キャッシュレス決済で売上はどう仕訳したらよい?

普及が進むキャッシュレス決済。大きく分けると「クレジットカード」「デビットカード」「電子マネー」「コード決済」の4種類があり、ブランドもさまざまです。顧客のニーズや満足度向上を考えて導入したい思いがある一方で、会計処理など対応が難しそうな印象があるかもしれません。そんな不安を減らすべく、仕訳のイメージをご紹介します。
※実際の会計処理(税務申告)は、担当の税理士・会計士へご相談ください。

後日入金されるのが共通点。「売掛金」で処理する

キャッシュレス決済を事業者側から見ると、売上が生じた瞬間には、現金による入金はありません。入金までのこのタイムラグがあることで、現金決済とは違った会計処理が求められます。具体的には、キャッシュレス事業者(カード会社、決済代行会社など)への「売掛金」が発生し、売上時と入金時に計2回の仕訳が必要になります。

具体的なケースに見る処理方法は?

簡単な例で流れを確認しましょう。事業者が飲食店だとして、お客さまが税込み1,000円のランチを注文し、クレジットカードで支払うケースを考えます。この時、つまり売上時の借方の勘定科目は、後日受け取れる「売掛金」となります。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額 摘要
売掛金 1,000円 売上 1,000円 2022年12月1日売上

次に、後日入金があった時の仕訳を考えます。仮にクレジットカード決済に伴う手数料が3%とすると、1,000円の売上に対して30円が差し引かれます。口座入金のため借方は「普通預金」が970円、「手数料」が30円と処理されます。貸方は、入金時の貸方と一致する形で「売掛金」になります。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額 摘要
普通預金 970円 売掛金 1,000円 12月分キャッシュレス決済分
手数料 30円 12月分キャッシュレス決済分

キャッシュフローの管理とポイント処理に注意

このように、「売掛金」として扱う点や「手数料」「普通預金」といった分類さえ押さえれば、複雑というほどではありません。一方で、経理や財務の担当者としては、現金決済と異なるキャッシュフローや、「共通ポイント」の処理に注意が必要です。

入金サイクルのバラつき

キャッシュレス決済は多様な手段があるため、その種類やブランドによって、入金のタイミングが異なります。複数の決済手段を導入している場合、回収までのタイムラグが一定ではない可能性があるため、手動で管理する場合は資金繰りのチェックが欠かせません。

「共通ポイント」の処理方法

キャッシュレス決済では、購入代金の一部が還元される「ポイント」が人気です。複数の企業や店舗で共通して使える「共通ポイント」をめぐる各社の動きは活発で、効率よく貯める「ポイ活」という言葉も広まっています。

共通ポイントを自社で付与する場合は、その相当額を「費用」として計上します。先ほどと同じように、税込み1,000円のランチの売上があったケースで考えましょう。
ポイントの還元率を1%とすると、売上時、借方には1,000円の「売掛金」と10円の「ポイント費用」が入ります。他方、貸方は1,000円の「売上」に加えて10円の「未払金」を計上します。入金時は、借方は「普通預金」960円と「未払金」10円、「手数料」30円、貸方は「売掛金」です。

●自社で共通ポイントを付与

<売上時>
借方 貸方 摘要
売掛金 1,000円 売上 1,000円 2022年12月1日売上
ポイント費用 10円 未払金 10円
<入金時>
借方 貸方 摘要
普通預金 960円 売掛金 1,000円 12月分キャッシュレス決済分
未払金 10円
手数料 30円

一方、お客さまが支払い額の一部に共通ポイントを充当した場合、ポイント利用分は「未収金」で扱います。ランチ代1,000円のうち、700円をクレジットカード、残る300円でポイントを使った場合、売上時の借方は「売掛金」700円、「未収金」300円と「ポイント費用」7円になり、貸方は「売上」1,000円と「未払金」7円です。入金時は「普通預金」963円と「手数料」30円、未払金7円、貸方は「売掛金」700円と「未収金」300円となります。

●共通ポイントを充当

<売上時>
借方 貸方 摘要
売掛金 700円 売上 1,000円 2022年12月1日売上
未収金 300円 未払金 7円
ポイント費用 7円
<入金時>
借方 貸方 摘要
普通預金 963円 売掛金 700円 12月分キャッシュレス決済分
手数料 30円 未収金 300円
未払金 7円

店舗や企業独自のポイントと、共通ポイントが同時に貯まるなどのケースはやや複雑になるため、注意を払うのがベターです。

詳しくは国税庁のホームページでご確認されることをお勧めします。

キャッシュレス決済で決済領域のDXを

キャッシュレス決済は仕訳が2回必要なため、現金より手間がかかると感じられるかもしれませんが、銀行口座を紐付けて自動仕訳する会計ソフトも普及しています。またキャッシュレス決済導入により、集客や客単価の増加が見込め、事業者としても業務効率化のメリットがあります。決済領域のDXと言えるキャッシュレス決済については、ダウンロード資料「導入しないと損をする!?今、キャッシュレス決済を導入すべき理由」も参考にしてください。

キャッシュレス決済及び法人決済ツールについて、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2023年3月13日時点の内容となります。
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