部下からパワハラ認定されないために知っておくべき「上手な叱り方」

パワハラが社会問題化した今、上司と部下の間でどのようなコミュニケーションをとるべきかに悩む人が増えています。そこで問われているのが「上手な叱り方」です。

「叱る」の主目的は「リクエスト」

パワーハラスメントの概念が世の中に広く浸透した今、頭では「パワハラをしてはいけない」とわかっていても、つい感情に任せて部下を叱りつけてしまい、アンガーマネジメントを学ぶという管理職は少なくありません。一方、「パワハラ」という概念が浸透しすぎたがゆえに、「部下に対して、どう怒っていいのかがわからない」という悩みが広がっています。「何があっても叱ってはいけない」ということではなく、「相手に伝わる適切な叱り方」を学ぶ必要があるのです。

そもそも、「怒る」と「叱る」の違いとは何なのか? 一般的には、「怒る」は身勝手な思いからとる行動、「叱る」は相手のことを思ってとる行動と捉えられがちですが、言葉の定義でいえば、「叱る」というのは「上司が部下を叱る」「親が子を叱る」といったように、目上の人が目下を怒ることを指します。

「叱る」の主目的は「リクエスト」です。そして副目的が「自分の気持ちを伝える」なのですが、多くの人は主目的と副目的を逆転させてしまいがち。つい気持ちだけで怒ってしまい、相手を責めすぎるきらいがあります。

たとえば、報告を怠る部下に対して上司が怒るときによく見られるのが、「なぜ、報告してこないのか」「こちらにどれだけ迷惑をかけているか、わかっているのか」といった言葉です。この発言の中には「リクエスト」が入っておらず、相手を責めているだけです。つまり、「自分の気持ちを伝える」という副目的がメインになっている状態です。

これに対し、主目的である「リクエスト」とは、「報告書を期日までに出してください」といったような「相手への要求」を指します。部下を叱るときには、「自分の気持ちを伝える」ではなく「相手にリクエストを伝える」が大切なポイントとなります。この「上手に叱る技術」は、ロールプレイングを行うなど練習によって上達させることができます。

やってはいけない叱り方

叱るときにやってはいけないポイントがいくつかあります。まずは「機嫌で叱ること」です。同じ出来事があったとしても、昨日は叱ったけど今日は叱らない、この人には叱るけれどこの人には叱らない、といったように、機嫌や感情で「叱る基準」が変わるようでは、叱っても相手に伝わりません。

また、人格攻撃もやってはいけません。叱らなければいけない対象は、あくまで事実や結果、行動。人格や性格、能力を否定してはいけないのです。たとえば、部下が遅刻した際、「お前は社会人としてダメだから遅刻するんだ」といった言い方をするケースも見られます。しかし、「社会人としてなっていない」というのは叱る側の勝手な思い込みです。この場合は「遅刻した」という事実に対して叱責すべきなのです。

そのほか、「人前で叱る」「感情をぶつける」も、やってはいけない叱り方です。

叱るときに使ってはいけない言葉

叱るときには、相手を責めるような攻撃的な言葉使いをしないように気をつける必要があります。たとえば、「前から言っているけど」という言葉は、叱る側が「自分がいかに正当か」をアピールするための言葉であって、叱られる側は「今言われても、それは関係がないだろう」と、反発を覚えることになります。

「いつも」「絶対」「必ず」といった表現も同様です。叱られる側は、「いつもじゃないのに」と反発を覚えることでしょう。さらに、「ちゃんと」「しっかり」「きっちり」といった「程度言葉」も、叱られる側からすれば、「結局、具体的にどうすればいいのか」と迷うことになり、上手な叱り方とはいえません。

また、叱るときには「なぜ、これができないのか」という「できない理由」を聞きたくなりますが、それよりも、「どうしたらできるようになるか」という未来に向けた視点で叱ることが大切です。

「上手な叱り方」の3つの共通点

 上手な叱り方の共通点として、次の3つがあります。

  1. 「基準」が明確であること
  2. 相手への「リクエスト」が入っていること
  3. 適切な「表現」を使っていること

「基準」とは、いつでも、どこでも、誰に対しても、同じルールで叱っているのかということです。その基準は納得性が高いかどうかも重要です。たとえば「俺の気持ちをわかれ」という叱り方だと、納得性は高くありません。具体的で明確な基準をもって、穏当な態度で、相手を責めずに叱ることがポイントです。

また、叱る相手との関係性も「叱り方」に影響しますから、普段からコミュニケーションの時間を増やすことも大切です。

厚生労働省 第7回「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」議事録(2018年1月26日)
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会「悪い叱り方、上手な叱り方」

課題解決の考え方及び人材戦略について、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2025年3月28日時点の内容となります。
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