私が変えた先代から続いている3つの悪習慣

業務改善・業務改革というと、何か目の覚めるような新しいことを始めなければいけないなど、難しいことをイメージしてしまうのではないでしょうか。
しかし、実際はそんな難しいことばかりとは限りません。長い間受け継がれているという理由で行っているやり方を少し見直すことで、業務効率が劇的にアップした事例もあるのです。今回は脈々と受け継がれている業務を代替わりの機会に変更し、業務効率を改善したとあるメーカーの例をご紹介します。

外からの目だから感じた、2代目の疑問

同業他社で経験を積み、実父から2代目社長を継承し、メーカーである自社の舵取りをすることになった若き経営者。彼はあること気づきます。
「以前の職場と同じような業務をしているのに、なぜこんなに作業量が多いのだろう?」
経理、事務、営業、開発や製造の現場まで足を伸ばし、つぶさに観察した結果、事務処理の効率があまりにも悪いことに気づきました。そのことを指摘すると、どの社員も異口同音に「よくわかりませんが、昔からこうしないといけないので」と言います。
『よくわかりませんが』——つまり、事務仕事が現在の手順である根拠を理解している人がいないのです。
『昔からこうしないといけないので』——つまり、根拠を誰も知らなくなるほど前から、仕事の手順が更新されていないのです。
「このままでは効率の悪いままだ」と危機感を抱いた彼は、事務を担当する社員を集めて言いました。
「仕事をもっと楽にしよう」
この一言が、業務改革の一歩となったのです。

改革1決裁システム改革「ハンコ、捨てました」

【悪習慣】金額にかかわらず決裁印が必要な紙の書類が回っていた。しかも主任からはじまり社長に至るまで5〜6人の承認印が必要だった。

「なぜか書類が上がってくるのが遅い」と思っていた社長ですが、押印待ちが発生する状況が多いことに気づきました。また、備品の購入など少額のものでさえ決裁書類が回ってきました。調べてみると、先代は特に何も言わなかったため見逃されてきた、昔から存在した問題だったのです。
そこで決裁システムを導入して決裁フローをデジタル化し、予算の管理権限も責任の範囲を区切って委譲することにしました。一定の金額までは各部署の責任者と経理が管理することとし、回付人数を減らしました。また、システムに上がったデータはいつでもPCから閲覧が可能になるため、紙の書類のように書類が回ってくるのを待つ必要がなく、コメントをシステム上で記載することも可能になります。これにより申請者が品目・金額・理由を入力すれば押印待ちで止まることがなく、スムーズな決裁処理が可能になったのです。

改革2.経理システム改革「手渡し、やめました」

【悪習慣】経費の立替などの現金小口払いが多く、現金管理と処理の煩雑さが問題に!

基本的に小口の立替経費などに関しては、領収書と経費申請書類を都度提出し、その場で現金精算するといった体制になっていました。
社内に立替用の現金を常備しておかなければならないことは盗難などのリスクが生じ、また都度の処理は月末の経費処理業務を圧迫する原因にもなっていたのです。
これもデジタル化で手間と精度が大幅に改善されると考え、先の決裁システムと合わせて経費精算システムを導入することで業務効率化とリスク回避の両得をねらいました。こうして事務処理の申請と作業をデジタルに一本化することにより、各部署の事務処理・決裁処理が劇的に簡略化され、事務処理に割かれていた工数は大幅ダウンとなりました。

改革3.作業システム改革「属人化、やめました」

【悪習慣】各人が仕事を「私にしか分からない私の仕事」と捉えており、悪い意味でスペシャリスト化してしまっていた。休暇などで抜けがあると代替人員がおらず仕事が回らない状況を生み出していた。

これに関しては社内の仕事の進め方自体を改革する必要がありました。手順などのマニュアル化を徹底させ、デジタル資料として共有する状況を推し進めたのです。
最初こそ「マニュアル作成で作業が増える」などと反発はあったものの、必然的に「私にしか分からない私の仕事」はなくなっていきました。いつでも誰かがサポートをすることができるため、休暇もとりやすくなり、イキイキと働く社員が増えたそうです。
結果として、それまでは希薄だったチームワークが職場に生まれることになりました

実は、大それたことはしていない

今回の例で実際に実施したのは、「昔からある面倒くさいもの」を便利なツールに置き換えた、ということだけ。稼業の在り方は変わらず、しかし仕事の方法を時代に合わせてアップデートしていくことで、より効率的に仕事ができるようになり、職場環境も改善されました。
結果的にではありますが、この試みはSDGsの達成にもつながることになりました。デジタル化によるペーパーレスなどは顕著で、環境負荷の軽減にも、仕事をする人の負荷軽減にもつながる取り組みとなったのです。
「面倒くさいから変えない」という言葉はよく聞くものですが、「変えないこと」は結果的に一番面倒くさい選択をしているのかもしれません。

【該当するSDGs目標】

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2022年4月4日時点の内容となります。
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