スムーズな事業承継ができるかどうかにより、企業の未来は大きく左右されます。自社の株価の正確な把握、適切なタイミングでの承継は経営戦略上非常に重要です。非上場会社は時価相場が存在しないため、株式価値を一目で把握することが難しいのですが、価値の評価は事業承継や将来戦略の立案において、重要なリスク管理の手段となります。
今回は株価を把握する重要性と、円滑な事業承継のための企業価値の評価方法について説明します。
株価把握の重要性
自社の株価を正確に把握することは、企業の現在の価値を把握し、承継にかかる資金や税金等のコストをイメージするために欠かせません。特に中小企業では、企業価値が経営戦略や後継者の選定などに直接的な影響を及ぼすことがあります。適切な株価評価は企業の戦略的な決定を行う際の基礎となり、事業承継計画の成功に向けた明確な道筋を提供します。
また、事業承継に際しては、株式の評価額が税務上の計算において非常に高くなることがあり、これが事業運営の継続に大きな影響を与えるケースもあります。正確かつ定期的な株価評価は、事業承継のプロセスを円滑に進め、事業の継続性を確保するための重要なステップです。
目的に応じて評価方式を検討
非上場企業の株価評価には、さまざまな方法があります。
原則的評価方式(相続税評価額)は純資産価額に加え、評価する企業と事業内容が類似する上場株式の株価を参考に評価します。この評価方式は、個人間での売買や贈与時に目安となる株価です。
特例的評価方式(配当還元価額)は、企業が出す配当金をもとに算出する方式です。
このほか、個人から法人への売買時には、法人税法上の時価で評価する方法や、M&Aの際に目安となる時価純資産方式などの評価方法があります。
企業価値の正確な把握と評価は、事業承継計画の立案だけでなく、企業の長期的な成長戦略や投資計画の策定にも不可欠です。正しい判断のためにも株価の算定方式についてしっかり確認しておきましょう。
※株価評価やプランの実施に当たっては、必ず税理士等の専門家にご相談ください。
専門家のサポートは欠かせない
企業価値の評価は専門的な知識や法的な枠組みを要するため、税務アドバイザーや法務専門家との連携が必須です。特に事業継承の際、専門家はスムーズな経営引き継ぎを支援します。
円滑な事業の運営、経営を行っていくためにも自社株式の保有割合について認識することは重要です。将来的に後継者が保有する割合については、株主総会の特別決議にて単独で採択できる水準、つまり3分の2超の保有が望ましいといえます。自社株式が分散し、企業オーナー(後継者)の保有する割合が低下すると、事業運営や経営に支障が出る可能性があります。専門家のアドバイスにも耳を傾け、順調に事業承継が進むよう取り組むことが大切です。
株価把握で円滑な承継に向けた準備を
中小企業における株価の適切な把握は、事業の持続と成長に不可欠です。株価評価を適切に行うことで、円滑な事業承継を実現するための準備ができ、企業のさらなる存続と成長が期待できるようになります。それらを実現するために、金融機関をはじめとする専門家のサポートを受けながら定期的に株価を把握し、承継のタイミングを見定めるとともに、しっかりと準備を進めていきましょう。
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