【SDGsインタビュー】南山大学 〜学生が見るSDGsとビジネスのつながり〜

「SDGs」という言葉が身近にある中で育った世代は、企業のサステナビリティへの取り組みにも関心が高い。
りそなSDGsアイデアコンテスト」(以下、アイデアコンテスト)では、この世代にあたる学生にビジネスアイデアを募集。2023年大会で最優秀賞を受賞したのは、ロボットを使った海洋ごみ問題の解決につながるアイデアだ。社会的な効果とビジネスの可能性が組み合わされ、企業の技術開発に期待が高まる学生らしい内容が評価された。今回はこのアイデアを考案した、南山大学の学生にお話を伺った。

今回受賞されたビジネスアイデアについて、あらためてお聞かせください。

簡単に言いますと、海洋ごみ回収ロボット「Roppy(ロッピー)」の開発です。
海洋ごみを自動で回収するロボットは今でもたくさん存在していますが、根本的な解決には至らないと考えました。なぜかと言うと、海洋ごみの8割は実は街から流れ出ていると言われており、まずこの部分にアプローチする必要があるからです。そこで自動ではなく、あえて自分たちで手を動かすことと、海の中の状況や海洋ごみについて楽しく知識を得て関心を持ってもらうことに重点を置きました。

最初はフードロスや教育などにも視点を置いていたのですが、取り上げられやすいテーマであることから、比較的多くの方が関心をすでにお持ちだろうと想像しました。それよりも、「取り組みにくいけれど解決しなければならないこと」に向き合いたいと考えたことが海洋ごみの問題を選んだ理由です。

海洋ごみの問題についてアンケートを取ったところ、この問題自体を「知っている」と答えた方の多くが、何らかの対処をしたいと考えているという結果が出ました。つまり、知ってもらえれば行動に移してくれる人が多いと言えます。同時に、20〜30代の若い世代がこの問題をあまり認知していないことが分かりました。そこで、ゲーム化することでこの世代への意識にとくに働きかけようとしたものです。

アイデアコンテストに参加した理由を教えてください。

3人それぞれにSDGsに関心があり、何か活動ができないかと相談していました。いろいろなコンテストを調べたところ、未来を良くするSociety5.0や大阪・関西万博にもつながるビジネスアイデアを求めていたのが「りそなSDGsアイデアコンテスト」だったので、挑戦することを決めました。

最も難しかったのは、このアイデアが実現したときに、どうやったら「使いたいと思ってもらうか」を考えることでした。Society5.0を叶えられるもの、というルールがあったので、それと新しいアイデアの創出を組み合わせることに苦労しましたね。
審査員の方からは「斬新で学生らしい柔軟な考え方」「実現されたら面白そうだね」という、前向きなコメントを多くいただきました。

アイデアコンテストでの3人の発表のようす
アイデアコンテストでの3人の発表のようす

どのようなきっかけでSDGsに関心を持たれましたか。それぞれにお聞かせください。

佐藤さん
私の通っていた高校が、積極的にSDGsに取り組む教育をしていた点が大きいです。私自身もカンボジアの小学校の就学率を上げる活動に参画し、現地の日本人が代表を務める支援団体を通じて、絵本やブランコを寄贈するなどしました。支援団体の活動と合わせた結果、実際に就学率が上がったそうです。

齋田さん
祖父が漁師で、漁網にものすごい量のごみが引っかかると幼い頃から聞いていました。私自身も家族と一緒に故郷の海岸清掃によく参加しており、気がつけば海洋ごみについて関心がありましたね。

成田さん
私は2人より遅くて、大学生になってから未来の日本が災害に見舞われるようなドラマなどを見たことがきっかけです。生まれた時代や場所が違うだけで生き方が平等ではないというのは決して良いことではない。そうならないためには、今生きている私たちが行動しなくては、未来は良くならないと考えました。

それぞれ、「日常的に取り組んでいるSDGs」はありますか。

佐藤さん
小さいことですが、ごみの分別や落ちているごみを見て見ぬ振りせずに拾うなど。「当たり前」を積み重ねることが重要だと思います。また、自分たちが卒業した高校や中学校へこうした経験を伝えることも大切だと考えていて、私たち3人が社会人になっても実現していきたい目標です。

齋田さん
日頃から意識できる範囲のことから取り組むのが良いと思います。例えば、レストランで食べきれないような量を注文しないことも、当たり前ですがフードロスにつながりますよね。

成田さん
SDGs17の目標の中には、1人が声を上げても変わりにくいものもありますよね。学生の身だとできることは限られていますが、教室に落ちているごみを率先して拾う、弟・妹たちに食べ物を残さないことの大切さを伝えるなど、小さいことを続けていきたいと思います。

企業がSDGsに取り組んでいることについて、就職活動中の学生としてどのように感じていますか。

企業が取り組んでいるかどうかはかなり意識しています。自分たちがこうして真剣に取り組んできたためか、SDGsに企業が取り組んでいると、共通点があると感じます。取り組みを知ったことで、その企業をもっと深く知りたいと思うことも多いです。
もし採用していただいたとしたら、今までの自分になかった考えが得られるでしょうし、事業領域によっては今回のアイデアを実現できるかもしれない、という期待も持てますね。

企業が活動することの最大のメリットは、社会への影響力ではないでしょうか。一般の方の意識醸成だけでなく、企業のイメージアップにもつながると思うのです。
私たちの就職活動は、企業説明会のほかに、新卒者向けの求人プラットフォームに登録して、企業からのオファーを待つ方法も取っています。いずれにしても必ずホームページを拝見しますので、SDGsの取り組みについて専用ページが設けられていたり、トピックスが目につくように掲示されていたりすると、信頼度が高まってより深く知りたいと興味が湧きますね。

実際に調べてみると、従業員が海洋ごみ回収活動に参加されている企業や、世界的な衣料メーカーが海洋プラスチックごみを原料に衣料品を作っていることも知りました。後者は今回のコンテストの研究中に出たアイデアでもあるので、すでに実現している企業があることに驚きました。また、教育機関がSDGsに取り組んでいるケースも興味があります。

SDGs以外で、就職活動で重要視している企業の取り組みはありますか。

やはりワークライフバランスです。お仕事はもちろんしっかりと取り組みますが、仕事だけで1日が終わってしまわないようにしたいです。また、キャリアアップに性別による差が出ていないかどうかも注目しています。
入社してすぐのことで言うと、研修制度が整っていることも安心材料になります。自分が成長して会社に貢献できるようになるためにも、しっかりとした研修期間を設けていただいているか確認したいところ。「研修期間1か月」や「入社後すぐに活躍できます!」という謳い文句だとかえって不安になりますね。
その他、家賃補助などの福利厚生の面も重要視しています。

これからの展望をお聞かせください。

今回のSDGsアイデアコンテストやインタビューを通じて、それぞれのSDGsに関する想いを見える化することができました。社会人になっても、後輩や身の回りの人たちへの啓発活動など、自分たちの考えをしっかり発信する機会を自ら掴みにいきたいです。
また、せっかく考えた今回のアイデアをいつか実現させたいです! そのチャンスが就職によって叶うよう、頑張っていきます!

過去のインタビュー記事一覧」はこちらよりご覧ください。

【該当するSDGs目標】

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2024年8月30日時点の内容となります。
上記記事は、将来的に更新される可能性がございます。
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