強い組織を作るための役職と人員配置

創業後、売上が見込めるようになり従業員が増えてくると、組織整備の必要性が出てきます。役職の決め方や人員配置はどのように行うべきか、強い組織を作るためのステップを考えてみましょう。

戦略的な組織づくりで人員を配置する

創業期は社長とわずかな従業員の力技で乗り越えることが多く、経理と総務、人事と労務、経理と財務など一人が複数の業務を兼務するケースも多いでしょう。ただ人を増やすにしても、闇雲に増やすと収集がつかなくなります。会社の拡大期には経営戦略の決定と、それに沿った組織づくりが重要です。
事業を拡大する場合、それに必要な規模や期間はどれくらいか、または事業の柱をもう一つ作るのかなど、経営戦略によって必要な人材や人数が異なります。経営戦略が明らかになれば、必要な業務人数がある程度具体的になってくるため、組織図や人材計画表などを作り、社内で認識を合わせながら組織づくりを行うと良いでしょう。

その組織図上のポジションが「役職」です。役職や肩書などによって序列を設けることで、社内的にも対外的にも責任の所在が明確になり、組織的な課題も集約していくことができます。さらに、従業員の数が増えると社長一人での対応が難しくなるため、所属長と社長とでマネジメント会議を行うなどして組織課題の共有と改善を行いましょう。

また、従業員にとって役職はモチベーションの上下に繋がります。例えば中小企業においてはベテラン勢で上層部のポストがいっぱい、管理職に女性がいない、といった例も……そのような状況では「自分は出世できないな」と離職率が上がる要因にもつながりかねないため、年齢や性別が偏らないような配慮も必要です。

組織体制の見直しが売上増加につながる

では、中小企業では組織体制の構築にどのように取り組んでいるのでしょうか。
「中小企業白書2022」によると、直近5年間で組織体制を見直した企業は従業員規模が101人以上の企業で8割超。5〜20人の企業では4割程度となっていました。規模が大きい企業ほど組織体制の見直しを行っているようです。(※図1)また、組織体制の見直しを行ったきっかけは、半数以上が組織戦略や経営計画の見直しを踏まえたものでした。(※図2)

(図1)従業員規模別に見た、組織体制の見直しの状況
(図2)組織体制の見直しのきっかけ

さらに、組織体制の見直しが売上に与えた影響についてのデータを見ると、従業員の規模によらず、組織体制の見直しを実施している企業の方が売上高が増加していました。(※図3)
組織体制の見直しは組織の硬直化を防ぎます。人が異動することで事業にも柔軟性が生まれ、目まぐるしい環境変化に対応できると考えられます。

(図3)従業員規模別及び組織体制の見直しの有無別に見た、売上高増加率(中央値)

20年ごとに事業を変化。組織改革で若い年代の役職者を増やしたA社の事例

「中小企業白書2022」より、組織の見直しにより大きな効果をもたらした、A社の事例(※4)をご紹介します。
A社は官公庁に対する政策提案コンサルティングを行う会社です。創業時は印刷業で、20年ごとに新事業を創出し、今では出版・広報・コンサルティングなど幅広い事業を展開しています。時代の変化に対応することが企業存続の条件と考えている社長は、意識的に20年、30年先を見据えて新規事業を創出し、そこに若手を据えることで次世代の人材育成を行うといった長期的な取り組みにチャレンジしています。

A社は若手を積極的に登用することで、事業と組織の新陳代謝を促しているようです。組織は手を入れないと硬直化してしまうものなので、A社のように意識的に組織改革を行うのも一案かもしれません。


会社が大きくなるにつれ、皆で同じ方向を向くためにも、社長は今後の会社の方針を従業員と共有することが大切になってきます。経営方針をベースにした人材戦略を立て、変化に対応できる強い組織づくりを目指しましょう。

各図は中小企業庁「中小企業白書2022(第2節)」より引用
※図1 第2-2-47図(Ⅱ P.128)
※図2 第2-2-48図(Ⅱ P.129)
※図3 第2-2-49図(Ⅱ P.130)

※4 中小企業庁「中小企業白書2022」の事例をもとにりそな銀行が作成

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2022年12月9日時点の内容となります。
上記記事は、将来的に更新される可能性がございます。
記事に関するお問い合わせは、お手数ですがメールにてご連絡をお願いいたします。