脱炭素への第一歩、「エコチューニング」とは

気候変動の原因である温室効果ガス削減のため、脱炭素社会の実現に向けて政府や地公体、企業などあらゆる主体が行動を起こしています。特に企業においては脱炭素への取り組みが重要な経営課題となり、上場企業に対しては、温室効果ガスの削減目標と排出量の実績開示を義務化することが検討され始めました。非上場企業に対してもサプライチェーンを通じてCO2排出量などの情報開示を求める動きは強まってきています。「選ばれる企業」になるためにも、脱炭素に取り組む企業風土を今のうちから作っていく必要があります。

脱炭素につながる「エコチューニング(R)」

オフィスビルなどを所有している企業にとって、建物の脱炭素対策は必須であると感じているものの、具体的にどんな取り組みをすれば良いか分からなかったり、今取り組んでいること以外にも方法がないか知りたい企業も多いのではないでしょうか。このときに有用なのが、環境省が推進する事業「エコチューニング」です。
エコチューニングは建物の状況に合わせた省エネ・省コスト・省CO2を実現する手法で、建物の設備機器の運用を最適化することにより、温室効果ガスや光熱水費を削減できるとされています。認定技術者による専門的な検査を実施し、結果に基づいて対応策を提案。366通りの手法が確立されており、基本的に大規模な設備投資を必要としないことも特長です。
エコチューニングの代表的な手法の一つであり、省エネ・節電の第一歩と言えるのがエネルギーの「見える化」です。例えばスマートメーターなどを活用すれば建物の中で使用電力の大きい時間帯・場所を把握することができ、使用電力の大きいところから改善策を考えるなど、効果的な節電策を講じられるようになります。また、見える化した電力消費量をその建物で働く従業員へ周知すると、おのずと従業員自身も節電意識が高まるという副次的な効果もあります。

エコチューニングの活用事例

エコチューニングを導入した株式会社フジクラの事例(※)をご紹介します。
同社が所有するオフィスビル5棟のエネルギー使用量の平均値は、1か月あたり約200万kWh。これは一般住宅5000軒分の使用量に相当します。フジクラグループでは「2050年に工場からのCO2排出量ゼロにチャレンジする」ことを掲げており、日々の省エネを意識した活動に加え、再生可能エネルギーへの切り替え、炭素クレジットの活用などを検討しています。中でも力を入れているのがエコチューニングです。環境省に認定されたエコチューニング事業者に検査を依頼し、省エネと入居テナントの快適性も損なわないというベストの運転状態を見つけ出して、PDCAサイクルを回しながら省エネを進めています。
このようにエコチューニングは、入居者、発注者、設計者、施工者といったあらゆる関係者がパートナーシップを組み、建物全体にとって適切なエネルギー管理・運用を目指した結果、省エネ・節電へと繋がっていく取り組みなのです。

再生可能エネルギーの導入も脱炭素に有効

エコチューニングとは別の方法で脱炭素に効果的なのは、再生可能エネルギーの導入です。しかし、再エネは一般電力より単価が高いため導入をためらう企業も多いのではないでしょうか。再エネに変えても電気代はランニングコストとしてかかってくるため、単価が上がると利益を圧迫し続けますが、同時に節電を進めていくことでコスト抑制に繋がります。
例えば製造業は、サプライチェーン全体でのCO2排出抑制を社会から要請されている一方で、製品の製造が増えるほど使用電力が増えてCO2排出量も増加すると言われています。そのため、売り上げを伸ばしながら脱炭素を進めていくために、エネルギーの見える化と節電に取り組み、再エネ化を行っている企業もあります。コストを抑えつつ脱炭素を進めるとても合理的な方法ですね。

あらゆる事業主体が協力し合って抜本的な節電に取り組んでいくことは脱炭素への一歩となりえます。
りそな銀行では脱炭素への取り組みに役立つさまざまな情報をご提供していますので、ぜひお問い合わせください。

※ 環境省「エコチューニングファクトブック」の事例より

SDGsについて、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。

【該当するSDGs目標】

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2024年8月29日時点の内容となります。
上記記事は、将来的に更新される可能性がございます。
記事に関するお問い合わせは、お手数ですがメールにてご連絡をお願いいたします。