キャッシュレス決済が普及したことで、ユーザーの利便性はますます高まっており、今後もその利用の拡大が予想されます。政府が策定した「未来投資戦略2017」では「2027年のキャッシュレス比率40%を目指す」とされていましたが、翌年に同じく政府が発行したキャッシュレス・ビジョン (2018) では、それを早くも2年前倒しし「2025年に40%を目指す」と発表されるなど、政策による後押しもキャッシュレス決済の普及を加速させています。
キャッシュレス決済によるメリットは多々ありますが、導入する側で気になることは、やはり利用に関するコストではないでしょうか?さまざまな企業がキャッシュレス決済端末を提供していますが、手数料の相場は実はあまり知られていません。
手数料の実態について知ることで、これまで放置していたムダが見えてくるかもしれません。キャッシュレスに係る手数料の実態について、次の章から詳しくご説明いたします。
手数料にはどんなものがある?
まずは手数料の種類を確認しましょう。決済端末に係る手数料には主に以下の2つに分けることができます。
- 月額利用料:キャッシュレス端末本体のレンタル費やシステムを利用する費用など、利用金額に関係なく固定でかかる費用です。端末を別途購入する場合は、その分の月額料金はかかりません。また、現在では多くの事業者が端末代やシステム利用料は無料としているため、月額利用料がかからないケースが多いようです。
- 決済手数料:キャッシュレス決済の利用金額に応じて決められた割合でかかる費用です。一般的にクレジットカードやQRコード決済など支払い方法によって手数料が異なります。
※継続してかかる費用は以上の2つですが、その他に導入時のシステム登録・構築費用などの初期費用がかかる場合があります。
キャッシュレス利用額は加速度的に増加している
経済産業省の調査によると、日本におけるキャッシュレス決済の利用金額は2010年時点で40兆円を下回っていましたが、9年後の2019年には80兆円を超え、わずか9年で2倍以上に成長しました。
政府が推進しているポイント還元事業等の後押しもあり、キャッシュレス決済比率の詳細な内訳では、クレジットカード以外の決済方法の利用者も年々増加傾向にあることが分かります(※1)。
また、経済産業省の資料によると(※2)、大手コンビニチェーンでのキャッシュレス決済比率が大きく上昇しています。
このことから、少額決済の場合でもより気軽にキャッシュレス決済を利用する人が増加している傾向にあると言えます。
決済手数料ってどれくらい?
公正取引委員会(H31.3)が調査した「クレジットカードに関する取引実態調査報告書」(※3)によると、手数料の平均は3.2%
となっています。
この手数料は業種によっても異なります。例えば、サービス業は小売業よりも未払いのリスクが高いという理由で、手数料が高めに設定されている場合があります。
りそな銀行が提供している「キャッシュレス・プラットフォーム」は1台で主要な決済ブランドを利用できる端末を無償で提供しています。VISA/Masterの決済手数料は業界でも低水準の2.95%以下となっています。
さまざまなデータをご紹介しましたが、データが示す通りキャッシュレス決済比率はどんどん増えてきています。その手数料については、具体的に手数料が0.1%変われば取引額が1千万円ごとに利益が1万円変わります。
今回は主に手数料について記載しましたが、キャッシュレス決済にシフトすることは売上の管理コストの削減や、顧客の機会損失の防止、顧客単価の向上などメリットはたくさんあります。決済手数料だけでなくさまざまなコストを勘案し、キャッシュレス決済の導入の是非や自社に合うキャッシュレス手段はどれかをこの機会に考えてみてはいかがでしょうか。
(※1)経済産業省 「第一回の議論の振り返り、日本のキャッシュレス決済比率、決済事業者及び国の開示の在り方について」(2020年6月23日)
(※2) 経済産業省 「キャッシュレス決済を取り巻く環境の変化と 本検討会で議論いただきたい点」(2020年6月10日)
(※3) 公正取引委員会「クレジットカードに関する取引実態調査について」(平成31年3月13日)
キャッシュレス決済及び法人決済ツールについて、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。