財務・経理の責任者目線で考える。企業不動産が注目される理由

所有する自社の不動産について、日常的に収益力や稼働状況をモニタリングしているという担当者は多くないかもしれません。一方、より効果的な活用は、多くの関係者が望むもの。CRE戦略が注目されている今、その背景をまとめました。

企業不動産を取り巻く変化と課題

世界は「IFRS」へ。会計制度のチェンジ

グローバルで会計基準が一元化される流れにある今、国際会計基準(IFRS)に準拠した対応が企業に求められています。

IFRSでは、不動産に関して開示を求められる項目が多くなり、取得原価ベースで評価する従来の日本基準と違い、ほぼ時価に相当する「公正価値」で評価されます。また損益計算書(P/L)からバランスシート(B/S)に主軸が移ることで、含み損益などの状態がステークホルダーに直接明らかになるため、投資効率も問われるようになります。
半面、日本の会計基準では減損処理が不要でも、IFRSでは「必要」となるケースが考えられることには注意が必要です。

「企業価値」「投資効率」を問う市場

JPX日経インデックス400の選定基準に「ROE(自己資本利益率:Return On Equity)」があるなど、投資家は近年、投資効率を重視する傾向にあります。またROEに加えて、会社の総資産を利用してどれだけの利益を上げられたかを示す「ROA(総資産利益率:Return On Asset)」や、企業が出資者や銀行から調達した資金を使ってどれだけ利益を上げられたかを示す「ROIC(投下資本利益率:Return on Invested Capital)」(WACC)などの指標に照らして企業価値向上を図る企業が増えてきています。不動産を効率的に活用して最適化を目指す、CRE戦略の重要性が増しています。

「REIT」をはじめ不動産マーケットが成熟

国土交通省の資料(※1)によると、日本の不動産投資市場は2001年の「J-REIT」市場開設以来、拡大傾向にあり、2021年3月時点でREITなどの資産総額は約28.3兆円。20年前の約94倍にまで膨らんでいます。REITなど不動産を証券化する環境が拡充されたことで、不動産を持つ企業にとっては資金調達の選択肢が増えることになります。

CSRやESGからも注目される不動産戦略

必ず織り込んでおきたい地震リスク

いつどこで起きてもおかしくない地震。被災した時のコストや事業に与える影響は甚大です。地震リスクに備えて適切に不動産管理をすることは、従業員の安全確保、BCP(事業継続計画)対応に直結し、社会の安心安全や信頼につながるという意味でCSR経営にも寄与します。1981(昭和56)年以前の「旧耐震基準」で建築確認を受けた建物があれば、耐震補強や建替えといった対応が求められます。不動産の「市場価値」が高い場合は、必要な施策を講じた上で売却などをする選択肢もあります。

環境対策は「経営戦略」という時代に

環境問題への関心が高まる中、不動産が環境に与える影響を考慮しないでいると、社会やステークホルダーからの信頼は得られません。例えば、事業活動による二酸化炭素(CO2)の排出をできるだけ抑える管理を考えたり、設計から解体までのトータルで環境負荷やエネルギー消費を見通す「ライフサイクルマネジメント」を視野に入れたりすることで、資産や企業の価値は高まります。投資家は環境・社会的な要素も評価した「ESG投資」に着目していることもあり、全社的な経営戦略として不動産を起点に検討すべきことは多くあります。

このように、不動産に戦略的に向き合う重要性が各方面で高まっています。企業価値を上げるためのメニューは多いですがソリューションの狙いを定めるのは簡単ではないとも言えます。国内最大の店舗網や、多くの「不動産のプロ」を抱えるりそな銀行をはじめ、ワンストップで対応できる専門機関で相談してみませんか?

※1 国土交通省 「第13回 不動産投資市場政策懇談会 配布資料」(令和3年6月22日)

不動産の有効活用について、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2022年9月30日時点の内容となります。
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