国内マーケットが縮小していく中、海外進出は今や大企業だけでなく、中小企業の成長にも欠かせない戦略のひとつです。海外進出することで消費者からの認知度が向上し、そこから多様な投資家への接触や優秀な人材の確保など、さまざまな効果につながると考えられます。これらが巡り巡って企業価値の向上に結びつくことも想定でき、海外進出は売上以上の収穫が得られる可能性を秘めているのです。
今回は海外進出にかかる費用や、資金の調達方法の例についてご紹介します。
海外進出にかかる費用とは
1. 事前調査費用
①進出先のマーケットや規制等の調査
自社の商品に需要があるか、販売できる社会・経済状況にあるかといったマーケット情報のほか、取引先となる海外企業の信用情報、国ごとの外資規制についても調査しましょう。
②法、税務、会計等の調査
国によっては自国通貨や産業保護のため規制を設けている場合もあり、注意が必要です。(中国、タイ、ベトナムなど)
このような情報は国内でも収集可能ですが、進出担当者が現地に赴いて実際に目で見て確認することが実は重要です。そのための海外出張費が国内と比べてかさむことは、言うまでもありません。
2. 設立・設備投資費用
①事業所、工場など不動産購入費や家賃
工場や事務所、店舗などの土地や賃貸物件にかかる費用です。とくに土地を購入する場合は国によって規制があります。また駐在員用の住宅などの借上料、電気、水道等の光熱費などもかかります。
②会社設立費用
いわゆる法人登記費用です。国や法人の形態によって費用が異なるのはもちろん、現地企業との合弁企業設立を必須とするなど、外資企業単体での登記を受け入れていない場合もあるため、事前に確認しましょう。
③人件費
現地従業員の人件費については、常に最新情報を取り入れましょう。新興国へ進出する際には人件費を抑えられることを期待するものですが、教育・経済水準が上がり人件費が高騰したことで、移転・撤退を余儀なくされるケースもあります。
また、海外駐在員の渡航費、ビザの発給費用も必要です。駐在員の報酬は、日本水準の給与に海外手当を加えることが一般的です。
これらの投資費用については、日本貿易振興機構(JETRO)のウェブサイトである程度確認できますので、ぜひご活用ください。
JETRO 投資コスト比較
海外進出に必要な資金調達方法
資金調達の方法には融資、資本金(設立資本金と増資)、助成金とあり、今回は最も一般的な「融資」についてご説明します。
とりわけ初めての海外進出などで、自社に海外での実績や知名度がない中では、現地の銀行からの融資はハードルが高い傾向にあるため、次の3つの方法から選択するとよいでしょう。
1. 親子ローン
日本の親会社サイドで資金を負担し、海外子会社への貸付を行う方法です。
グループ内での資金融通のため、実行時・返済時に柔軟な対応が可能です。貸付金を海外送金する必要はありますが、比較的事務手続きが簡易で、日本の金利水準を享受できることもメリットになります。
ただし通常は円建での貸付のため、子会社が現地通貨への両替手数料や為替リスクを負担します。金額によっては、親会社の財務バランスの悪化にもつながるおそれがあることに注意しましょう。
親子間であっても、移転価格税制に留意した適切な金利設定の検討が必要です。
2. クロスボーダーローン
日本親会社の取引銀行などが海外子会社に直接融資する方法です。
メリットとしては、親子ローンに比較して親会社の財務バランス悪化が避けられることや、海外子会社の借入であっても国内で審査を受けられることです。日本の親会社が保証を差し入れるなどにより銀行への信用補完が可能な場合もあります。
一般的に米ドルまたは円での調達となり、現地通貨での借入が難しいことや、現地での規制によっては使用通貨や借入期間に制限があり、手続き面が煩雑なことがデメリットです。
3. スタンドバイ・クレジットの活用
日本の銀行から現地銀行へ保証を差入することで、海外子会社が現地の銀行から融資を受けられるようにする方法です。
海外子会社は現地通貨での借入ができれば為替リスクを軽減できます。親会社にとっても親子ローンに比較して自らの財務バランス悪化の解消にも役立ちます。
ただし、スタンドバイ・クレジットを発行するにあたり、日本の銀行への発行手数料と保証料、現地銀行への借入利息の両方の負担が発生します。国内銀行、現地銀行双方での審査が必要なため、資金調達までに時間がかかることも考慮しましょう。

以上のように資金調達方法によっては取扱いできる通貨やかかるコスト、手続きなどの特徴がありますので、自社に合った調達方法を選択できるよう検討することが必要です。
りそなグループでは、融資の方法の中でもその利用目的やメリット、デメリットを考慮した資金調達の計画立案もご支援しております。ぜひお問い合わせください。
- ご融資に際しては、弊社所定の審査手続きが必要な点をあらかじめご了承ください。