組織の成長につながる!従業員の「フ」解消法

人事・労務をはじめとするバックオフィス業務には、紙ベースの管理や属人化、データの散在などさまざまな課題があります。こうした課題を放置すると、従業員が不便さや不満、不安といった「フ」を感じやすく、従業員エンゲージメントや労働生産性の低下につながります。

この記事では、ペーパーレス化やDXによる従業員の「フ」の解消方法や、それを事業の成長や組織の競争力獲得、エンゲージメント向上につなげるコツをご紹介します。

従業員の「フ」にはどんなものがある?

従業員の「フ」

従業員の「フ」は、なぜ発生するのでしょうか。特に人事・労務担当者が悩まされやすいのが「従業員情報の二重管理」です。

従業員のマスターデータとタレントマネジメントシステムとの間でデータに差異があると、データの照合作業が発生します。紙ベースの手続きが残っていると、さらに書類の配布や記入、回収の手間が上乗せされます。そのぶん時間や費用がかかり、人事制度改定や採用強化施策などの本来するべき作業ができない、残業が多くなるなどの不満が発生しがちです。情報伝達を紙ベースで行う組織では、情報伝達の負荷が大きいことによる不満や、情報の伝え漏れによる不安も発生しやすくなるでしょう。

システムが導入されていても、構成が複雑だったり操作しづらいものだと、人事・労務担当者の負担は紙ベースと大差ないケースもあります。また経営層に必要な情報を渡せず、スムーズな施策実行ができないことも想定されます。DXが進んでいない組織では、知らず知らずのうちに従業員の「フ」が蓄積されていってしまうのです。

従業員の「フ」の放置が組織の致命傷に

DXが進んでいない組織の問題点は、従業員一人ひとりの「フ」が蓄積されていくことだけではありません。業務効率が低下し、働きにくい環境になることで、組織全体のエンゲージメントが下がってしまうという点にも注意が必要です。
紙ベースの手続きや使いにくいシステムを放置しているうちに、従業員情報がどんどん散らかってしまいます。業務や部署ごとにデータがバラバラで、どこに最新データがあるのかわからない。入力間違いがあったり、記載方法が不統一で整理に時間がかかる。データの取り方や取得タイミングがまちまちで連続して使える項目が少ない。このような状況は、人事データの「不都合な真実」であり、不都合な真実とは具体的に何かというと「ばらばら病」「ぐちゃぐちゃ病」「まちまち病」の“三大疾病”と表現されることもあります。

人事データが整備されておらず活用できない
SmartHRより提供

特に規模の大きな組織では、グループ会社や部門ごとに別のシステムやルールで運用していると、統一が難しくなります。DXの未着手と従業員の「フ」の放置は、組織の致命傷になりうるのです。

DXが従業員の「フ」を解消する

DXによって従業員の「フ」を解消すれば、組織にどのような変化が起きるのでしょうか。紙ベースの手続きをすべてシステム上で行えば、書類の作成や印刷、封入、郵送といった工程がなくなり、所要時間や印刷費・郵送費といったコストを大幅に削減できます。業務効率化が進み、従業員は中長期計画の策定や新規事業の立案といったコア業務に割く時間を十分に確保できるようになるでしょう。

つぎのステップとなるのが、データの二重管理解消です。従業員情報をひとつのシステムに集約し、一元管理することが重要です。これによって、目的のデータがどこにあるのかがすぐにわかり、常に最新のデータを利用できるようになります。データの修正もリアルタイムで全社に反映されるので、データ照合の必要がありません。「データの3大疾病」を未然に防げるため、システムを使えば使うほどデータが整備されていきます。

「フ」の解消を実現する2つのステップ

DXで業務効率化に成功した企業事例

実際に、多くの企業がDXによる業務効率化に取り組んでいます。

企業事例1:DX推進で組織分析とMBO評価で管理職の育成を促進

DX推進で組織分析とMBO評価で管理職の育成を促進

西日本を中心にロジスティックサービスを展開する物流会社では、複数システムの乱立や表計算ソフトの使用による従業員データの二重管理が課題でした。2020年に社長交代を機にDXに取り組み、グループ全体の従業員情報を一元管理できるシステムを導入。従業員データの活用が進み、最適な配置や自律型組織を目指したMBO評価、管理職の効率的な育成を実現しています。

企業事例2:スマホアプリで情報共有を円滑化、エンゲージメント向上へ

スマートフォン活用で情報伝達の遅れや漏れを削減。職員のエンゲージメント向上を実現

また、長崎県で3つの病院と13の関連施設を運営する社会医療法人では、職員への情報伝達が紙ベースで行われ、上長の業務負荷が大きく、伝達漏れが頻発していました。職員の9割は現場職でパソコンやメールアドレスが支給されていないという事情もありました。

スマホアプリで使えるシステムを導入してからは、人事・労務担当者から職員に直接情報を送信できるようになり、上長の業務負担が軽減しました。未対応の職員にはプッシュ通知でリマインドできるので、情報の伝達漏れも防げ、組織全体のエンゲージメント向上につながっているそうです。

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DXを組織の成長につなげるコツ

DXで従業員データを蓄積・一元管理できるシステムを整えれば、それがデータ活用の基盤になります。単なるペーパーレス化や業務効率化にとどまらず、組織を活性化させるためのしくみになるのです。

これからの人事・労務DXは、業務工数や必要コストを削減するだけでは成功とは言えません。データ改革を通して、その組織の事業を成長させる。競合他社に打ち勝つ競争力を育てる。業務効率化やコスト削減の先に、こうした目標を持つようにしましょう。人事・労務のデータ改革を進める上では、従業員にどのようなベネフィットをもたらせるかという視点を忘れないことが大切です。

データを「集める」だけでなく「活用する」重要性

データ改革を事業成長や企業の競争力獲得につなげるには、「データを集める」だけでなく、「集めたデータをどう活用するか」を意識することが大切です。

従業員データは、組織改革に役立つ情報の宝庫です。経歴や取得資格情報からキャリア志向が見えてくるかもしれません。スキルや経験、エンゲージメントスコアから、将来のリーダー候補を見きわめたり、育成することもできます。

データを用いてすべての従業員が働きやすい環境を整え、エンゲージメントを向上させること。従業員一人ひとりが望むキャリアを実現できるよう、きめ細やかにサポートすること。これが人事・労務DXの本来のあり方です。その一歩を踏み出せるよう、従業員データのデータ基盤を整えるところからはじめてみませんか。

DX推進で未来を見据えたデータ基盤の構築を

DX推進においては未来の課題を見据えたデータ基盤の構築が重要になります。単なるペーパーレス化・業務効率化にとどまらず、収集したデータを育成やエンゲージメント向上、採用活動に活かしていくこと。それが、DXの取り組みを組織の事業成長や競争力獲得につなげる近道です。

DXでの課題解決について、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2025年10月24日時点の内容となります。
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