会社を経営するにあたって社長はさまざまな課題を抱えるものです。さらに二代目ともなれば、創業社長から事業や従業員を引き継ぐため、新規に事業を起こす創業社長とは異なる悩みも生じます。悩みを放置してしまうと経営の落とし穴になりかねません。二代目社長ならではの悩みとその解決策について探ってみましょう。
中小企業にもさまざまな経営課題がある
中小企業においては社長が一人で舵を取るパターンも多いため、さまざまな悩みを抱えることも多いでしょう。売上や受注が停滞・低下することによって資金難に陥ったり、中小企業には人材が集まりにくいとも言われています。(※1)
競合・市場・社会情勢などがすぐに変化する現代では顧客ニーズが多様化しているため、長年に渡って売上を保つことは容易ではありません。
また、人材に関しては中小企業を志望する人ばかりではないため、そもそもの採用難に加え、教育体制の不備・不足により人材育成が進まないという要因も考えられます。
経営資源を「ヒト・モノ・カネ」と称することがあります。モノが売れず、ヒトも集まらず、結果的にカネ=業績が振るわなくなることは多くの社長が恐れる状況でしょう。
二代目社長ならではの悩み
二代目社長は先代からの事業と従業員を引き継ぐこともあり、悩みは尽きません。
ヒトの問題でいうと、中小企業の二代目社長といえば親族内承継も多く、創業社長と二代目社長が親子であった場合には、いつまでも二代目社長の力や存在が認められないこともあります。
例えば新規事業を始めようとしても古株社員が賛同してくれず、二代目社長が社内で孤立するようなケースや、創業社長がワンマンで経営していた結果、従業員が能動的に動かず常に指示待ちの姿勢であるような場合、会社の文化を変えるには長い時間が必要です。
また、うまくいっているかに見えた創業社長の経営が、蓋を開けてみれば放漫経営だった、自転車操業だった、というような場合もあります。「二代目社長が会社をつぶす」という言葉もありますが、創業社長の時代に経営状態が悪くなっていることも有り得るのです。
企業の倒産原因は販売不振が圧倒的に多いものの、その次の原因に「既往のしわよせ」が挙げられます。(※2)倒産の種があちこちにまかれていたのに、何の手も打てなければ最悪の事態も免れません。
経営の落とし穴にはまらないために
事業運営、人事、財務など数ある憂いごとの中、二代目社長が経営の落とし穴に落ちないためにはどうすればいいでしょうか。
二代目社長は社内での立場が弱い場合もあり、社内での相談が難しいかもしれませんが、社外には多様な相談先があります。相手によっては二代目社長の悩みや成功事例を数多く知る方もいることでしょう。
2020年度版中小企業白書によると、日常的に相談できる相手がいる場合は現状把握や経営計画等の策定・運用を十分に実施できている割合が高く、さらに業績が良い企業も多いことがデータで示されています。(※3)
相談先としては、従業員規模が小さい企業では「税理士・公認会計士」や「同業種の経営者仲間(取引先除く)」と回答する割合が高く、従業員規模が大きくなるほど「経営陣、従業員」との回答が多くなっています。(※4)
上記のデータの通り、税理士・公認会計士・金融機関・商工会議所など、専門的な知識を持つ相談先があるようです。悩みは多いがこれまで誰にも相談したことがない……という方は参考にすると良いでしょう。
相談事を口にするだけで、自分の中での優先順位が見えてくる効果も考えられます。経営に行き詰まりそうな時は、他者の力を借りてみることも一つの手になるのではないでしょうか。
(※1)中小企業庁「2020年度版中小企業白書」 第3-2-22図 重要と考える経営課題(企業規模別、業種別)
(※2)中小企業庁「2020年度版中小企業白書」 倒産の状況(原因別倒産状況)
(※3)中小企業庁「2020年度版中小企業白書」 第3-2-54図 経常利益の傾向(日常の相談相手の有無別)
(※4)中小企業庁「2020年度版中小企業白書」 第3-2-53図 最も有効なアドバイス等の提供者(従業員規模別)
課題解決の考え方について、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。