大企業で日常的に社長の言葉を聞くことはまれですが、中小企業においては社長自ら従業員に指示を伝えることもよく見られるでしょう。
中小企業には意思決定が速いというメリットもあるものの、実際のところは社長に言われて困った事態になる場合も。困った指示とその対処法を考えてみましょう。
社長にありがちな指示3選
1.指示があいまい
社長からメールが届いたと思ったら依頼内容は数行だけ……途方に暮れますよね。
そのような場合には、ビジネスの基本である5W1Hを確認してみることをお勧めします。
5W1Hとは英単語の頭文字を取った情報伝達のフレームワークです。
- When→期限はいつまでか
- What→何のために
- Why→なぜ? どんな理由で?
- Where→どこで
- Who→どの相手と
- How→どのような方法で
という問いにより情報を確実にするものです。
例えば社長に
「人件費を資料にまとめてくれ」と指示された場合に5W1Hを使って質問し、「現場から人不足という相談があり、火曜日に予定している人事部長と来期の採用人数を決める会議にて使用するため」
というような明確なオーダーが聞き出せれば、資料の質を上げることができるでしょう。
2.指示が変わる
朝令暮改という言葉があるくらい、上層部の意見が変わりやすいことは古くからある現象です。
これは、従業員と社長では見えている景色が違うためです。多くの情報を持つ社長は従業員よりも見える範囲が広いため、過去の経験や現在持っている情報に照らし合わせ「勘が働く」「勘で動く」状態になった時、指示が変わるという結果になることもあるでしょう。
ビジネスにおいては、最初の方針をかたくなに変えないよりも、臨機応変に対応した方が良い結果を生むこともままあるものです。
とはいえ、最初の指示に対応した従業員の方が間違っているかのように勘違いされてはたまりません。完了報告の際に当初もらった指示内容を併せて送っておくなど、エビデンスを残しておくと安心です。
指示通りに動いたというエビデンスを残しつつ、朝令暮改はより良いビジネスのためだと割り切って、プロセスよりもゴールを大切に考えてみてはいかがでしょうか。
3.指示ラインが違う
もしあなたが中間管理職だった場合、自分が何も知らないうちに部下が社長の指示で仕事をしていたらどうすればいいでしょうか。
スピード感のある経営が中小企業の優位性ではありますが、マネジメントラインを飛び抜けて社長自らが現場の従業員に指示をした場合、現場は混乱します。その場ではスピード感が有利に働いたとしても、長い目で見ると組織の指示系統を壊してしまうのは得策ではありません。
例えば部下に対して、社長から直接指示があった場合には中間管理職にも報告するようなルールを定めてみるのはいかがでしょうか。そして、社長指示を受けた部下の業務は中間管理職が進捗報告を行うようにすると、社長がマネジメントラインを理解してくれるかもしれません。
そもそもの問題として、社長と中間管理職のコミュニケーションが足りないことも考えられます。日次のメール報告や週次の情報共有ミーティングなど定例報告の場を設けるというのも一案です。
社長の指示を受けるということは、それだけあなたが社長の近くにいるということ。お互いの勘違いをなくすためにも、こまめなコミュニケーションを大切にしたいものですね。
そのために、社長に対して従業員の方から声をかけたり、情報共有のための場を持つように働きかけることも試してみてはいかがでしょうか。
課題解決の考え方について、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。