起業10年目からのサバイバル術

東京商工リサーチの倒産企業の平均寿命(2021年)調査(※1)によると、創業10年目までの若い企業の倒産は全体の約2割に上ります。創業10年を越えたとしても、倒産企業の平均寿命は23.8年。時代の波に飲まれてしまう会社ではなく、長きにわたり、生き残る会社でありたい……創業社長ならば誰しもそう願うでしょう。社長自らが走る創業期を経て、末長く会社が生き残るためには何が必要でしょうか。今、社長にできることを考えてみましょう。

ピラミッド型組織と権限委譲

10年目といえば創業メンバーが去り、社内の顔ぶれが変わってきている状況かもしれません。会社を長く存続させるには、事業内容、業務内容を深く知る従業員の存在が不可欠です。組織立ったマネジメントをするためには組織体制が整備されていることが前提ですが、創業10年目で組織体制がしっかり整備されている会社は少ないと思います。一対多人数のワンマン組織からピラミッド型組織へ、事業・財務・労務など社長一人で担っていた仕事を分散し、組織を整備していきましょう。

組織の形を変えた時に社長が意識すべき事は「権限委譲(エンパワーメント)」です。これまで社長が行ってきた判断や決裁権の一部を役員や各部門に委譲します。
「基本的には任せ、締めるところは社長が締める」とすると、任された人が自ら考え、動くようになるでしょう。そうすれば、社長自身はより重要な案件に注力できるようになり、会社経営自体にも時間を割くことができます。

従業員が成長するために

ピラミッドはしっかりとした土台があってこそ。従業員がピラミッドを着実に上がり、いかにして成長していくか、その教育環境についても考えてみましょう。ノウハウの継承は会社の生命線でもあります。今まで口頭で伝えたり、暗黙知になってきたことをマニュアルとして整備するなど、新しい従業員が入ってきた時に業務を理解するための環境や教育体制の整備は必須です。ただし、マニュアルを準備して終わりとせず、その業務が必要な理由や、なぜそのやり方なのか、も伝えるようにしましょう。

また、直接的な業務に限らず、組織に必須のマネジメントや育成、コミュニケーションスキルの向上を図ることも必要になるでしょう。自社で行うことが難しい場合は、企業向け外部セミナーの利用を検討してみるのも一つの手です。業務拡大にともない必要になる財務・労務など専門知識についてのセミナーも数多くあります。最近ではWeb会議システムを使ったウェビナーも増えており、比較的安価に利用できます。

部署と従業員の現在地確認を

組織をピラミッド型にすると、ピラミッドの上から下までそれぞれの従業員が成長していくことが望ましいですが、全員が最大限の能力を発揮し続けることは難しいものです。しかし、従業員自身が自ら成長度合いを顧みて現在地を確認することは、従業員の成長においても、ひいては会社の成長のためにも必要なことです。大企業のようにしっかりとした評価制度を取り入れないまでも、部署や個人ごとに目標を立て、成果を可視化し、現状確認をすることで次のステップが見えてきます。客観的に分かりやすい形での評価制度があるとモチベーションの源泉にもなるでしょう。また、Aという業務が不得意でもBという業務が得意というように、個人によって特性が異なります。適材適所に配置・教育することで思わぬエースが生まれてくる可能性もあります。従業員の多様性を認め、適材適所を見極めることで組織全体のパフォーマンスが上がるでしょう。

最後に改めて考えたいのは、なぜ会社が長く続いてほしいのか、ということです。会社が倒産しないよう売上を上げるという目的は当然かと思いますが、従業員は会社の売上が好調であればついてきてくれるわけではありません。会社の事業が社会の役に立っている、という社会的な意義を感じられること、それによって自分も成長し、安定した生活が送れるという従業員個人へのリターンも忘れないようにしたいものです。

※1 東京商工リサーチ「倒産企業の平均寿命23.8年 3年ぶりに上昇【2021年】」

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2022年7月29日時点の内容となります。
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