就活でSDGsが注目を集める理由、若者の意識変化の背景とは

MIRASUS(ミラサス)キャリア 代表 堀澤憲己
1993年東京都生まれ。2016年上智大学法学部法律学科卒業。新卒でインターネット広告の営業を経験後、人材系のスタートアップ企業にてマーケティング責任者として従事。2023年に株式会社ミラサス代表取締役に就任し、SDGs・サステナビリティ分野特化のwebメディアを複数運営しながら、企業のサステナビリティに関する広報PR・プロモーション支援などを行う。


親世代は学生の頃、給料など待遇の良さや福利厚生の充実度、さらには企業としての安定度などを重視して就職活動をした人が多かったのではないかと思います。一方、近年は「世の中の役に立ちたい」という動機で企業を選ぶ学生が増えています。そんな彼らが重視するのが、企業のSDGsへの取り組み。SDGs・サステナビリティに特化した就活情報サイト『MIRASUS(ミラサス)キャリア』の堀澤憲己代表に話を伺いました。

Z世代以下はSDGsへの意識が非常に高い

私たちはもともと、『MIRASUS(ミラサス)』というSDGs・サステナビリティ特化の情報サイトを運営しており、『MIRASUSキャリア』は2023年8月にスタートしたばかりのサイトです。『MIRASUSキャリア』をスタートさせたのは、意外な発見からでした。『MIRASUS』は特に学生向けのサイトというわけではないのですが、24歳以下の人たちからのアクセスが半数近くを占め、非常に割合として高い傾向が出ていたのです。

そして、高校生や大学生からの問い合わせも多くあります。例えば「学校でSDGsについて勉強していて、レポートを作成したいので取材させてほしい」という依頼が高校生から来たり、大学生からは「大学でSDGsに関する取り組みをしているので、MIRASUSに掲載してほしい」といった依頼が来たりします。

Z世代(1990年代後半以降に生まれた世代)の人たちは、30代以降が考える以上に、SDGsへの関心が高いのです。問い合わせをくれた学生たちと接点を持つうちに、「企業のSDGsへの取り組みを知りたいけれど、どう調べたらいいかわからない」「学校の授業で関心を持ち、SDGsに取り組む企業にエントリーしたいけど、企業の取り組みがよくわからない」という声が多いことに気づきました。彼らは就活においてもSDGsを重視していますが、企業が発信するものは主にIRなど投資家向けで、学生にはちょっとハードルが高いのです。こうしたニーズに応える就活情報サイトとして、『MIRASUSキャリア』が誕生しました。

新学習指導要領で強く意識されているSDGs

そして、学生のSDGsへの関心度は今後、さらに高まることが予想されます。なぜなら、小学校で2020年度から、中学校で2021年度から、高校で2022年度から改訂された学習指導要領で、「持続可能な社会の創り手の育成」という文言が入ったからです。これは今後、学校の授業でSDGsについて、より多くの時間が割かれるということを意味しています。

今、SDGsに関心を持って就活をしている学生は、傾向として上位校の学生が多く「一部の意識の高い学生たち」と思っている人も一定数います。しかし今後、学校教育の場にSDGsがどんどん浸透していきますから、いずれは学生の多くがSDGsを自然と意識するという時代がくるのではないかと考えています。

「社会貢献」が企業選びの動機に

親世代の方々は、「安定した大企業がいい」という価値観で就活をしたと思いますが、今の学生のアンケート調査からは、価値観が様変わりしていることが見て取れます。

就職先企業に決めた理由

上図の調査では、なんと最上位に「社会貢献度が高い」が来ていて、しかもその比率は年々上がっています。こうした価値観を持つ学生は、企業のSDGsへの取り組みを真剣にウォッチしているだろうことは、容易に想像していただけると思います。

こうした若者たちの意識の高まりに対して、企業側の取り組みや発信は、まだまだこれから、といった様相です。中堅・中小企業からは「SDGsに取り組む余裕がない」という声をよく耳にしますし、大企業であっても、人事や広報担当者が自社のSDGsへの取り組みをしっかり理解しておらず、十分な発信ができていないといったケースは少なくありません。

今、高校生や大学生は学校でSDGsに関してとても熱心に勉強しているので、知識面だけで考えると、もしかすると学生の方が詳しいということは多々起こりうるでしょう。

そんなときに、学生に対してしっかりと伝えられるように、最低限自社の取り組みはきちんと全て把握して、同業界の取り組みや全体のトレンドもできる限り情報収集することなどが求められます。

すでにSDGsに取り組まなければ、ビジネスが立ち行かなくなる時代がきています。それだけでなく、人材採用についても、SDGsが重要なカギとなりつつあるのです。規模の大小にかかわらず、企業の採用担当者の方々には、こうしたトレンドをしっかり把握して、まずは自社の取り組みを十分に理解し、どういった発信を就活生に向けて行っていくべきか、対策を練っていただくことが重要かと思います。

SDGsについて、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2023年12月15日時点の内容となります。
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