中小企業におすすめ「難しくないDXの始め方」

中小企業がDXに取りかかる際に、まずどこから手をつけていいかを悩みがちです。そもそもDXは何を目指すものなのか、どう取り組みを始めたらよいのかなどについて、全国の中小企業にDX導入支援を提供している中小機構の広報・情報戦略統括室 総合情報戦略課と、経営支援部 連携支援課にお話を伺いました。

IT技術の進歩でDXはより簡単に

近年、企業におけるDX(デジタル・トランスフォーメーション)が大きく注目を集めています。しかし、実はDXという言葉が生まれたのは2004年と意外にも古いのです。インディアナ大学のエリック・ストルターマン氏が提唱したのが始まりでした。それから20年が経ち、この間にデジタル技術は目覚ましい進化を遂げました。

そのおかげで、デジタル化が非常に安価にでき、中小企業でも大きな効果を得られるようになったため、DXが改めて脚光を浴びているというわけです。また、生まれた時からインターネットやパソコンなどが身近にある環境で育った、いわゆるデジタルネイティブ世代が社会人になってきていますから、デジタル化がまったく進んでいない企業は若手を採用しづらくなっています。

中堅・中小企業でも先進的な企業はどんどんDXを進めるようになってきています。ここで二の足を踏んでいると、生産性に大きな差がついてしまい、厳しい状況になってしまう可能性もあります。

業務の効率化が第一歩

中小機構では、2022年5月と2023年10月に、中小企業のDX推進に関する調査を行いました。従業員数が少ない企業ほど理解度が低い傾向はあるものの、全体的に見てDXへの理解は進んでいます。DXについて理解している企業の7割以上は「DXが必要」と認識しています。期待する成果については「業務の効率化」、「コストの削減」が上位を占めています。(図参照)

DXへの理解度は着実に進んでいる

DXはデジタル・トランスフォーメーション、「変革」という言葉がついているように、本来は業務の効率化のみならず、得られたデータを解析し、ビジネスモデルの変革につなげていくことを目指すものです。しかし、現状では「業務の効率化」と「コスト削減」に意識が向いている中小企業経営者が多いようです。

いきなり変革を目指すといっても、どこからどう手をつけたらいいかわからないものです。まずは一部業務の効率化からスタートして効果を実感していただき、徐々にビジネス全体にデジタル化を進めていく過程で、変革についても考えていく、というスモールスタートが進めやすくていいのではないかと思います。

顧客情報の一元管理がもたらした成果

ここでひとつ、例をあげてみましょう。ある電気設備の点検サービスを提供している企業が、それまでバラバラに管理していた顧客情報をクラウドサービスで集約管理することにしました。デジタル化にあたっては、新入社員でもすぐに使えるようなわかりやすいシステムにしたといいます。

ワンストップでデータを管理できるようになったことで、顧客対応も素早く的確なものとなりました。その結果、新規商談の成約率が平均7%から28.6%にアップし、解約率は2.2%から0.3%にダウンしました。紹介件数も年間14件ほどから238件と、なんと17倍もアップし、システム導入前と比べて売上高が2倍になるなど、非常に大きな成果があげられたケースです。

業務の効率化は残業時間の削減など働き方改革にもなりますし、データをクラウドで管理することで、場所の制約がなくなり、支店を増やすこともできました。このように、DXは業務のさまざまな場面に恩恵をもたらしてくれるもので、その効果は単なるコスト削減にとどまりません。まずは一部から、スモールスタートで始めて地道な改善を重ねることで、大きな果実を手にすることができるのです。

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上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2024年9月13日時点の内容となります。
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