古くはシリコンバレーで拡がりを見せた1on1ミーティング。日本でもすっかり認知されるようになりました。これから導入するという場合には何に気をつければいいのでしょうか。また、すでに導入している企業ではしっかりと結果が出せているでしょうか。振り返ってみましょう。
1on1ミーティング、その目的と効果
企業はそれぞれのビジョンに沿って業務を行います。正しく業務が遂行されるよう上司が部下のマネジメントを行う手法として、1on1ミーティングが注目されています。
1on1ミーティングは、業務と人それぞれに最大限の効果を求める目的で行うもの。業務の遂行と従業員のモチベーション向上は車の両輪であり、従業員のモチベーションが高まるように正しく1on1を行うことが重要です。優秀な人材の育成や自社に対してのエンゲージメント向上、人材定着や企業文化の醸成などの効果を得られるでしょう。
従来型目標管理面談と1on1ミーティングの違い
これまでは目標管理面談を行い、業務や個人の目標を管理していた企業が多いでしょう。1on1ミーティングには上司と部下間のコミュニケーションを高める目的があり、次のような点が従来の面談と異なります。
- 面談内容を人事評価に直接ひも付けない
- 部下が主役の面談である
- 話題はプライベートの相互理解など業務内容以外のものも含まれる
また、定期的なコミュニケーションによって業務の進捗が把握でき、部下のささいな変化にも気づきやすくなるでしょう。プロジェクトの危機や従業員のモチベーション低下などにも早い対応が取れるため、業務推進や離職率の低下にも繋がります。
その方法は次のとおりです。
コミュニケーションを向上させる手法
上司と部下の信頼関係を築くことがコミュニケーションの目的です。上司はオープンな雰囲気作りを心がけ、感謝の表明やプライバシーの尊重を明確にします。積極的に質問を投げかけ、相手の意図を理解するための傾聴(アクティブリスニング)を行うことで、共感や理解していることが部下に伝わるようにしましょう。
モチベーションを向上させる手法
上司と部下の間で目標を設定し、進捗や成果を適宜フィードバックし合いましょう。目標達成までのプロセスにおいては、部下自身が気づいていないかもしれない強みを明確にしてあげたり、部下に対して会社がどのようなことを望んでいるかを言葉にすることなども大切です。部下の業務への理解が深まりモチベーションが向上します。
1on1ミーティング導入企業の成功事例
ヤフー株式会社(現:LINEヤフー株式会社)
ヤフー株式会社では2012年に1on1ミーティングを取り入れました。
「上司が部下の考えていることが分からない」「年下の部下への接し方が分からない」といったマネジメント層の声や、時短勤務など多様な背景を持った部下が増え、ダイバーシティの考え方が必要になってきた社会的背景があります。
ヤフーでは、「経験学習」というスキームの導入をすることと「社員の才能と情熱を解き放つこと」を実現するために、上司が部下の成長を支援することが重要になってきたといいます。「週に1度30分間、場所を確保して部下の話を聞く」というシンプルな方法で始めました。
人事部門が主導してスタートした当初は「そんな時間は捻出できない」などの反対の声も上がったそうですが、ブラッシュアップを重ね、2020年には6,000人もの従業員が1on1ミーティングを実施するまでに定着しました。
企業規模の大小によらず、1on1ミーティングが文化となるよう、日々改善を重ねていくことが成功の秘けつだと考えられます。
詳細はぜひこちらの記事をご覧ください。
- ヤフー株式会社は2023年10月にLINE株式会社などのグループ会社と合併しLINEヤフー株式会社となりました。記事の内容は掲載日時点の内容となります。
双方向のコミュニケーションを通じて上司と部下が相互に理解を深める1on1ミーティング。効果的な業務遂行やキャリア成長を促進できる効果が認められ、長期的に見ても従業員の離職防止やエンゲージメント向上にも寄与するはずです。
今や、大企業だけが取り組む特別なものではなくなってきています。まだ導入していない企業はぜひ取り入れてみませんか?