3か月に一度、マーケット情報や不動産に関する市況、最新のトピックスなどをお届けします。本記事は2025年夏に発行された、関西向けの内容となります。
【Market REVIEW】宿泊者数は緩やかに増加も、国内外での2極化が継続
- 大阪府と京都府での延べ宿泊者数は増加傾向が継続していますが、増加率は緩やかになっています。宿泊旅行統計調査によると、2025年5月の2府合計では前年同月比+4.3%となる842万人となりました。引続き日本人宿泊者の減少が続く一方、外国人による宿泊は増加しており、日本人宿泊者数を上回る月もみられています。京都府では特にこの傾向が強くなっていることから、外国人比率は上昇しており、足元では57.5%(大阪府は44.1%)となっています。
- 訪日外国人旅行消費額も増加傾向にあり、インバウンド消費動向調査によると、2025年1-3月期における京都府では1,340億円(前年同期比+37.1%)、大阪府でも3,793億円(同+51.2%)となっています。大阪府では買い物代と飲食費への消費額が全体の60%程度を占めています。また、両費目とも前年同期比で+50%を超えており、商業アセット等への影響も大きいことが考えられます。

GDP成長率は5期連続でプラス成長
- 2025年第二四半期の国内実質GDP成長率は第一次速報で+1.0%(前期比年率換算、季節調整値)と5期連続でのプラス成長となりました。GDPの大部分を占める個人消費は前期比+0.2%(実質季節調整値)と第一四半期から横ばいとなりました。引続き、米国の通商政策による影響には注視が必要になると思われます。
- ESPフォーキャスト(8月調査)によると、2025年第三四半期では+0.01%とわずかな成長になり、以降も1%未満の緩やかな成長が続く予測となっています。

小売販売額は上昇が継続
- 商業動態統計によると、2024年の年間小売販売額は前年比+2.5%と4年連続で増加しました。「飲食料品」による寄与が大きくなりましたが、値上げを受けた価格要因によって上昇した一方、販売数量は前年と比較すると減少しています。足元6月でも、物価上昇等の影響から40か月連続で前年同月比でプラスとなっています。
- 業種別では、百貨店が5か月連続で前年同月を下回っており、コロナ禍があけて以降好調だった勢いに失速感もみられます。百貨店協会によると、6月の全国百貨店売上高は前年同月比▲7.8%となりました。円高傾向を背景に高額品の購入が減少していることや、購買客数が減少したことで、インバンドによる売上高が4か月連続で減少しました。

新築マンション価格は高水準、契約率も好調に
- 不動産経済研究所によると、近畿圏の新築分譲マンション価格は、2025年上半期(1〜6月)では前期比で8年ぶりにマイナスとなったものの、㎡単価は5年連続での最高値を更新しています。また、契約率は77.1%と2年連続での70%台となっており、好調感がうかがえます。足元6月の平均価格は、前年に高額物件が多く発売されたことから前年同月比▲7.5%の5,205万円となった一方、契約率は76.5%と6か月連続で70%を超えています。
- 東京カンテイによると、6月の近畿圏における70㎡あたり中古マンション価格は3,128万円(前年同月比+9.8%)と直近でのピークとなった4月の価格を上回りました。大阪市では、7か月連続での上昇となる5,154万円と集計開始以来で初めて5,000万円を超えました。

オフィス空室率は改善傾向、賃料も上昇が継続
- 三鬼商事によると、2025年7月の大阪ビジネス地区における平均空室率は3.69%(前年同月比▲0.66ポイント)となっており、改善トレンドが継続していますが、新規供給の影響から前月比ではわずかに上昇しました。平均賃料は12,423円/坪(同+2.42%)と上昇傾向が続いており、好調感がみられています。
- 令和6年度テレワーク人口実態調査によると、近畿圏を勤務地とする雇用型テレワーカーの割合は24.4%(前年比+0.1ポイント)と前年からわずかに増加し、テレワーカー率の下げ止まりがみられました。

※大阪ビジネス地区=梅田地区、南森町地区、淀屋橋・本町地区、船場地区、心斎橋・難波地区、新大阪地区
【Market TOPICS】不動産鑑定問合せ件数の推移(関西圏)
- 不動産鑑定の問合せ件数は、今後の不動産売買の先行指標と考えられます。
- 関西圏の不動産鑑定問合せ件数は、2025年2Qで大きく増加しており、前年同期の過去最高件数を上回っています。
- アセット別ではヘルスケアを除いた全てのアセットで、2020年の年間平均を上回っています。

(注)2020年を100とする指標

(注)2020年を100とする指標
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