賃貸住宅経営は息の長いビジネスです。新築時から時間が経つにつれて、建物が劣化するのはもちろん、周辺の最新設備を備えた新築物件と比べて見劣りするなどの問題に直面します。しかし、「古くなったから空室が目立つのは仕方がない」と諦める必要はありません。どこをどのように管理していけば、長く愛される物件になるのか、賃貸マンション管理を手掛ける株式会社長谷工ライブネットにお話を聞きました。
管理の重要性を改めて知っておこう
賃貸住宅市場では新築物件が好まれると言われますが、古い物件でも、建物が綺麗にメンテナンスされていれば印象が良くなり、入居申し込みにつながります。さらに、賃貸住宅経営で重要なのは入居者満足度の向上です。ここでも、しっかりと物件が管理されていれば満足度が高まり、次の更新もしていただける、つまり長く住んでいただけるということになります。
また、昨今はESGの観点から、古くなった建物を安易に取り壊すのではなく、しっかり管理して寿命を延ばしていくという気運が高まっています。修繕などを適切に行って建物の寿命を延ばすことは、当然ながら収益的にも望ましいことです。
どこから手をつけるべきか?
まず、基本的なことですが、エントランスや廊下、駐輪場などの共用部の清掃は非常に重要です。玄関周辺はいわば「物件の顔」。お客さまをご案内する際に最初に目につくところですから、清掃を怠ってはいけません。
また、空室期間が長くなってきた場合は、仲介会社にヒアリングをして、なぜ入居に結びつかないのかを考え、対策を講じる必要があります。ヒアリングの結果、たとえば「周辺物件と比べて設備が古いから人気がないようだ」ということがわかれば、リフォームを検討することも良いかもしれません。
賃料を増額したい場合にもリフォームは重要になります。下図は、長谷工ライブネットが2024年6月にアセットマネジメント会社や賃貸マンションオーナー様などを対象に行った調査です。
専有部分のリフォームとしては、水廻りのリフォームや和室から洋室への変更、部屋数を増やす(例:1LDKを2DKにする)などが挙げられます。また、共用部分については、単なる大規模修繕だけでは賃料アップにはつながりにくいため、現在のトレンドに合わせた外観や共用部の改修など目に見える工事も併せて実施すると良いです。
管理会社選びのコツ
賃貸住宅の管理業務は、建物自体の維持のみならず、入居者募集や入出金管理など、多岐にわたります。もちろん管理フィーが安いに越したことはありませんが、「安かろう悪かろう」では困ります。我々がアセットマネジメント会社へアンケート調査を行った際に、最も重視される割合が高かったのは「リーシング力(入居者募集やマーケティングなど)」でした。
その点で言うと、地域密着のネットワークを持っている管理会社が望ましいかもしれません。周辺物件と比較して不足しているものを洗い出したり、仲介会社の声をしっかり拾えたりする体制になっている方が、リーシングに有利だからです。
この数年はインフレが進んできましたから、管理委託費も上昇傾向にあります。したがって、賃料も上げていかなければ、オーナーの不動産営業純収益(NOI)が減ることになってしまいます。実際、東京では2023年秋ごろから、賃料増額の動きが活発になってきています。ただし、単に賃料を上げるだけでは入居者満足度を下げることになってしまうため、賃料に見合った付加価値・サービスを提供し、納得いただいたうえで賃料を増額することが大切です。結果的に、今まで以上に管理を徹底して、魅力的な物件にブラッシュアップすることが重要な時代になったと考えています。
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