チリも積もれば改善になる?〜「何かおかしい」と思ったら〜

日本の企業がよく行うものといえば、改善提案が代表的なものです。海外でもKAIZENという日本語そのままの単語で定着していたりもする立派なものですが、同時に従業員の悩みの種になっているケースも見られます。
企業によっては月に1回、多ければ週に1回の改善提案をノルマとされていて「考えつくネタはもう出し尽くしてしまった、絞り出すにも限度がある!」と、頭を抱えてしまう方も少なくありません。そのために意味のない改善提案を出してしまい、かえって仕事の手間を増やしてしまっては本末転倒です。
そうならないためにも、本当に改善につながる改善提案を出していきたいところです。今回は、そんな改善提案のネタ出しに使えるポイントをご紹介いたします。

ヒントは日々の業務に潜んでいる

印象が強く、かつ目立つところに対しての改善はすぐに出尽くしてしまいます。だからと無理やりアイデアを絞り出していると忘れがちですが、本来の改善とは日常業務をより効率的に運営するために行うもの。新たな改善のタネとなるものは、日常的に仕事をこなす中で見つけた違和感に注意することで見つけることができます。

そこで大事になるのが、メモをとること。
「これ、面倒だけど本当に必要なのかな?」と思ったらメモ。
「ここ、本当に合っているのかな?」と、少しでも疑問が湧いたらメモ。
「明確には分からないが、何かまずい気がする」と直感したら、やはりメモ。
仕事中に違和感を覚えたら、どんな些細なことでも「改善になるかもしれないタネ」としてメモをとっておきましょう。

たとえば、仕事のやり方を刷新したのに、今では不要になった作業を残してしまっていて、無意味な作業になっているということもあるかもしれません。その逆も然りで、以前は不要だったが今は必要な作業が抜けていた、ということも考えられます。
そういった違和感をメモに取っておけば、必要・不必要な項目を見つけることが容易になります。
また、メモを取る時点では取捨選択はせず、違和感と思ったものはタネとしてすべて残しておくことが大事です。

見つけたタネをもとに改善点を整理する

改善提案で悩んでいるのが自分ひとりではない場合、同じく改善提案を出さなければいけない仲間と一緒に集まって考える機会を設けるのが効率的です。
日々の業務で見つけたタネが示すのは、つまり改善しなければいけない問題点。その中でも既存の改善の対象になっていないものを見つけ出すことで、現在改善が必要な点を整理することができます。
そのために行うことは、タネとしてとっておいたメモにある無駄や違和感が、どうして起こっているか、なぜその作業が必要なのかの根拠を考えること。複数人の視点から見ることで、その特定も効率的にできます。根拠を特定しその対策を考えれば、それが改善案となるわけです。
また、違和感と思ってとったタネが、実はそうではなかったという場合でも、正しい根拠をもって今後の作業ができるようになるので無駄にはなりません。

出した改善案が本当に改善案なのか考える

日々の違和感から問題点を見つけ、その対策を考えました。最後に必要なのが、「この対策は本当に改善案なのか?」を考えることです。これは最終的に歩留まりが良くなる、または仕事の成果が向上する結果を得られるか、ということになります。

仕事やコストの最適化を目標とする改善なら、なるべくプラスアルファの工数は増やしたくはありません。
たとえば明確な目標なく設定された「○○をチェックしてミスをなくす」などの案は、考えたその場では簡単に思えるようなことを日々の業務にプラスアルファしてしまい、いざ実行となるとかえって時間がかかる上、結果にあまり変化がない……といったことになりがちです。
不要な業務を洗い出して省く、またはより効率的な別の手段に置き換えるなどといった、マイナスアルファによって改善することも考えるべきでしょう。

ここまで改善のタネを見つけること、そしてタネを改善案にするための考え方をお届けしてきましたが、いかがだったでしょうか。
改善提案とは、日々の業務をより良くするためのもの。無理やり絞り出したり、画期的なアイデアが必要と考えず、業務の不便や危険の解消を提案するものと考えましょう。
実際の業務に就いているあなたが覚えた小さな違和感は、きっと信用できるものです。その違和感を放置せず、改善につなげていきましょう。

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2024年8月9日時点の内容となります。
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