事業発展、売上拡大を目指して海外拠点を設ける中小企業が増えています。その際に注意すべきことが、各国が設けている外国企業に対する規制です。違反するとさまざまな罰則等があり、事業に大きく影響する可能性もあります。詳しくみていきましょう。
海外進出にあたり注意すべき規制とは?
多くの国が、安全保障や経済政策の目的で、自国の貴重な資源・資産を他国から守るため、国ごとに外国企業による国内の投資に対する一定の規制を設けています。違反すると罰金や罰則、海外駐在員に対するビザの発行が停止される可能性があります。企業のブランドイメージの失墜や契約解除、最悪の場合は事業停止に追い込まれる可能性もなくはありません。単に法律を遵守するだけではなく、企業の信頼維持のためにも進出国の法規制について確認することが重要です。
日本でも、国の安全保障や公の秩序の維持、公衆の安全の保護を目的として、外国企業による日本への投資を制限しています。経済産業省の資料(※)によると、外資規制がない場合、次のような問題が起こる可能性が想定されています。
- 他国から進出してきた半導体製造会社が日本企業の重要な技術者を引き抜いたことで、日本の半導体分野における競争力が下がってしまう。
- 軍事転用が可能な機械部品を製造する日本のメーカーが他国の企業に買収され、日本の安全保障への懸念が高まる。
国によって各種規制の目的が異なるだけでなく、事業分野ごとの規制もあるほか、新興国では出資比率規制が設けられていることもよくあります。事業内容によって許認可や登録制が敷かれているケースもあり、事前調査のうえ慎重な対応が必要です。
外資に対する規制や注意すべき法制度の例
各種規制には次のようなものがあります。
①業種、出資比率、土地保有などの進出形態に関すること
まず、国家安全を脅かす業種、伝統工芸や資源・環境に影響を及ぼす業種、外国人に対して自国の競争力が不十分と考えられる業種などについて、進出の禁止あるいは自国籍の出資比率を51%以上にするなどの規制があります。また、外国人(法人含む)による土地所有が禁止されている場合もあります。
②雇用に関する法制度
外国人の就業できる業種が規制されていたり、在留許可取得のための制度があります。また、外国人1名の就労に伴い現地人を複数人雇用するなど、現地採用を必須とする規定などがあります。
③技術・工業および知的財産権に関する制度
工業所有権(特許、商標、著作権)や、ロイヤリティー、技術などに関する制度です。インターネット上の著作物やコンピュータープログラムの著作権、植物新品種の保護、伝統医薬や知識などの保護といった各種財産を守ることを目的としています。
例えば、タイでは外国人事業法により、製造業、輸出業以外の企業が事業を行う場合、タイ側資本を50%超とする必要があるため、現地企業と合弁会社を設立しなければなりません(例外あり)。インドネシアでは国内産業を保護する目的で、51業種で投資が制限され、38業種でパートナーシップを必須としています。代表的なものでいえば小売業が挙げられ、外資企業の場合は現地企業とライセンスを結ぶ必要があります。例えば日系コンビニは直営での店舗展開ができないことが一因となり、インドネシアでの事業展開には課題があります。
また、中国では外資規制があり、中国の子会社から日本親会社への貿易外の送金には諸手続きが必要。外貨借入の際には、国家外貨管理局にて外債登記の手続きも求められます。一方で、各国で企業誘致のために税制面などでの優遇措置や経済特区が設置されており、日本企業に有利な一面もあります。
詳しくは日本貿易振興機構(JETRO)のウェブサイトにまとめられています。またJETROでは、主要な約60か国の海外進出に関する基本的な制度のほか、具体的な解説のついたQ&Aも掲載しています。中小機構や経済産業省も各種情報提供と支援を行っていますので、ぜひ活用してください。
海外進出を円滑に進めるためには、何よりも十分な事前準備が欠かせません。とくに今回ご紹介したさまざまな規制については、法律の知識や海外進出の知見を持った専門家へ相談することをおすすめします。
りそなグループでも海外進出に関する総合的なご相談を承っているほか、外資規制対策の出資会社や税法律の専門家のご紹介も可能です。
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