不動産レポート2024年冬(首都圏版)

3か月に一度、マーケット情報や不動産に関する市況、最新のトピックスなどをお届けします。本記事は2024年冬に発行された、首都圏向けの内容となります。

【Market REVIEW】日銀の利上げパス(軌道)は冷静に見極める必要

  • りそなアセットマネジメントチーフストラテジスト 下出 衛
    日銀の利上げペースが加速する、或いは、利上げの最終到達点がこれまで想定されていた水準(市場コンセンサスは0.75%)から切り上がるのでは、との見方が広がり、国内金利が上昇しています。
  • 背景には、中立金利(≒景気を刺激も抑制もしない実質政策金利)に関し、日銀執行部から踏み込んだ見解が相次いで提示されたことが影響しています。1月24日の決定会合後の会見で植田総裁は、“中立金利に対して現在の政策金利が0.5%になったとしても、まだ相応の距離がある”、と述べ、複数回の追加利上げを示唆。1月30日には氷見野副総裁が講演で「実質金利のある世界は来るのか」と問題提起したうえで、“実質(政策)金利がはっきりとマイナスの状態がずっと続く、というのは普通の姿とはいえない”と述べ、2%の物価上昇が続くのであれば2%超の政策金利が正当化されるとの見方を間接的に示しました。日銀の意図としては、利上げの打ち止め感が広がった場合、再び円安が進行する恐れがあるため、追加利上げの余地がまだ大きいことを示唆することで、それを未然に防ぐ狙いがあるとみられます。10年債利回りは2011年4月以来の高水準となる1.3%台まで上昇、為替市場では一時150円台まで円高・ドル安が進むなど、日銀の意図通り、もしくは、意図を上回る効果がでています。ただ、過度な金利上昇、為替変動で景気に悪影響が及んでは、元も子もなくなります。日銀は従来の基本姿勢通り、経済・物価動向に細心の注意を払いながら、半年に一度程度のペースで慎重に利上げを進めると予想されます。短期金融市場(OIS)では、25年半ばには0.75%、2026年央には1.0%超まで利上げが進むことを既に織り込んでいます。0.75%への追加利上げが大幅に前倒しされるようなことが起きない限り、現時点での国内金利の上昇余地は限定的と考えられます。

(りそなアセットマネジメント チーフストラテジスト 下出 衛)

経済成長の動向は各国で異なり、不確実性も高く

  • 世界経済成長は安定が予想されますが、その勢いは失速する見込みとなっています。IMFによると、2025年・26年の世界経済成長率は3.3%とし、2000年~19年の平均である3.7%を下回るとしています。米国では金融引き締めの緩和姿勢などで上方修正された一方、他の主要国では政策の不確実性などから下方修正もみられ、双方の影響が相殺した結果、前回(2024年10月)時点から見通しの改定はほぼありませんでした。
主要国の経済成長率見通し
(出所)IMF(2025.1)

2024年の訪日外国人旅行客数は過去最高を更新

  • 訪日外国人旅行客数は増加が継続しており、2024年12月は約349万人と単月として過去最高を記録しており、さらに1964年の集計開始以来、初となる単月として340万人を突破しました。2024年では、約3,687万人(前年比+47.1%、2019年比+15.6%)となり、年間最高人数を更新しました。
  • 宿泊旅行統計調査によると、2024年12月の延べ宿泊者数は5,582万人泊(第一次速報、2019年同月比+18.4%)、外国人宿泊者数も1,529万人泊(同+66.5%)となりました。2019年同月比でみると、日本人宿泊者数は概ね一桁台の増加率となっていますが、外国人宿泊者数は60%を超えており、増加傾向も継続しています。
訪日外国人旅行客数
(出所)日本政府観光局

2024年の首都圏新築・中古マンション価格は下落

  • 不動産経済研究所によると、2024年12月の首都圏新築分譲マンション価格は、7,335万円(前年同月比+5.3%)となりました。2ヶ月連続での下落となっていますが、依然として高水準となっています。2024年の平均価格は前年比▲3.5%となる7,820万円となっており、6年ぶりに下落となりましたが、高値が継続しています。初月契約率は66.9%となり、2020年以来の60%台となりました。
  • 東京カンテイによると、首都圏の2024年の70㎡あたり中古マンション価格は前年比▲1.1%の4,747万円となり、2014年以降続いていた上昇傾向から下落に転じました。東京都では同+5.0%と上昇が継続しているものの、周辺3県では下落しており、この影響でエリア全体の平均価格が下落しました。
首都圏の新築マンション価格・契約率
(出所)不動産経済研究所

オフィス空室率は改善傾向が継続

  • 三鬼商事によると、2024年12月の東京ビジネス地区における平均空室率は4.00%(前年同月比▲2.03ポイント)となっており、改善傾向が顕著となっています。また、平均賃料は20,296円/坪(同2.77%)と上昇トレンドが継続しており、堅調な需要を背景に市況も好調感がみられます。
  • 三幸エステートによると、2025年以降も引き続き大量の新規供給が予定されており、25年は約21万坪、26年は約15万坪の供給量が見込まれています。現状では、二次空室もそこまでみられず空室率も低下していますが、今後も需要が追い付くのか注視が必要になります。
東京ビジネス地区のオフィス空室率と平均賃料
(出所)三鬼商事
※東京ビジネス地区=千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区

【Market TOPICS】首都圏のオフィス供給計画

東京都心5区のオフィス新規供給と空室率
(出所)三幸エステート
(注)1フロア面積50坪以上のビルを対象、空室率は年末値
東京都内の主なオフィス計画
(出所)三鬼商事

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りそな銀行不動産ビジネス部
住所:東京都江東区木場1丁目5番25号 深川ギャザリア タワーS棟
TEL:03-6704-2376

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2025年3月18日時点の内容となります。
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