隣の会社の余剰資産の運用術

「持ってはいるけれど、使ってはいない」
個人のちょっとした持ち物なら、使用することもないまま所有し続けることもありますが、不動産となると話はまったく違ってきます。税金や建物自体の維持コストなど、遊休不動産は、所有しているだけでも様々なリスクに見舞われる可能性があります。

不動産の種類や立地など、資産状況に応じて計画的に活用したいものですが、どうすればいいのでしょうか。具体的事例を交えてご紹介していきます。

役目を終えた事務所兼倉庫が……

ビフォー

使用しなくなって久しい事務所兼倉庫。昔は本社として使用されていましたが、本社機能の移転も済んでおり、再び使用する予定もなく、税金がかかるばかり。広い土地面積も併せ持つ物件ですが、活用する方策もないまま遊休不動産と化していました。

過去には、売却も検討していましたが話が進まず、何年もの間マイナスを生み続けていたのです。

アフター

手放すことを前提に考えていた事務所兼倉庫でしたが、有効活用できるニーズは社内ではなく社外にありました。

不動産業者から提案されたのは、売却ではなく不動産の有効活用に舵を切ること。「新たに事業用賃貸物件を建てて、継続的な収益を得ていくのはどうか」というものでした。社内でも検討をした結果、現在の建物の建替えと、広い土地は駐車スペースとして整備することを決めました。すると賃貸物件を探していた企業のニーズにピタリとはまり、遊休不動産が収益を生むようになったのです。

使わなくなった土地や建物を売ろうとしても、ニーズがなければ売ることは難しくなってしまいます。そのまま手放すだけではなく、収益性を高めるための有効活用を行うのもひとつの手段だという好例ですね。

住環境は悪化させたくない! 社員寮裏の空き地

ビフォー

A社では中規模の小売店舗に保有している土地を貸していましたが、数年前に店舗側企業の撤退が決まり、現在は空き地となっていました。土地を活用するために新たな出店候補先を探していましたが、裏にA社の社員寮があるため、寮の住環境を悪化させないことを希望していました。カフェやスポーツジム、コインランドリーなど、様々な活用を模索するも、時期や事業内容、賃料などの条件が合う候補先が見つからず、候補探しは難航していたのです。

アフター

さまざまな業種の店舗を中心に候補を探していた中、これまで探していたものとは少し違う活用先として提案されたものがありました。「デイサービスなどの高齢者施設を誘致するのはどうか」というものです。

高齢者施設であれば、騒音や臭いなど環境への懸念もクリアでき、長期間の賃貸借契約となることが想定されるため安定収益も期待できます。この方向で改めて候補を探したところ、ほどなくして高齢者施設の誘致が決まりました。
結果として、賃料などの収益性も住環境への影響も満足できるものになったのです。

賃料収入を考えた不動産活用では、用途を限定せず、より多くの可能性を模索することが重要という例になりますね。思わぬ活用先が見つかるかもしれません。


遊休不動産のような、所有しているだけの状態にある物件は、税金や維持管理といったコストもかかり、また建物の場合は倒壊や不法侵入などのリスクも抱えています。

また、活用されている物件であっても、赤字を生み出し続ける状態では対策が必要になってきます。売却も視野に入れつつ、有効活用できる道を探るべきでしょう。

有効活用するには、まず物件の特徴を捉えて、物件に合った活用法を見つけることが必要になってきます。建物であれば、その付加価値を高めるために、エンドユーザーのニーズを取り入れて新築・リフォームなどを行い、またSDGs対応として環境に配慮した物件にすることも効果的です。

せっかくの所有不動産ですから、眠らせてしまうのはもったいないと思いませんか? もし有効活用の方針にお困りでしたら、いつでもご相談ください。

不動産の有効活用について、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2022年11月10日時点の内容となります。
上記記事は、将来的に更新される可能性がございます。
記事に関するお問い合わせは、お手数ですがメールにてご連絡をお願いいたします。