事業承継にはまず後継者の選定から!

事業を承継するにあたり準備すべきことは数多くありますが、「誰に承継するか」によって対応方法は大きく異なります。会社に大きな影響を及ぼす後継者選びにはどのような選択肢があり、どのような人を選べばいいのでしょうか。

後継者の選定が事業承継の最重要課題

中小企業や小規模事業者における経営者の平均年齢は上がりつつあります。休廃業・解散企業の代表者年齢の構成比を見ても、60%超が70代以上であることに加え、50%超が「黒字廃業」を選択していることが分かりました。(※1)その主な理由は、後継者の不在だと言われています。黒字廃業を避けるためにも、後継者は早めに探し始めたいものです。
後継先は親族内承継、従業員への承継、第三者の3つに分類できます。

親族内承継

事業承継の方法として最初に思い浮かぶのは、親族内承継ではないでしょうか。中小企業における事業承継の実施数のうち、約3割が親族内承継となっています。(※2)社内外の関係者から心情的に受け入れられやすいこと、長期の準備期間の確保がしやすいこと、相続等により財産や株式を後継者に移転できるといったメリットがあります。

社内承継

親族以外の役員や従業員に会社を引き継ぐ社内承継では、経営者としての能力のある人材を見極めて承継できる点がメリットです。長年勤務した人物であれば経営方針や組織文化などを理解しているため、経営における一貫性を保ちやすいでしょう。

第三者への承継

年々増加しているM&A。専門家への相談はもちろん、インターネット上でマッチングできるサイトが増え、そのハードルは徐々に下がってきています。後継者を広く外部に求めることができ、現経営者は会社売却の利益を得ることなどがメリットになります。

後継者に向いている人材像とは

では、後継者に向いているのはどのような人材でしょうか。
どんな人材であれ経営に対する意欲や覚悟が必要であり、自社の事業に関する専門知識や実務経験、社内外でのコミュニケーション能力は欠かせません。
さらに後継先によって求められる能力に若干の違いがあることが中小企業庁白書から読み取れます。

事業継承の形態別、後継者を決定する上で重視した資質・能力

親族内承継

後継者の決定要因として、血縁関係を背景とした経営者との円滑な意思疎通や、自社事業に関する専門知識や実務経験がより重視されるようです。

社内承継

親族内・社外承継に比べ、「社内でのコミュニケーション能力が必要」と回答した割合が高く、従業員からの信頼、リーダーシップ、統率力等が求められることが分かります。また、将来のビジョンを打ち出す力や、組織のマネジメント能力、信頼に足る人格を有するかどうかも重視される傾向にありました。

社外承継

社外承継では、他の形態と比べて自社の事業に関する専門知識や自社の事業に関する実務経験といった知識・経験に回答する割合は低く、経営に対する意欲・覚悟が最も重視される結果となっています。

社外の親族へ承継した「社外承継」事例

会社の永続のために、次世代の育成を視野に入れた経営方針へ

印章の製造・販売業者であるA社。創業社長は60歳で社長交代することを目標に55歳から後継者について考え始めましたが、3人の娘に断られたため、社長公募を行うこととなりました。
大手企業出身のB氏に社長就任を前提として入社してもらい、経験を積ませようとしましたが、新規事業が軌道に乗らないなどの理由で4年後には離職する結果に……。
そこで、「従業員の生活の基盤となっているこの会社を、後継者不在を理由に廃業させるのは忍びない」と創業者の娘C氏が一念発起したのです。
「実績がない人が創業社長と同じように命令しても、従業員はついていきません。そのため、社長が命令する組織から、従業員自身が課題発見・課題解決できる組織を目指すことにしました」。
C氏は、工場や店舗に出向き現場の意見に耳を傾け、従業員に問題点や改善点を考えさせる意識改革に地道に取り組んでいるといいます。
「会社のことを本当に考えてくれるのは従業員。私の役目は、会社が永く続くよう、次世代への経営を承継していける組織づくりだと思っています」。(※3)


後を継いでくれる後継者によって取るべき方法はさまざま。いずれにしても「継ぎたい」という意思や覚悟を本人が持つことが重要です。早めに準備を始めることで従業員から経営陣に対する信頼を確実なものとし、円滑な事業承継ができる環境を整えましょう。

※1 中小企業庁「2022年版 中小企業白書・小規模企業白書」
第1-1-80図「休廃業・解散企業の代表者年齢の構成比」
第1-1-81図「休廃業・解散企業の損益別構成比」

※2 中小企業庁「事業承継ガイドライン(第3版)」(令和4年3月)
※3 中小企業庁「2016年度版中小企業白書」

事業承継について、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2023年12月15日時点の内容となります。
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