創業社長と比べられ、時には批判されることもある二代目社長。
新しい取り組みを批判されることが多い、自分が正しいのか自信が持てない……。
二代目社長からはその立場ならではの悩みが聞かれます。従業員同士であれば同僚や上司に相談ができても、社長となるとそう簡単にはいかないものです。
しかし悩んでいるだけでは事態は変わりません。社長室に閉じこもって考えるより、ドアを開けて行動してみませんか?
マイナス思考を行動に変えよう
マイナス思考から脱却するためには、相談相手を見つけることがおすすめです。例えば先代社長や社外の人と積極的にコミュニケーションを取ることで、課題解決へのヒントが得られるかもしれません。その方法を考えます。
先代社長―コミュニケーションを深め適切な引き継ぎを行う
事業承継には以下のとおり、多くの重要な引き継ぐべき項目があります。
経営理念、従業員の技能・ノウハウ、経営者の信用、取引先との人脈、顧客情報、知的財産権、許認可 など
事業に必要な土地や建物などの不動産、設備、現預金、運転資金、借入金 など
中小企業庁の調査によると、引き継ぐべき項目は「今後の経営方針」が最も多く、「自社の財務内容」、「経営理念」、「取引先との関係」が続いています。特に「取引金融機関との関係」は重要な項目であるにもかかわらず、先代と後継者とのコミュニケーションができているか否かで引き継ぎ度合いに差があるようです。(※1)
このように多岐にわたる経営課題を引き継ぐわけですから、二代目社長が全てを理解し舵取りをするには長い時間がかかって当然のこと。時代の変化も激しいため、十分な期間や密なコミュニケーションが重要になります。
特に日本の中小企業では3分の2が親族内承継だというデータもあるほど、親子承継が大多数を占めます。(※2)しかし、「親子である」ということがネックとなり、十分な引き継ぎが行われないことも多いようです。
経営者交代に適切な時間をかけることで、後継者が陥りがちな漠然とした不安や思考は、解決すべき明確な課題に変わるはずです。
外部相談先―専門家の知見を取り入れる
二代目社長は社外にネットワークを確立できていない場合も多いでしょう。しかし企業経営にあたっては外部からの助言を受けることも大切です。一人で抱え込まず、悩みの内容によって適切な相談先に話をしてみることが解決の糸口になります。普段から商工会や商工会議所のネットワークと交流するなど、関係者を増やしていくなどして相談先を拡げていきましょう。
相談相手には「顧問の公認会計士・税理士」、「親族、友人・知人」や「取引金融機関」などが挙げられます。(※3)たとえば資産の状況によっては、事業承継の段階で贈与税や相続税がかかることもあるため、専門家へ積極的に相談することが安定した経営に繋がるでしょう。
また、公的機関ではさまざまな事業承継支援を行っています。補助金・税制優遇・経営後継者研修などの他、各都道府県には「事業承継・引継ぎ支援センター」が設置されています。中小企業庁ホームページにはそれらの相談先や、親族内承継支援の成功事例なども掲載されているので参考にしてみてはいかがでしょうか。(※4)
事業承継は単純に経営者が交代するだけのことではありません。企業がさらに成長・発展するための機会であると考え、他者の力も借りながらポジティブ・マインドで事に当たっていきましょう。
※1〜3 中小企業庁「2017年版小規模事業白書」
(※1) 第2-2-44図 対話状況別に見た、後継者・後継者候補と対話している事項
(※2) 第2-2-8図 後継者選定状況・親族外承継の現状(中規模法人)
(※3) 第2-2-46図 事業の承継に関する過去の相談相手(後継者決定・未決定)
(※4) 中小企業庁 事業承継の支援策
課題解決の考え方について、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。