中小企業も採用でSDGsをアピールすべき?

MIRASUS(ミラサス)キャリア 代表 堀澤憲己
1993年東京都生まれ。2016年上智大学法学部法律学科卒業。新卒でインターネット広告の営業を経験後、人材系のスタートアップ企業にてマーケティング責任者として従事。2023年に株式会社ミラサス代表取締役に就任し、SDGs・サステナビリティ分野特化のwebメディアを複数運営しながら、企業のサステナビリティに関する広報PR・プロモーション支援などを行う。


今、学生など若い人たちのSDGsへの関心は、大人の想像を超えて高まっています。これを採用活動に活かさない手はありませんが、一方でやり方を間違えると、入社後のギャップに苦しむことにもつながりかねません。企業はSDGsを採用にどう活用すべきなのか、SDGs・サステナビリティに特化した就活情報サイト『MIRASUS(ミラサス)キャリア』を運営する株式会社ミラサスの堀澤憲己代表に話を伺いました。

SDGsへの取り組みで「志望度が上がる」学生が大半

SDGsへの関心が若い人たちの間で高まっている現在、就活においても、その企業が「SDGsに取り組んでいるかどうか」を重視する学生が増えています。

SDGsを重視する学生は多い

この調査データでも分かるように、「就職活動において、企業がSDGsに取り組んでいることを知ると志望度が上がりますか?」という質問に、なんと7割もの学生が「志望度が上がる」「どちらかと言えば志望度が上がる」と回答しているのです。

こういったトレンドを考えると、企業側が採用活動でSDGsをアピールしない手はないと言えます。ただし、行き過ぎたアピールは考えものです。SDGsへの取り組みに共感して入社したのに、配属された職場はSDGsとなんの関係もなく、上司もSDGsについて全く理解がない。「こんなはずじゃなかった…」となる新入社員もいるのです。

例えば、企業トップは環境問題に取り組んでいるが、一緒に働く先輩社員にはその意識が全くないというケースは起こりうるでしょう。企業側も当然、こうしたリスクについては考え、事前に対策をすべきです。

まずは社内での意識を高めよう

大手企業の場合、社員数が多い一方、直接的にSDGsに関する業務に取り組んでいる人員数はわずか。広報や採用担当者であっても自社の取り組みについて十分に把握しきれていないケースもあります。ましてや営業部など現場社員たちはよく分かっていなかったりします。単に会社としてSDGsに取り組んでいる、というだけでなく、現場への意識の浸透も大切なのです。

中小企業の場合、SDGsへの取り組みにかかるコストに二の足を踏む経営者はまだまだ多いのですが、いざやるとなったら、会社規模がそこまで大きくない点で、社員全員が意識を共有しやすいというメリットがあると思います。また、コストをかけずともできる取り組みはいくらでもありますし、身近なことでは、紙を無駄に印刷しないとか、節電をするなど、誰もが少し意識するだけでできるごく当たり前のことは、コスト削減にも直結します。

また、大手企業も中小企業も共通して言えるのは、企業理念やビジョンに沿って、SDGsに関して今できている取り組みと同時に、やりきれてない課題点もしっかり学生には伝える必要があるということです。理想に対して実現できていないのはなぜか?どんな課題を解決できればよいのか?など考えを伝え、その上で、一緒に解決を図りながら取り組みができる人材を採用することが求められるのではないでしょうか。

さらに、中長期の目線で考えると、SDGsに取り組まない企業は大企業のサプライチェーンから外されるリスクもありますから、SDGsを敬遠するのではなく、無理なくできる小さな取り組みから進めていただけたらと思います。

学生の求める発信とは?

学生の視点に立つと、分かりやすいコンテンツで、かつ継続的に発信している企業に好感が集まります。まだ社会に出ていない彼らは、経済やビジネスの知識は十分ではないため、学生の目線に立った分かりやすい発信が必要になります。また、SDGsは一過性のものではなく継続的な取り組みが求められます。発信についても継続的に届けることで、「しっかり取り組んでいる企業だ」という印象を持ってもらいやすくなります。

また、インターンシップや会社説明会など、学生と実際に接点を持つ際に、具体的な取り組みを説明することも今後ますます求められるようになるでしょう。

社外に出ていくのもいいかもしれません。例えば、大学の臨時講師を引き受けて自社の取り組みを説明しつつ、学生と直に対話するとか、学生団体とのコラボで講演をするなど、自社のSDGsへの取り組みを学生に向けて発信できる機会はたくさんあると思います。

中小企業にとって「知名度が低い」ことは、採用時に大きなネックになっていると思いますが、SDGsにしっかりと取り組み、それを積極的に発信していくことで、認知度を高めることが可能です。

高校生や大学生は就活に関係なくとも、学校で企業のSDGsに対する取り組みを調べたりしています。そのため、一般的に知られていない企業であっても、取り組みを発信することで、学生が就活を始める前の段階で、自社の存在を知ってもらえる大きなチャンスがあると言えるでしょう。

SDGsについて、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2023年10月13日時点の内容となります。
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