3か月に一度、マーケット情報や不動産に関する市況、最新のトピックスなどをお届けします。本記事は2024年秋に発行された、関西向けの内容となります。
【Market REVIEW】インバウンド旅行者数、消費額は好調が継続
- 日本全体で宿泊者数の増加傾向は継続しています。日本政府観光局によると、2024年9月では5,407万人泊(速報値)と2019年同月比+10.9%、前年同月比でも+3.6%と増加しています。外国人旅行者数の増加が大きな要因となっており、日本人宿泊者数は宿泊料金の高騰や物価高を受けて、2019年比でマイナスもしくはわずかなプラスにとどまって推移しています。外国人旅行者数は9月では287万人となっており、すでに前年の累計である2,507万人を超えています。
- インバウンド消費動向調査によると、旅行消費額も増加しており、2024年7-9月期では1兆9,480億円(1次速報)と2019年比+64.8%、前年同期比+41.1%となっています。また、一人当たり消費額も22.3万円(2019年比+37%)と増加しています。今後も円安環境が継続するのか、または日米金利差の縮小などから円高に進んでいくのか、インバウンドの影響が大きい商業やホテルの分野でも注目が集まります。
世界経済は安定的な成長が見込まれる
- IMFによると、世界経済成長率は引き続き安定が見込まれるものの、勢いは失速する予想としています。前回時点(7月)から大きな変化はなかったものの、地域別では傾向が異なりました。欧州ではドイツなどで下方修正された一方、米国では個人消費の好調などから0.2ポイント上方修正されています。
- 日本の経済成長率は、24年は前回から0.4ポイントの大幅な下方修正がされ0.3%となっています。これは、インバウンドの急増など一過性要因の衰退を反映しています。一方、25年は実質賃金の上昇による個人消費の増加が成長を押し上げるとし、1.1%へと加速しています。
引続き店舗賃料はインバウンドのけん引が目立つ
- 日本不動産研究所、ビーエーシー・アーバンプロジェクトによると、心斎橋や京都などインバウンドからの人気が高いエリアでは出店意欲の上昇や店舗賃料の強含み傾向がみられるとしています。ラグジュアリーブランドも堅調な国内需要やインバウンドのけん引から好調が継続しています。
- 物価上昇の影響から小売販売額も増加しており、商業動態統計によると8月では30か月連続で前年同月を上回っています。また、日本百貨店協会によると、9月の全国百貨店売上高は31か月連続で前年同月比プラスとなっています。一方、上昇幅は縮小傾向にあります。5月の+14.4%をピークに低下しており、足元では+2.3%となっています。
中古マンション価格は都市中心部での高騰が顕著
- 東京カンテイによると、近畿圏の70㎡あたり中古マンションの平均価格は、2024年9月では、2,884万円(前年同月比▲0.1%)と前年比では下落しているものの、4か月連続で上昇しており、わずかではあるものの上昇基調にあります。大阪府では、6か月連続で上昇となり、上昇幅も拡大傾向にあります。特に大阪市中心6区で顕著に上昇しており、足元では前年同月比+18.0%まで拡大しています。
- 不動産経済研究所によると、2024年度上半期(4〜9月)の近畿圏の新築分譲マンション平均価格は5,393万円と1991年度上期以来の高値となりました。契約率も75.5%と2年連続での70%台となっています。
空室率は横ばいトレンドが継続
- 三幸エステートによると、大阪市の2024年9月の平均空室率は4.15%(前月比▲0.03ポイント)と足元で改善していますが、トレンドは横ばい基調となっています。需要は引き続き底堅く、平均募集賃料も13,520円/坪(同±0円)と横ばいとなっています。
- 建築費は引き続き高騰しており、建設物価調査会によると2024年9月の大阪における工事原価(事務所RC造)は暫定値にはなりますが、135.7(2015年基準、前年同月比+8.3ポイント)と天井感が見えない状況にあります。建築コストの上昇により、建て替え案件の先延ばしなどもみられています。
【Market TOPICS】2024年都道府県地価調査(大阪圏・全国)
- 2024年の都道府県地価調査(7/1時点)によると、大阪圏の上昇率は住宅地+1.7%、商業地+6.0%と前年より上昇幅は拡大しました。
- 全国の住宅地の上昇率上位は、移住ニーズが高まっている沖縄県と半導体メーカーが進出している北海道千歳市の地点となりました。商業地でも半導体メーカーの工場が建設されている熊本県の地点や、リゾート地として人気が高い長野県白馬などの地点で高い上昇率となっています。
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