企業の採用活動において思うような人材を獲得できていない、あるいは採用した人材が期待通りの成果を出していないと感じることはないでしょうか。もしかすると採用基準や選考基準のあいまいさが一因かもしれません。
選考は複数の人間が関与するため、誰でも同じ判断や評価ができるように基準を明確化すべきです。入社後の企業・求職者双方のミスマッチを防ぎ、最適な人材を見極める方法について考えてみましょう。
業務を「因数分解」してイメージ化
判断基準の明確化に必要なのは、募集する業務や必要な人材について、企業と求職者の間で同じイメージを共有すること。そのためには「業務の因数分解」が役立ちます。営業職を例に説明しましょう。
一言で営業と言っても、企業の業種や規模によって内容は異なりますし、思い浮かべる姿も人によりさまざまです。情報共有のフレームワークとしておなじみの5W1Hを使い、自社が募集する営業職とはどのような仕事で、どういったスキルが望ましいのかを明らかにします。
- Why(なぜ売るのか)
理由ではなく「自社にとって営業はどのような存在か」を考えるとよいでしょう。「ノルマがきつい」「ひたすら頭を下げる」イメージで語られる時代もありましたが、現代では会社の顔とも言える存在であり、直接顧客から感謝を伝えられる仕事と認識されています。
- What(何を売るのか)
自動車や食品などの有形商材ならば商品知識に精通し、さまざまな角度から説明できるコミュニケーション能力に期待。一方、ITやコンサルなど無形商材の場合、顧客の希望を聞き出す質問力や傾聴力が求められます。
- Who(誰に売るのか)
どういった顧客をターゲットにするのか確認しましょう。企業なのか個人なのかで営業スタイルは大きく異なりますし、個人であれば性別や年齢層などの違いで、戦略も変わってくるでしょう。
- Where(どこで売るのか)
全国展開している企業なら、どこで働くかも大事な要件の一つ。海外勤務の場合は多様な価値観や異なる文化に対して柔軟なマインドで接することができるでしょうか。
- When(いつ売るか)
Whoの場合と同様、顧客が企業か個人かにより対応するタイミングはさまざま。個人向けなら週末の営業が中心になる場合も多いでしょう。
- How(どうやって売るか)
常に新規開拓を担うのか、既存顧客との関係を深めてリピート受注を狙うのかで手法は異なります。
もちろん営業職以外でも「因数分解」は活用できます。
例えば人事なら、採用や労務管理、研修など会社の人事政策全体を担い、いかに生産性を高める組織を生み出すかという目的意識が求められるでしょう(Why)。
採用業務ではいつまでに求人内容を固め、いつ試験を行うかなど年単位で効率よくスケジュールを管理できる能力が欠かせません(When)。
人事戦略構築には経営戦略を念頭に置いた上で社内各部署との意思疎通が必須ですし、採用計画は自社の状況を理解して立案します(What、How)。
望む人材の基準明確化を
採用の本質は「募集するポジションで活躍する人を獲得する」ことですから、「どのような人が欲しいか」を明らかにすることは必須です。求めるスキルやマインドはもちろん、自社のカルチャーや働き方にマッチすることも必要なので、業務のイメージや採用条件の明確化は、いわば採用活動の土台となるものです。
採用活動でこれらが不十分と感じたならば、専門家の助言も受けながら求人内容や採用基準を今一度見直してみることをお勧めします。
人材戦略について、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。