働き方改革の前に要確認!就業規則を変更するには?

就業規則とは、賃金や労働時間など労働条件に関することや、職場内の規律などについて定めた、職場におけるルール集です。常時10人以上の従業員を雇用している会社は、就業規則を作成し、所管の労働基準監督署に届出をしなければならないと労働基準法で定められています。労働法改正の際や、会社の経営状況、働き方改革の流れの中で就業規則の変更を検討することもあるでしょう。しかし、変更するには一定の手順を踏まなければなりません。今回は、その手順についてご紹介します。

就業規則を見直すタイミングは?

就業規則は、主に以下のような場合に見直し、必要に応じて変更を行うことになります。法令の改正については都道府県の労働局の公式サイトに掲載されますが、自社でチェックするのは大変です。社会保険労務士に相談するとよいでしょう。

  • 創業以来、就業規則の見直しを行っていない
  • 現行の就業規則が実態と乖離している
  • 労働関連の法令の改正や最低賃金が改定された
  • 労働時間や休日、賃金体系を変更したい
  • 在宅勤務(テレワーク)制度や変形労働時間制を導入する
  • 経営状況が悪化し就業規則の変更を迫られた

近年ではテレワーク勤務を導入する企業も増えていますが、労働時間やその他労働条件が同じなら就業規則を変更しなくても問題ありません。ただし、従業員が新たに通信回線を導入するなど、テレワーク勤務によって発生する費用の負担についてはあらかじめ定めておくことが望まれます。また、フレックスタイム制を同時に導入する場合は、現規則に定められていなければ変更が必要です。

就業規則の変更手順

就業規則を変更する場合は、以下のような手順で進めていくことになります。

1.従業員代表の意見を聴きながら、改定案を作成

就業規則の変更については、労働基準法第90条において「使用者は(中略)当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない」と定められています。必ずしも合意を得る必要はありませんが、意見を尊重して進めることが大切です。

2.就業規則・就業規則変更届・意見書を作成

就業規則変更届・意見書は、厚生労働省の主要様式ダウンロードコーナーで参考様式を入手できます。就業規則についても、厚生労働省より作成支援ツールが公開されています。

3.所轄の労働基準監督署へ提出

提出の期限は特に定められていませんが、「遅滞なく」提出するよう労働基準法施行規則に明記されていますので、なるべく早く提出しましょう。

4.従業員へ内容を周知する

作成した就業規則は、各職場に掲示するなど従業員がいつでも見られるように周知することが義務付けられています。周知されていない就業規則は効力が認められないだけでなく、周知義務違反として罰金が科せられる場合もあります。必ず従業員全員に周知を徹底しましょう。

不利益変更の場合は要注意

賃金の引き下げや手当廃止、労働時間の変更など、従業員にとって不利益となる場合には、従業員代表との合意がなければ変更することはできません。反対する従業員がいたとしても、経営状況の悪化などで変更の合理性が高く、かつ従業員の不利益性が小さい場合には不利益変更は可能とされています。しかし、企業側が訴えられ、変更の合理性が認められなかった例もありますので、なぜ不利益変更が必要なのかを丁寧に説明し、慎重に協議を進めて合意を得る必要があります。

安心して働ける環境は、採用上のアピールポイントにも

就業規則の変更は面倒だと思われるかもしれません。しかし、「ルール」があやふやな会社では、従業員は安心して働けません。従業員に安心して働いてもらえる環境を積極的に整えることは、経営上プラスに働く可能性も膨らみます。また、働き方改革の流れに合わせて就業規則を変更することは、採用活動におけるアピールポイントにもなります。社会の潮流や会社の実態に常にフィットするよう、就業規則も定期的に見直していきましょう。

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上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2022年8月19日時点の内容となります。
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