脱炭素は待ったなし!温室効果ガス排出量の多い業種はどれ?

2018年の排出量を見てみよう

脱炭素への取り組みは待ったなしの状況となっていますが、CO2をはじめとする温室効果ガスの排出量は、業種によって大きな差があります。今回は、環境省が2022年3月に発表した、2018年度の事業者別の温室効果ガス排出量データから、どんな事業者が多く排出しているのかを見てみましょう。

この調査は、温室効果ガスの排出量の多い事業者に対して報告義務を課し、国が集計・公表する「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」に基づいたものです。排出量の多い事業者を「特定事業所排出者」と「特定輸送排出者」(貨物輸送業や航空輸送業など)に分けて報告しています。2018年度の「特定事業所排出者」の排出量は合計で6億3945万t-CO2、「特定輸送排出者」は2968万t-CO2でした。「特定事業所排出者」の排出量の内訳を見てみましょう。

※出典:「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度に基づく平成30(2018)年度温室効果ガス排出量の集計結果」(経済産業省・環境省)
tCO2(トンシーオーツー)は温室効果ガスの排出量を二酸化炭素換算の重量であらわしたもの。

鉄鋼業の排出量が最も多い理由

全体の76.9%を占めるのは製造業。中でも排出量が多いのは、鉄鋼業や化学工業、窯業・土石製品製造業あたりです。いずれも、大規模な工場を擁して生産活動を行っているため、排出量がどうしても多くなりがちです。

特に排出量の多い鉄鋼メーカーは、石炭を原料とするコークスを使用して鉄を生産するため、製造過程では多くのCO2を排出してしまいます。また、電力使用量も多いため、こうした結果になるのも致し方ありません。現在、水素還元製鉄など、CO2排出量を大きく削減できる技術開発が急ピッチで行われています。

4番目に位置するのは石油製品・石炭製品製造業。石油元売りでは、電気自動車ビジネスに力を入れたり、陸上・洋上風力発電など再生エネルギーへのシフトを目指したりするなどの動きが見られます。

輸送業の状況は?

「特定輸送排出者」には、航空運送業や陸上貨物運送業、海運業、そして荷主企業などが含まれます。いずれも輸送に化石燃料を多く使用する業態です。こうした業界でも、脱炭素に向けた取り組みがスタートしています。

例えば、トラック業界では、輸送網の効率化や、よりCO2排出量の少ない輸送チャネルに切り替える「モーダルシフト」などの取り組みが盛んになっています。さらに、ハイブリッド車や電気自動車などの導入も進んできました。航空業界では、植物などを原料としたジェット燃料「持続可能な航空燃料(SAF)」を導入する動きがあります。

また、海運業界では、自動車運搬船で重油を使用する船舶から、LNG(液化天然ガス)を燃料とする船舶への転換の動きが見られます。

今や、脱炭素は世界的な流れ。自社内での意識の高まりはもちろんですが、取引先からの要請も、企業が取り組みを加速させる大きな動機になっています。前述した自動車運搬船のLNG船への切り替えは、欧州の自動車メーカー・フォルクスワーゲンが、LNGを使用する船舶の使用を入札条件とするなど、大口荷主からの要請が高まっていることが、大きなきっかけとなりました。

取引先からの要請も高まる

自動車業界だけではありません。アップルは2030年までに、サプライチェーンの100%において、脱炭素を達成するとの目標を掲げています。この流れについていけない事業者は、アップルとは取引ができなくなりますから、対応は急務です。

企業において利益が重視されるのはもちろんですが、脱炭素をはじめとした、環境問題への取り組みが今、急激に注目されるようになっています。ここをおろそかにしてしまうと、どれだけ良い商品やサービスを安く提供していようとも、入札に参加できなかったり、取引を打ち切られてしまったりするなどの不都合に直面してしまう時代なのです。

環境対策が「本業のかたわらに手がける、プラスアルファの良い取り組み」であった時代は過ぎ去り、「企業が生き抜いていくために必須の取り組み」となってきているのです。

SDGsについて、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。

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上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2022年10月28日時点の内容となります。
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