3か月に一度、マーケット情報や不動産に関する市況、最新のトピックスなどをお届けします。本記事は2023年秋に発行された、関西向けの内容となります。
【Market REVIEW】日本への旅行需要・国内延べ宿泊者数は回復が続く
- 円安効果などを背景として訪日外客数はコロナ禍前の水準に迫っており、日本政府観光局によると2023年9月では2,184,300人と2019年同月比96.1%と回復率では前月を大きく上回っています。国際線定期便も夏時点でコロナ禍前の6割程度まで便数が回復しており、航空座席供給量も回復傾向にあります。懸念材料としては、物価高や航空・旅行業界の人出不足、ウクライナ情勢によるフライト時間の増加などがあげられています。観光庁によると2023年7〜9月の訪日外国人1人当たり旅行支出は210,810円(2019年比+29.4%)となっており、全体の構成比をみると宿泊費が増加、買物代が減少しています。
- 外国人宿泊者数の回復に伴い、国内延べ宿泊者数も増加しています。
2023年9月では5,028万人泊(2019年同月比+3.1%)とコロナ禍前を上回っており、今後、外国人宿泊者数も回復する見込みとなっていますので、さらなる増加に期待が高まります。
世界経済はソフトランディングシナリオに
- IMFによると世界経済成長率は、2023年は3.0%、2024年は2.9%と鈍化していく見込みとしています。コロナウイルスによるパンデミックや生活費高騰などの打撃から徐々に経済は回復しており、戦争による燃料と食料市場の混乱、高インフレに対する世界的な金融引締めなどにより経済は鈍化したものの停滞はしなかったとしています。
- 総合インフレ率も減速しており、2022年の前年比9.2%から2023年は5.9%、2024年は4.8%になるとしています。今後の見通しとしては、経済は大きく減速することなくインフレが落ち着くソフトランディングのシナリオと一致しているとしています。
店舗の出店意欲、外食売上ともに好調
- 日本不動産研究所、ビーエーシー・アーバンプロジェクトによると、コロナウイルスの影響も収束を迎えつつあることなどにともない店舗の出店意欲が高まっているとしています。特にインバウンド依存の高いエリアやコロナ禍でも売上を伸ばしていたラグジュアリーブランドの出店対象となるストリートは出店需要が強くなっています。
- 日本フードサービス協会によると、2023年9月の外食全体の売上は前年同月比で115.0%、2019年比では109.5%となっており、都心部や観光地を中心に売上が向上しているとしています。店舗数は2019年比で92.3%となっていますが、大幅に減少した「パブ・居酒屋」でも68.1%まで回復しています。
上期として近畿圏の新築マンション価格は高値に
- 不動産経済研究所によると、近畿圏の新築分譲マンション価格は、2023年上期(1~6月)では4,774万円と6年連続の上昇となり、1992年以来の高値となっています。足元2023年9月では4,527万円と前年同月比では3か月ぶりの下落となっていますが、契約率は80.5%と好調であり、2か月連続で70%を超えています。
- 東京カンテイによると、近畿圏全体の2023年9月の70㎡当たり中古マンション平均価格は前年同月比+0.3%、前月比▲0.5%の2,886万円となっています。横ばい傾向が継続しており、中古マンション価格では天井感もうかがえます。
空室率は低下トレンドに
- 三幸エステートによると、大阪市の2023年9月の平均空室率は前月比▲0.09ポイントの4.26%となっており、2022年5月をピークに改善傾向にあります。平均募集賃料は13,018円/坪(前月比+51円/坪)と13,000円台前半で推移しています。
- 引き続き建築費は上昇しており、建築物価調査会によると2023年10月の大阪市における工事原価(RC造、事務所)は暫定値にはなりますが127.5(2015年基準)と最高値を更新しています。建築コストの増加による建設控えや竣工の先延ばしなどの影響が考えられます。
【Market TOPICS】2023年都道府県地価調査(大阪圏・全国)
- 2023年の都道府県地価調査(7/1時点)によると、大阪圏の上昇率は住宅地+1.1%、商業地+3.6%で、前年より上昇幅は拡大しました。
- 住宅地と商業地ともに上昇率の上位には、半導体メーカーが進出している北海道千歳市と熊本県がはいっています。その他にも昨年から引き続き北海道恵庭市と北広島市が、沖縄県恩納村は観光客数の回復や移住需要を受けて高い上昇率となっています。
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