【SDGsインタビュー】株式会社ナンバースリー ~外部環境の変化と中堅・中小企業がSDGsに取り組む意義について~

昨今、SDGsへの取り組みについて認知が広まってきている印象だが、まだまだSDGsへの取り組みについては頭を悩ませている企業は多い。そんな中、ウェルビーイングという経営戦略の策定や、日本で26社のみ取得しているネットゼロ基準のSBT認定を取得し、脱炭素社会実現に向けた取り組みを先進的に行っている企業がここにある。
株式会社ナンバースリー浅野社長、原執行役員に、SDGsへの取り組みのきっかけや取り組む意義についてお話を伺った。

インタビュー動画

中堅・中小企業がSDGsに取り組む意義についてお聞かせください

浅野社長
意義ということより義務もあると思うんです。その義務になる理由というのは、家族の考え方だと思うんですよ。社員が自分の家族と考えるなら、自分の家族に食べさせるもの、自分の家族に触れさせるもの、自分の家族に経験させたいものがあるじゃないですか。だから、我々の社員でも触れたくないのに、お客さまにはダメでしょうとか、この組み合わせは無理でしょうとか、これをやめるべきですということが自然に出てくるんです。これは絶対止めておきましょうということが明確になるほど、自分の義務になってくるんです。絶対この線を越えないということを決めたら、会社がどこまで究極に変化できるかを、経済的なハードルもあるから、できるだけ毎年それにチャレンジしてリジェネラティブ(再生させる)と良い世界を目指すために何ができるかということを考えた上でやりきることが大事なんです。

インタビューにお答えいただく浅野社長
インタビューにお答えいただく浅野社長

原執行役員
やっぱり日本の場合は、中小企業がかなりウェイトを占めているというか、企業数で99%以上、付加価値額で50%以上ということではあるので、大企業が今どちらかというと率先してやっているという形かもしれないんですけれども、早かれ遅かれ中小企業も取り組んでいかないといけないということにはなってくるかなと思います。消費者の方からそっぽを向かれるようなことになってしまっては遅いので、なんとかついていくというような形で、コストを抑えながらやるのか、本当に差別化というところに舵を切ってやっていくのか、というところじゃないかなと思うんです。
トレンドというような一つのブームではなくて、これからどんどん気候の問題であったりしても、これからますます悪くなっていくのではないかなという状況でもあるので、いつかやっぱり取り組んでいかないといけない。一昔前でしたら「この会社は自然にいいことをやっているよね」というような感じだったかもしれないんですけれども、今やもう本当に「孫の世代でちゃんと生きていけるのかな」というぐらい深刻になりつつあるんじゃないかなと思います。特に若い方々が今の我々の年代よりも真剣に受け止めている方も多くなってきているんじゃないかなと思います。そしたらそういう若い優秀な人材を獲得していく上でも、どうしてもやらないといけないからというような形でやるよりも、思い切って舵を切って、逆にそれを差別化していくんだというぐらいの形でしていかれた方がいいんじゃないかな。中小企業でも十分そういう意義のあることかと思います。

インタビューにお答えいただく原執行役員
インタビューにお答えいただく原執行役員

中堅・中小企業が外部認証を取得する意義についてお聞かせください

原執行役員
参考になるか分からないですけれども、我々が取り組んだこととして、国際的な認証、第三者の認証というのを積極的にとらせていただいたというのがあります。日本の場合、そういう国際認証というのはちょっと遅れている部分があるんじゃないかなと正直感じているんですね。自分たちで「これはナチュラルですよ」とか、基準がすごく曖昧なままにされていることが多くて。そういう考え方ってどちらかというと、ヨーロッパの方が進んでいるところもありますので、曖昧な表現ではわからないということで、消費者がすごく強いというか、意識も高いので、ちゃんとした基準を設けていました。
消費者の方もそういうことで信用をブランドであったり、商品であったりというところに感じる部分があるんじゃないかと思うので。我々はそれをやってきたので、こういう基準をクリアしているんですよっていうことも明確に訴えることもできますし、業界によって国際認証とか、第三者の認証というのも違うかと思うんですけど、何かしらあるんじゃないかと思うんですよね。それがすごく負担になってできないということもあるかもしれないですけれども、この基準をクリアした商品ですよとか、こういう会社ですよということを訴えていける一つのステップになり得るんじゃないかと考えています。

SDGsの取り組みが加速する中、事業にどのような影響がありますか

原執行役員
周りがどんどん環境意識が高まるっていうようなことに対して、ということですよね。弊社としては、それにすごく真剣に取り組んでいますので、ビジネスもそういう方向性で繋げていっておりますので、追い風にはなってくると思います。ただ、当社が出しているSBTもかなりチャレンジングというか、高い目標でもありまして、目標を公表しないといけないということになっています。周りの人たちの意識が高まってくれば、「じゃあナンバースリーはどうなんだ」というような目は厳しくなってくると思いますし、実際に達成するということをやっていかないと目標だけで中身が伴っていないと思われてしまってはいけないのでね。本当に気持ちを新たにしてやっていかないといけないと思っております。

株式会社ナンバースリーが掲げる環境目標
株式会社ナンバースリーが掲げる環境目標

SDGsの取り組みを今後どう発展させていくか

原執行役員
企業とか環境とかに対する取り組みは、5年後、10年後を考えた時に、今よりも落ちているということはまずないと思うんですよね。ますますやっていかないといけないという状況になってくるかなと思うんですけれども、今の時点では当社は美容室向けのメーカーとしては一応最前線に入っているんじゃないかと自負をしているんですけれども、我々が現状維持のままだと、いずれもっと先に行くような企業様も出てくるかなと思います。我々はやはりそこで差別化をしていくということも意思決定をしておりますので、5年後であっても10年後であっても最前線で他社様が見本にしたいと思ってもらえるような会社でいたいと思いますし、そのためには、どんどん新しいことにもチャレンジをしていかないといけないと思っております。

株式会社ナンバースリー https://www.no3.co.jp/
ウェルビーイングを企業コンセプトにしている1951年創業の頭髪化粧品メーカー。商品開発には自社基準を定めると同時に、ヴィーガンやハラール等の国際的第三者機関による基準をもクリアするよう心掛けている。また環境に対しては、2050年までにCO2排出を実質ゼロにするという目標をSBT認定されており、太陽光パネル設置や全館LED化などを行なうと同時に、森林保護や海洋プラスティック削減のための活動にも参画している。

過去のインタビュー記事一覧」はこちらよりご覧ください。

SDGsについて、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2024年3月29日時点の内容となります。
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