老舗企業が守っている約束とは?

一度事業を興した以上は、自社の事業を永続的に存続させていきたい……と考えるのは当然のことかと思います。では、どのようにすれば息の長い企業になれるのか、これは企業人の命題にして永遠の悩みでもあるといえるでしょう。
そこで参考にしたいのが経営の先達者、いわゆる老舗と呼ばれている企業です。
歴史を重ね、今もなお事業を継続している老舗企業が創業以来守っているルール。企業が長生きするヒントはそこに隠されているのかもしれません。
老舗企業の多くに共通する、いくつかのルールをご紹介していきます。

譲れない「こだわり」を持ち続ける

「あなたの会社のこだわりは何でしょうか?」という言葉に、即答できるでしょうか。
長く商売を継続している老舗企業の多くが、拠って立つ芯のような何かを持っています。それはこだわり、社是、企業理念、あるいは創業の志と言い換えられるかもしれません。
一見、精神的な教えのようにも感じますが、そういうものではありません。企業としての行動指針であり、社会への立場表明といった側面も持ち合わせるものです。確固とした指針があるからこそ、時代の変化に対する「自社の商売を柱とした着眼点」を得ることができ、その時代の流行に応じた商売の工夫を考えることが可能となります。

お客さまの信頼を積み重ね、裏切らない

老舗企業の多くが、「お客さまに満足してもらうこと」を信条のひとつとして掲げています。
お客さまは満足の度合いに応じて、企業に対する信頼と信用の度合いを高めていくものですが、満足度を高水準で満たすためにはその時どきの顧客ニーズを読み、適切な商品・サービスを提供することが不可欠です。信用と信頼を積み上げていれば、いわゆる「お客さまの声」として顧客ニーズが伝えられ、そのニーズに応えることでさらに信頼が上がる……という好循環が生じます。事業を長期間継続していくということは、この好循環の輪を絶やさず構築し続けるということになります。
商売とは商品・サービスありきで考えてしまいがちかもしれませんが、古くから生き残っている企業の商売は、まずお客さまありき。現代でも顧客満足度は商売をする上での重要な指標で、これを満たすことを古くから実践し続けてきた結果、老舗企業として現代まで事業継続ができているのではないでしょうか。

伝統は日々作っていくもの

「伝統」という言葉も、老舗企業の多くが掲げているイメージがあります。
しかし老舗企業の「伝統」の意図を読んでいくと、伝統は作るものであり、根幹とする信条の部分は堅持しつつ、時代に合わせて自らも変化していくことを是とする記述が多く見られます。
つまり、理念に沿って、時代に合わせて対応してきた歴史こそが老舗の伝統であり、現在進行形で作られ続けていくもの、ということですね。

江戸時代から続く「約束」の例

「こだわり」、「信頼」、「伝統」という老舗の守っているルールとは、すなわちお客さまへの約束を守り続けることと言えるかもしれません。東京の老舗企業への調査をまとめた東京商工会議所の報告書(※1)でも、ここまで挙げている3つのルールが、多くの老舗企業が掲げる理念に含まれていることがわかります。

創業から300年を越えて鰹節などを製造・販売する、株式会社にんべんでは、「ブランドプロミス」として、お客さまへの約束を公開しています。

本物の鰹節を作り続けたいという消えることのない情熱で、
「本枯鰹節」の伝統的な製法にこだわり続けてきました。
妥協することのないその姿勢は創業以来、変わることはありません。

株式会社にんべん 「にんべんとは」

この言葉からは「こだわり」が感じられます。

にんべんはいつもお客様のそばにありたい。
商品はもちろんのこと日本の食文化を伝承し、
食卓と家族の温もりをつなげていく。
その役割を担っていることを心に刻み、歩み続けていきます。

株式会社にんべん 「にんべんとは」

お客さまの「信頼」に応え続けていく姿勢がうかがえます。

三百年以上の歴史の中で伝統を紡いできた鰹節づくりという原点と、
常に新しいものを創り出してきた先人たちの心意気に誇りを持って。
私たちは時代に合った新しい感覚で
今あるものを一歩先へと進化させてまいります。

株式会社にんべん 「にんべんとは」

そしてこちらからは「伝統」に従い前へと進み続けていくメッセージを読み取ることができます。「こだわり」「信頼」「伝統」の3要素が含まれた、老舗企業がお客さまへの約束として守っていくべきルールの姿を、ここに見ることができるのではないでしょうか。

「老舗」とは「積み重ね」

老舗と呼ばれる企業にとっては、伝統として経営理念を守り貫くことは特別なことではなく当たり前のこと。時代に合わせてその姿を変えていくことと矛盾するものではありません。理念やこだわりを不変のものとして根幹と据え、その枝葉を時代に合わせた商売として不断の努力で更新し続ける、大樹のような経営のあり方と言えるのではないでしょうか。
これはSDGsにも掲げられる持続可能な経済活動に通じるところがあり、先人たちは古くから自然と体現してきたともいえるでしょう。私たちも持続可能な経済を実現できるよう、「不変のもの」と「常に変化すること」を意識し続けたいものですね。

※1 東京商工会議所「老舗企業の生きる知恵」

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2022年4月4日時点の内容となります。
上記記事は、将来的に更新される可能性がございます。
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