不動産レポート2023年春(関西版)

関西版不動産マーケットレポート2023春

3か月に一度、マーケット情報や不動産に関する市況、最新のトピックスなどをお届けします。本記事は2023年春に発行された、関西向けの内容となります。

【Market REVIEW】2024年からの竣工・開業動向に期待が高まる大阪

  • 大阪では、大規模な再開発や不動産プロジェクトが多く計画されており、三幸エステートによると、2024年は8万坪弱のオフィス新規供給が見込まれています。
  • 今年3月に開業したJR大阪駅(うめきたエリア)周辺では「グラングリーン大阪」などの開発計画が多く進行中であり、大阪府内商業地の地価公示もそれらへの期待感を反映しており、対前年比上昇率上位10位のうち6地点が梅田周辺の地点となりました。
  • 2025年4月には大阪・関西万博が開催され、淀屋橋のツインタワー計画、大阪IRの開業、2031年には「なにわ筋線」の開業などが予定されており、中長期的にも大規模なプロジェクトが多くなっています。
  • 5月には新型コロナウイルスも「5類」へ移行となり、終息に向かいつつあるなか、予定されている再開発事業が実現することで、今後の発展への期待が膨らみます。
大阪の主な再開発・不動産プロジェクト
(出所)各種公表資料より

世界経済成長率は下方修正、再び不透明に

  • IMFによると、2023年の世界全体の経済成長率は2.8%とし、1月時点の見通しよりも0.1%ポイント下方修正されました。先進国で顕著な成長鈍化が見込まれており、金融セクターの混乱や高いインフレ率、ウクライナ侵攻の継続的な影響などを背景に見通しは再び不透明となっています。また、2023年の日本の経済成長率も前回時点から下方修正され、1.3%(前回1.8%)となっています。
  • ESPフォーキャスト5月調査では、2023年4~6月の消費者物価上昇率(生鮮食品除く総合)の前年同期比は2.93%と予測され、2023年度は2.31%、24年度は1.47%に低下する見込みとしています。
主要国の経済成長率⾒通し
(出所)IMF(2023.4)

訪日外客数、消費額ともにコロナ前へ回復基調

  • コロナ対策関連の規制が緩和されつつある中で、訪日外国人旅行客数も増加傾向にあり、円安効果からインバウンド消費も期待されます。日本政府観光局によると、2023年4月の訪日外客数は約195万人(2019年同月比66.6%)となっており、昨年10月の個人旅行再開以降で最高人数を更新しました。
  • 観光庁によると、2023年1~3月の訪日外国人旅行消費額は1兆146億円(1次速報値、2019年同期比▲11.9%)とコロナ禍前の水準には届かないものの、回復傾向が顕著になっています。
訪日外国人旅行客数
(出所)日本政府観光局

近畿圏の新築マンション価格は足元で上昇

  • 不動産経済研究所によると、近畿圏の新築分譲マンション価格は、2023年4月には5,193万円(前年同月比+30.4%)となり、2か月ぶりに上昇しています。契約率は67.8%(前年同月比+8.0ポイント)となっています。足元4月の発売戸数は836戸(前年同月比▲27.2%、前月比▲41.3%)と減少し、2か月ぶりに前年同月を下回りました。
  • 東京カンテイによると、近畿圏の2023年3月の70㎡当たり中古マンション平均価格は前月比▲0.7%の2,895万円と5か月ぶりに下落となりました。
近畿圏の新築マンション価格・契約率
(出所)不動産経済研究所

空室率は横ばい、賃料は上昇基調

  • 大阪市では2024年のオフィス大量供給が控える中、空室率はほぼ横ばいで推移しています。三幸エステートによると、2023年4月の平均空室率4.63%となっており、規模別では大規模ビル(基準階面積200坪以上)と大型ビル(基準階面積100〜200坪)で2022年後半頃より緩やかな低下傾向がみられています。2023年4月の平均募集賃料は13,483円/坪(前月比+156円/坪)となり、6か月連続で上昇しています。
  • 建築費は上昇基調にあり、建築物価調査会によると2023年4月の大阪市における工事原価(RC造、事務所)は前年同月比+6.6ポイント(暫定値)となっています。これを受けて原状回復費が上昇しており、移転コスト増加の一因となっています。
大阪市のオフィス空室率
(出所)三幸エステート

【Market TOPICS】関西圏の地価公示

大阪圏の対前年変動率の推移
(出所)国土交通省
大阪圏の対前年変動率上位・下位順位表
(出所)国土交通省

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上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2023年8月25日時点の内容となります。
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