省エネ支援の賢い選び方

中小企業が省エネ診断を受ける際、どのように診断機関を選べば良いのでしょうか? また、省エネの具体的な取り組み事例はどのようなものがあるでしょうか? 一般社団法人 環境共創イニシアチブにお話を伺いました。

省エネ診断はどこを選べば良いか?

経済産業省が補助事業で実施する省エネ診断は現在、「省エネクイック診断」「省エネ最適化診断」「省エネお助け隊」の主に3つのメニューがあります(下図参照)。

「省エネクイック診断」は、安価かつ短時間で診断を実施しますから、一番手軽に受けられると言えるでしょう。1設備だけ診断を受けたい、といったニーズにもお応えするメニューとなっています。

「省エネ最適化診断」では、1日かけて工場やビル全体のエネルギー使用状況を確認していきます。より詳細な診断を受けられ、再エネ提案も含めた脱炭素化を進めることが特徴です。

では、「省エネお助け隊」はというと、省エネ診断だけでなく、診断後に省エネへの取り組みを進める際の伴走支援も提供しているところが特徴です。また、経営の専門家もいますので、省エネのみならず、経営全般の効率化のお手伝いもできます。

「省エネお助け隊」の支援事例

省エネに加えて、経営改善支援をご提供したケースをひとつ、ご紹介しましょう。

株式会社東邦化学研究所は、錠剤の加工を手掛けていますが、錠剤製造ロスが多いことが問題の1つでした。そこで、廃棄していた製品を見直したところ、品質基準をしっかり満たしているものまで廃棄されていることがわかりました。以前は廃棄ロスが6割に上ることもありましたが、取り組み後にはなんと廃棄ロスをゼロにすることができました。

さらに省エネの取り組みも相まって、年間約600万円ものコストを削減することができた事例です。

もちろん、省エネだけでもコスト削減効果はしっかりと得られます。システムキッチンや化粧台、玄関収納棚などを製造している株式会社生晃は、集塵機のインバータ化やコンプレッサのエア漏れ改善に着手しました。また、お助け隊の派遣した専門家が、ランニングソー(製品をカットする機械)が昼休みにも完全にオフになっていないことを突き止めて、停止を徹底させるなどの施策を行い、年間約42万円のコスト削減効果が得られました。

削減できる金額は、その企業のエネルギー使用量によっても変わります。当然ながら、エネルギー使用量の大きな会社のほうが、削減金額は大きくなる傾向にあります。

省エネを成功させる秘訣

自治体によっては、無料で省エネ診断を受けられるメニューを提供しているケースもあります。ただ、無料の場合ですと混み合っていて、場合によっては半年待ちといったケースもあるようです。

スムーズに診断を受けるためには、過去の電気・ガスなどエネルギー使用量のデータを揃えておくほか、主要設備をいつ購入したのかについても整理しておくと良いでしょう。

また、省エネは社員の協力が欠かせません。先に述べた東邦化学研究所では電力使用量などのデータを掲示板に貼り出し、社員の意識づけに取り組みました。このように、状況を把握できるデータをコンスタントに提供して取り組みを促すことも大切です。さらに、社員に「しっかり省エネに取り組むぞ」と思ってもらうためには、まずはトップが決意を示す必要があります。

「売り上げアップにつながるものではない」という理由から、つい後回しになりがちな省エネ対策ですが、真剣に取り組めば、相応の果実を得ることができます。ぜひ、「省エネお助け隊」など外部の力を上手に借りながら、省エネに取り組んでみていただければと思います。

SDGsについて、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2024年12月20日時点の内容となります。
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