルタントとともに深くヒアリングし、その姿に向けてのロードマップ策定を行う取り組み

りそなデジタルハブのサポートについて良かった点についてお聞かせください。

我々に合ったレベルでのシステムを紹介していただいているんですけれども、実際、紹介していただいて企業の方の説明を受けて「ちょっとこれは違うな」といった場合も、断り易いように間に入ってもらえたということも良かったです。実際マッチング出来たところに対しても常に伴走していただいて、うまく運用出来るようにサポートしていただいていると実感しております。

北谷部長
いろいろな展示会も見させていただいたんですけれども、どこに決めればいいかということが正直判断が迷うというか、自分たちで判断出来ないところがありました。そのタイミングで、りそなデジタルハブさんがお越しいただいてアドバイスをいただきました。言ってみれば、決めるきっかけになったかなという風に思っております。

摂津金属工業株式会社
摂津金属工業株式会社|SETTSU・IDEAL|19インチラック,サブラック,ケースからトランクまで「ハコ」の専門メーカー
1950年の創業以来、主として電子機器収納用のラックやケース、トランクなどの金属製の「ハコ」づくりを行っている専門メーカー。電子部品メーカーとして発祥し、映像放送や生産設備そして情報通信へと、時代の変遷とともに移りゆく日本の産業構造に合わせ、お客様に最適な「ハコ」を提供してきた。「100年企業を経て永続を目指す。」というビジョンのもと、これからも安心で頼もしい「ハコ」づくりを続けていくことを使命としている。

りそなデジタルハブ株式会社
りそなデジタルハブ (resona-digitalhub.co.jp)
DXに関するおこまりごとをワンストップで解決するというスローガンを掲げ、お客さまの“ありたい姿”を共有し、その夢を実現するための提案や継続的な支援を行っている。

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課題解決の考え方及び法人決済ツールについて、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2023年7月28日時点の内容となります。
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