デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉が当たり前に使われるようになって久しいですが、いざ自分でDXを説明しようとすると言葉に詰まってしまう方も多いのではないでしょうか?
しかし、技術の進歩は止まることなく、これまでできないと思われていたようなサービスが気軽に使えるようになったり、そこから新たなビジネスチャンスが広がっています。私たちの社会は、ますます便利で快適なものへ変貌を遂げています。
企業においてもDXを実践して利益率を向上させるなどメリットを享受することは当然ですが、実践していなければ大きな損をする可能性があると自覚しなければいけません。
今回はDXの本来の意味をおさらいしつつ、DXがもたらしてくれるメリットについてご紹介いたします。
そもそもDXとは?
冒頭で、DXの説明は難しいと言いました。それもそのはず、DXの定義は各産業や企業、組織の視点によりさまざまな定義が存在し、実は明確には定まっていません。
「DX化する」「DXできる業務」「DXを取り入れる」など使われ方もさまざまで、それぞれの分野においてDXが語られているため、自分の業界においてどのような定義なのかを確認する必要があります。しかし、その本質的な意味合いはどの業界でも同じです。ここではDXの本質およびデジタルとITについてもご説明します。
デジタル化とIT化の違い
デジタル化とは、情報を電子化することを意味します。一方のITとは情報技術のことで、アナログ文脈でも使用することができます。極端な例ですが、紙の名刺を名前順に整理することもIT化したと言えます。
ここで、名刺を電子化したものを整理することは、「デジタル化」と「IT化」の両者を行ったことになり、これを「デジタライゼーション」といいます。
では、DXとは何でしょうか?ここまでの説明したことを用いて端的に説明すると、
『DX=デジタライゼーション(IT化とデジタル化の両方)を活用して、社会やビジネスモデルを良い方向へ変革すること』になります。
名刺の例を用いると、名刺を電子化して整理し、それを誰でも使える便利なツールとして社内外で活用することこそがDXと言えます。
DXで生まれたビジネスモデルの事例
DXによって起きた代表的なビジネスモデルを3つご紹介します。
プラットフォーム型:Uber Eats(ウーバーイーツ)
プラットフォームとは、サービスやシステムなどの共通の土台となる環境のことを指します。例えば、今や多くの方が利用しているUber Eatsは、多数の飲食店が登録し、利用者が集まるプラットフォームとして成功しています。
元々はタクシーの代替サービスとして日本に上陸したUberは、一般人が自分の空き時間を使って自家用車でお客さまを運ぶサービスを提供しました。目的地や支払い金額を事前に確認でき、全て専用アプリで完結することが可能となっており、そのサービス範囲は今やタクシーを超えています。2016年に開始したUber Eatsは、これまで飲食店に直接注文と支払いをしていたデリバリーサービスを全てオンラインで行います。さらに配送は配車サービスで培った技術を応用し、店舗スタッフではなく登録した一般人が行うことで、店舗・配送者・利用者それぞれがメリットを受けられるプラットフォームを構築しています。
サブスクリプション型:Netflix
サブスクリプションとは、サービスや製品を売り切りではなく、利用した期間、用途、利用量に対して対価を支払う課金型のビジネスモデルです。動画コンテンツのDXで成功したNetflixをご存知の方も多いでしょう。
元々は小さなレンタルビデオ屋でしたが、最初のDXはオンラインでDVDの郵送サービスを開始したことです。そこでは新作の紹介ばかりではなく、過去作のDVDもオススメすることで、店舗に眠っていた古い作品でも継続的に利益を生み出せることが証明されました。このデータがあったからこそDVDレンタルのサブスクへ移行できましたが、競合であった他のレンタルショップは、延滞料が大きな収益を占めるビジネスモデルだったために、サブスクへの移行に踏み切ることが難しかったと考えられます。
その後のNetflixは、ますますDXを加速し、コンテンツ自体をDVDから動画ストリーミングへ移行、現在はオリジナルコンテンツを制作するまでになっています。
パーソナライゼーション型:Google広告・Facebook広告
パーソナライゼーションとは、顧客一人ひとりの興味・関心・嗜好に合わせて、サービスを最適化することです。
例えば、広告といえば今ではGoogleやFacebookなどのオンライン広告が当たり前となっていますが、かつては新聞やテレビ、雑誌などのマスメディア広告が主流でした。それ以外でも電柱広告や店頭のポスターなどのオフラインで商品やサービスの告知が行われていました。これらは現在でも有用なプロモーション手法ではありますが、興味のない人にまで広く発信することになるため、効率や費用対効果を考えるとより興味のある人にだけ届けたいという広告主の希望と一致していませんでした。また、顧客側にも広告があふれ、余計な広告は見たくないという想いも生まれました。そこで、広告モデルのDXにより、オンライン上のウェブサイト等に広告スペースを設け、その反応から広告をパーソナライズし、顧客体験を最大化することが可能になりました。
DXの基礎とDXによって生まれた代表的なビジネスモデルの変革をご紹介しました。
繰り返しになりますが、『DXとは、情報を電子化し、使い勝手をよくすることにより社会やビジネスをより良い方向へ変革すること』です。
Netflixの事例でもあるように、レンタルDVD郵送サービスをオンラインで行うなど簡単にできることもDXに含まれると考えると、意外とハードルは低く、その割には得られるリターンが大きいと思えてきませんか?
DXに対応することで、コストの削減や新たなビジネスチャンスに巡り合える一方で、この波に乗り遅れてしまうと自社が損をしている状態にもなりかねず、相対的に社会的な競争力は低下してしまいます。
現代では、わざわざプラットフォームやサブスクリプション、パーソナライゼーションのシステム構築をせずとも簡単に利用できるサービスも多数あります。この機会に、自社の業務内容やフローにおいて社内でDX化できる部分はないか、改めて見直してみてはいかがでしょうか。
DXでの課題解決及び法人決済ツールについて、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。