3か月に一度、マーケット情報や不動産に関する市況、最新のトピックスなどをお届けします。本記事は2022年夏に発行された、首都圏向けの内容となります。
【Market REVIEW】米国景気軟着陸に向け7-9月期の利上げ幅が焦点に
- 今年3月以降、米国の政策金利であるフェデラルファンドレート(以下、FF金利)は累計2.25%引き上げられました。前回2015年12月~2018年12月の利上げ局面では合計2.25%引き上げられています。つまり、前回3年1か月かけた政策金利の引き上げを今回は僅か4か月で実行したことになります。この急激な利上げを受けて年初は1.5%程度だった米国10年国債利回りは一時3.5%近辺まで急上昇しました。しかし、長期金利の水準訂正局面は既に一巡したとみられます。きっかけは6月のFOMC(連邦公開市場委員会)に決定された0.75%の利上げだったようです。27年ぶりとなる大幅利上げによりインフレ退治に向けたFRBの本気度がマーケットに伝わり、市場の関心は景気減速に移りました。それまでFF金利先物市場では、来年前半に4%超までの利上げを予想していましたが、現在は、今年末に3.3%程度で利上げは打ち止めとなり、来年中には0.5%強の利下げを織り込み始めています。
- 金利の落ち着きは資産価格全般に追い風となります。株式市場では金利上昇による株価バリュエーションの調整局面(≒逆金融相場)は峠を越したとの見方から、成長株に見直し買いが入っています。
- 次の焦点は、世界景気がどの程度落ち込むかの見極めです。リーマンショックの教訓から世界的に金融機関の財務健全性は保たれており、金融不安を伴う深刻な景気後退に発展する可能性は小さいと言えます。米国では過剰在庫や過剰投資などのゆがみも限定的であることから、仮に景気後退に陥ったとしても比較的浅い調整、所謂、マイルドリセッションにとどまる可能性が高いと考えられます。
(りそなアセットマネジメント チーフストラテジスト 下出 衛)
感染拡大の中、経済成長見通しは下方修正
- ESPフォーキャスト8月調査は、日本の経済成長率について2022年7-9月期は+2.7%と予測し、7月調査から下方修正しました。その後、10-12月期は+2.1%、2023年の各四半期は+1%台前半の成長率が見込まれるとしています。
- 2022年春以降、首都圏では新規陽性者数(単日)が微減傾向でしたが、7月初旬から急増し、東京都では7/28(木)に4万人を超えました。全国的にいわゆる第7波の拡大傾向がみられ、猛暑による熱中症も多発する中、医療体制の逼迫が懸念されています。
都外居住者の人出は感染拡大前に及ばず(渋谷)
- V-RESAS、ナウキャスト、日本経済新聞社「日経CPINow」によると、4月以降の東京都の売上高動向は、概ね2019年同期を上回っています。
- V-RESAS及びAgoopによると、推定居住地別に集計した渋谷駅周辺の滞在人口は、2022年5月から7月前半まで、区内居住者について概ね2019年同期を上回って推移しています。
- 一方、都内や都外の居住者は、大型連休後から2019年同期を1割~3割程度下回る状況が続いています。感染急拡大の7月は、政府や都による積極的な行動制限がない中でも、減少幅は広がる傾向にあります。
中古マンション価格はさいたま市で上昇率拡大
- 東京カンテイによると、2022年6月の東京都区部の70㎡当たり中古マンション価格は6,840万円で、4月以降は前年比+8%前後で推移しています。さいたま市では、6月に同+23%(前月比+1.9%)の3,663万円となり、埼玉県全体でも前年比+19%を記録しました。
- 不動産経済研究所によると、2022年6月の新築分譲マンション価格は、首都圏6,450万円(前年比+3.8%)、東京都区部8,103万円(同+5.2%)で、㎡単価は首都圏で同+5.8%、都区部で同+9.1%でした。
- 2022年の首都圏の新築分譲マンション契約率は、6月には67.7%でしたが、2〜5月は好不調の目安である70%を超え推移しました。
オフィス空室率はほぼ横ばい、平均賃料は下落基調
- 東京都区部では2023年に大量供給予定を控え、需給の変化によるオフィス市況への影響が懸念されます。
- 三鬼商事によると、2022年6月の東京ビジネス地区の空室率は6.39%(前月比+0.02ポイント)で、1年前から6%台前半で推移しており、2022年2月以降はほぼ横ばいです。
- 2022年6月の東京ビジネス地区の平均賃料は20,273円/坪でした。賃料の下落基調は続いていますが、2022年に入ってからは前月からの下落幅が徐々に小さくなっています。
【Market TOPICS】不動産鑑定問合せ件数の推移(東京)
- 不動産鑑定の問合せ件数は、今後の不動産売買の先行指標と考えられます。
- 東京の不動産鑑定問合せ件数(大和不動産鑑定が集計)は高水準で推移しており、特に、レジデンス・寮、ヘルスケア、インダストリアル(物流など)の問合せが多く、今後も堅調な売買が続くとみられます。
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