本業を支え、安定経営を叶える。長寿企業こそ、不動産の活用を

半世紀先はおろか、10年先を見通すことも難しい今。比較的安定した資産である不動産を活用・投資する動きが、さまざまな領域の企業で広がっています。事業を長きにわたって継続することを考えれば、安定的な収益の確保や、収入源の多様化でリスクヘッジすることが、ますます有効になっています。

老舗企業も不動産を有効活用

老舗企業がどのように不動産を活用しているかをご紹介しましょう。

歌舞伎で知られる創業1895(明治28)年の「松竹」は、東京・東銀座や京都を中心に、街づくりに貢献しています。全国に多くの不動産を保有し、エンターテインメント企業としての強みを生かしながら、安定収益の基盤を構築。古典芸能の域にとどまらない、「スーパー歌舞伎」や「シネマ歌舞伎」をはじめとする幅広い挑戦を下支えしていると言えそうです。

1879年創刊の朝日新聞社も、近年は本業の新聞発行をはじめとするメディア事業以外でも、比較的安定している不動産事業が全体を支える構図になっています。大阪・中之島、東京・銀座の開発プロジェクトの成功、オフィステナントも安定的に稼働していることが大きな要因と見られます。

1876(明治9)年創業のサッポロホールディングスは近年、不動産事業において毎年200億円以上の売上収益(≒売上高)をキープしています。新型コロナウイルスなどで本業の酒類事業が苦戦する中、安定的な利益を確保しています。長期経営ビジョンでは、グループのコア事業を『酒』『食』『飲』の3分野と位置付け、不動産事業とともにグループ保有のブランドを育成・強化していきます(※1)とあり、食品や飲食だけでない不動産事業を重視していることが分かります。

このような長寿企業の取組みを見ても、本業以外の柱をつくる重要性が浮かび上がります。

老舗で多い業種が「貸事務所」の理由とは?

数々の荒波を乗り越えてきた老舗企業には、本業とは別に、不動産を安定的な収益源として活用したり、賃料収入で業種転換してきた企業が多くあります。

2019年の帝国データバンク「老舗企業」の実態調査(※2)によれば、同年に業歴100年となる「老舗企業」の業種を細分類別に見ると、「貸事務所」がトップでした。「創業時は別事業を主業としていた企業が、所有する土地にオフィスビルなどを建て、賃料収入が増加し、貸事務所業へ業種が変わったケースが多い」と分析されています。

行政も不動産戦略で知恵

今や、長期的な目線で不動産戦略を考えるのは、民間だけではありません。築50年以上と老朽化する旧庁舎を抱えていた東京都豊島区は、新たに区民の税金を使わずに2015年、「日本初のマンション一体型本庁舎」を官民連携で開庁させました。財政難の中、周辺の再開発を促し、長期的な計画を立案。旧庁舎跡地を定期借地で貸し出し、その地代収入により、借り入れゼロで建替えを実現しました(※3)

事業継承まで見据えた備えを

先代から不動産などさまざまな資産を引き継いだ経営者としては、自分の代でいかに経営を安定させるか、成長を果たすかが大きなテーマです。時には思い切った業態転換や新規事業の検討も求められますが、本業を下支えするための別の柱があれば、心強いでしょう。消費行動や社会的なリスクが多様化する中、商品やサービスに比べれば、不動産は中長期的な見通しが立てやすいと言えます。

自社の安定経営を果たしていく上で、不動産をいかに扱うか。中長期的な視点で検討していくことが、今求められる「企業価値」の向上につながります。自社の保有する不動産をどう活用してよいか分からない、売却以外の選択肢を検討したい、不動産を活かして長期的な経営戦略を検討したいという場合はりそな銀行にご相談ください。

※1 サッポロホールディングス株式会社 長期経営ビジョン『SPEED150』
※2 帝国データバンク「老舗企業」の実態調査(2019年1月8日)
※3 国土交通省「国土交通白書(H26年第2章第2節)」

不動産の有効活用について、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2022年11月10日時点の内容となります。
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