事業承継にファンドを活用することのメリットはどこにあるのでしょうか?また、ひとくちにファンドといっても、その特徴や強みもさまざまです。丁寧な伴走支援を大切にしているアント・ソリューション・パートナーズの田辺憲正社長に、事業承継ファンドのメリットや選び方などについて、お話を伺いました。

田辺 憲正(アント・ソリューション・パートナーズ株式会社 代表取締役CIO)
日本火災海上保険(現 損害保険ジャパン)、マーシュジャパンのM&A部門の日本責任者を経て2009年1月アント・キャピタル・パートナーズ入社。アント・キャピタル・パートナーズ入社以来、一貫して案件ソーシング、投資実行、経営支援、EXIT交渉に従事し、ソリューションファンドの代表的な案件を牽引。スモールバイアウト案件を中心に、大企業からのカーブアウト事案から同族企業に関わるマイノリティ事案まで、幅広いソリューションを提供する。東京都立国立高校卒。青山学院大学経済学部卒。中央大学専門職大学院国際会計研究科修了。
ファンドの力を上手に活用しよう
具体的に事業承継ファンドがどのような伴走支援を行うのか、ひとつ事例をご紹介します。われわれが過去に投資をしたインテリアメーカーA社は、高いクオリティのインテリア製品を自社で企画、委託先工場で製造し、自社ブランドとして販売を行う、いわゆるファブレスメーカーです。ユーザーからは高い評価を得ている企業だったのですが、事業承継の課題を抱えていたことに加えて、さらに成長するための支援を必要としていました。
われわれが参画して半年ほど現状を調査・分析する中で、製品のクオリティは素晴らしいのに市場での認知度があまり高くないという点と、ECでの販売が十分に拡大できていない点が主な課題として浮かび上がってきました。そこで、われわれのネットワークから、マーケティングやECに精通した人材をご紹介して後継社長として招聘。お客さまの声などを丁寧に収集・分析しながら、SNSを活用したブランディング、マーケティングに着手しました。
試行錯誤をしながらブラッシュアップしていき、成長を実現できました。特にECについては、以前と比べ売り上げが3倍と大きく伸ばせました。
余裕を持って準備するメリット
A社の創業オーナーは当時50代後半。事業承継というと、創業オーナーが引退するギリギリになって動き出すというケースも多いのですが、最近はA社のように、まだ若い年齢から事業承継を意識した体制へ移行していく会社が増えているように感じます。次世代への継承には時間もかかりますから、早いうちから手を打つに越したことはありません。

A社の場合、外部から招聘した後継社長は、社内の次期社長候補育成のために中継ぎの役割を担いました。その結果、次期社長へと円滑な承継を実現できた事例です。他の事例では外部から招聘した社長がずっとやっていくというケースもありますし、創業オーナーが会長として残り、大所高所からアドバイスをしていただくというケースもあります。
また、創業オーナーが2000年頃に60代で起業したケースでは、ご自身で上場まで成長させるのが難しくなってきたということで、われわれが参画させていただきました。上場のためにガバナンス体制を再構築し、ECでの販売を伸ばすなどの施策が奏功し、参画から3年ほどで無事に上場を果たすことができました。このように、上場がイグジットとなるケースもあります。
その会社の強みを伸ばしつつ、課題を解決するのがファンドの伴走支援の要諦ですが、ファンドはいずれイグジットして去っていきますから、やはり主役はその会社の経営陣や従業員です。われわれのやり方の押し付けにならないよう、じっくり向き合いますし、経営陣や管理職の方々には合宿を行って経営について学んでいただくなど、われわれが去った後も成長を継続していけるような体制づくりを目指します。
どのようにファンドにアプローチするか
ファンド活用に興味を持った場合、まずはファンドに会ってみることをおすすめします。当社の場合、創業オーナーが銀行などに事業承継を相談する中で紹介されてお会いするケースが多く、事業会社やファンドなど、複数社の中から選んでいただく、という流れが一般的です。
ファンドを選ぶにあたっては、やはり実際に会ってじっくり話をするというのは非常に大切です。一般的な話で終始するのか、それとも会社についてしっかり分析をしていて、納得感のある提案を聞けるのか。ここを見極めていただきたいと思います。また、会社を任せるには人と人との関係性が重要ですので、いわゆる相性も大切だと考えています。
さらに、そのファンドの実績も重要な要素です。過去にどのような案件を手掛けてきたのか、十分な実績を持っているかどうか。話の内容は話術で取り繕える部分もあるかもしれませんが、実績は嘘をつけません。
「ファンドに何ができるのか」と懐疑的な思いを抱いていた創業オーナーが、われわれと1時間、面談をした後、「ガラッと印象が変わった。ぜひお願いしたい」とその場で意思決定されたケースもありました。少しでもファンドに興味をお持ちなら、まずは実際に会ってみてはいかがでしょうか。
りそなBiz Actionではこれらの資料もご用意しております。ぜひご活用ください。


