3か月に一度、マーケット情報や不動産に関する市況、最新のトピックスなどをお届けします。本記事は2022年秋に発行された、関西向けの内容となります。
【Market REVIEW】入国者枠撤廃や全国旅行支援の効果が今後期待される関西
- 新型コロナ禍による国内外観光客減少の影響を受けた関西の宿泊・旅行業界も、徐々に回復に向かいつつあります。
- 2022年10月11日、感染症の水際対策として設定されていた入国者数の上限が撤廃となりました。10月の訪日外客数(推計値)は約49.9万人で、2019年同月比では2割にとどまるものの、2020・21年から着実な増加がみられます。
- また、10/11から12/20までの予定で全国旅行支援が開始されました。京都市交通局によると、10/31〜11/6の週における市バスの一日平均利用者数は、前年同期比で平日+13%、土休日+18%の増加です。
- 感染拡大第8波への警戒は必要ですが、入国者枠撤廃や全国旅行支援の効果による国内外観光客増加により、関西への宿泊・旅行需要の回復が期待されます。
経済成長の見通しは次第に鈍化傾向
- IMFは2022年の日本の経済成長率見通しを1.7%(10月時点)とし、今年7月の予測から横ばいとなりました。
- IMFによると、2021年に6.0%であった世界全体の経済成長率は、2022年3.2%、2023年2.7%と次第に鈍化する見通しです。感染拡大やウクライナ侵攻に加え、高いインフレ率や各国での金融引き締め策などが経済見通しに大きな影響を及ぼしています。
- 帝国データバンクによると、2022年1〜10月の食品値上げは合計で約19,800品目(10月のみで約6,700品目)となり、原材料高騰や急速な円安などによる「値上げラッシュ」が発生しています。
市外から大阪中心部への人出は回復途上
- V-RESAS及びAgoopによると、2022年5月以降、推定居住地別に集計した大阪駅周辺の滞在人口は、市内居住者が2019年同期を概ね上回って推移しました。
- 一方、府内(大阪市除く)・府外居住者の大阪駅周辺滞在人口は、2022年9月以降、2019年同期を下回り推移しています。ただし、2021年同期と比較すると各週の滞在人口は増加がみられ、市外から大阪中心部への人出は回復途上にあると考えられます。
- 経済産業省の商業動態統計によると、2021年10月以降、大阪市の百貨店販売額(既存店)は前年を上回って推移し、2022年8月は前年の反動もあって+43%の増加となりました。
中古マンション価格は兵庫県を中心に上昇
- 東京カンテイによると、2022年9月の近畿圏の70㎡当たり中古マンション価格は2,878万円(前年同月比+8.5%)で、3か月連続で前月比+1%以上の上昇です。特に兵庫県は、価格が比較的高い神戸市中央区・灘区で取引が増え、9月は前月比+2,4%の2,486万円でした。
- 不動産経済研究所によると、2022年9月の新築分譲マンション価格は、近畿圏で前年比▲1.2%の4,698万円、㎡単価も同▲1.2%でした。
- 一方、近畿圏の新築分譲マンション契約率は、2022年9月に前年比+12.1ポイントの71.5%となり、好不調の目安である70%を上回りました。特に、神戸市と京都市では80%を超え、契約率が好調です。
大阪のオフィス新規供給は2024年に再び増加予定
- 2022年は、大阪梅田ツインタワーズ・サウスや日本生命淀屋橋ビルをはじめ、大阪中心部においてオフィスの新規供給が増加しました。
- 三鬼商事によると、2022年10月の大阪ビジネス地区の空室率は5.12%(前年同月比+0.67ポイント)でした。新築ビルは低下が続いていますが、既存ビルで緩やかな上昇基調となっています。
- 2022年の大阪ビジネス地区の平均賃料はほぼ横ばいで推移し、10月は11,877円/坪です。
- 大阪では2022年に続き、2024年にも大量供給が予定されますが、合間の2023年には、市況が一時的に改善する可能性も見込まれます。
【Market TOPICS】2022年都道府県地価調査(大阪圏・全国)
- 2022年の都道府県地価調査(7/1時点)によると、大阪圏の住宅地は3年ぶり、商業地は2年ぶりに上昇に転じました。
- 京都市内の商業地の上昇は、マンション用地需要の高まりなどが背景にあると考えられます。
- 住宅地・商業地ともに、全国の上昇率1〜5位は北海道でした。札幌市に隣接する北広島市では、ボールパーク(新球場)事業と駅前再開発が進展中です。
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