社員のやる気を高めたいなら年金制度を導入すべき!?

経営者や企業幹部の方ならば、社員のモチベーションを上げる方法があるなら、どんどん取り入れたい!と思うのは当然かと思います。そして、その手法の1つに企業年金制度があることをすでにご存じの方も多いのではないでしょうか。しかし、「本当にウチの会社でも効果があるの?」または「企業年金と社員のモチベーションの関係がイマイチよく分からない」などの理由から、導入に踏み切れずにいる方もいらっしゃるかもしれません。

企業年金は、退職金の代わりに積み立てるだけのものではなく、正しい手順で導入すれば、社員のみならず企業にとっても大変魅力的な制度となり、様々な副次的効果をもたらします。過去に企業年金を新規導入し、社員のモチベーションアップを果たした事例から、成功のポイントをご紹介します。

実際に貴社で導入した場合をイメージして、参考にしてみてください。

1. 導入事例

◆導入の背景・目的

食品製造販売業を営むA社では、一時期、退職金制度を保有していましたが、経営上の理由から約20年前に制度そのものを廃止しました。一方で、人材定着率を高めるために新たな仕組みの導入も模索していました。
A社では、短期雇用の契約社員が全体の約4割を占めています。熟練の技術を持っている契約社員でも、雇用が不安定なため退職されることもありました。人材不足の昨今では、新規での採用が難しくなっています。そこでA社は正社員だけでなく、有期雇用の契約社員も、より長く働きたいと思えるような環境づくりを通じて雇用の安定化を図ることを目指していました。このような背景から、IPOや人材確保も視野に入れ、企業型確定拠出年金(DC)制度導入の検討に踏み切りました。

◆導入プラン

企業型確定拠出年金(DC)の導入にあたり、以下のポイントで導入プランが策定されました。

  • 全員一律の会社負担掛金に加え、本人意向で給与の一部を掛金に充当することができる(老後資産に積み立てる)給与選択型制度を導入する。
  • 対象者を正社員のほか、嘱託・準社員、有期雇用の契約社員にも拡大して導入する。

◆導入時

導入時は契約社員も含めた全社員を対象に、半年間をかけて説明会を開催し、企業型確定拠出年金(DC)制度への理解促進に努めました。

◆導入効果

企業型確定拠出年金(DC)制度導入の結果、給与から掛金への充当を選択した人の割合が、契約社員も含めて加入者全体の5割超に達しました。加入者は投資信託等で積極的に掛金運用を実施しています。制度導入の結果、社員全体の士気向上が促進され、社員定着率も高まるなど、導入検討時に掲げた目的を達成できました。また、契約社員から社長・役員宛に直接感謝の言葉が届く、嬉しい出来事もありました。

2. 企業型確定拠出年金(DC)導入が社員のモチベーション向上に寄与するポイント

企業型確定拠出年金(DC)導入で得られる効果の1つが、社員のモチベーション向上です。具体的にどうモチベーション向上に結びつくのか、ポイント別に解説します。

◆老後資金確保の制度を会社が準備してくれている点

現在は、少子高齢化や年金支給年齢引き上げなどの影響もあり、退職後の快適な生活維持を目指して、自助努力で老後の資産を増やすことに関心を持つ人々も増えています。
そこで、会社が企業型確定拠出年金(DC)を導入し、老後資金確保の制度を整備すると、社員も老後への安心材料が得られます。会社が老後資産の原資を提供し、退職後の社員の生活を守る姿勢を示すことで、「会社は私たち社員の将来を考えてくれている」と感じることができ、仕事に対するモチベーションや会社への満足度の向上につながります。

◆投資教育を通じて金融リテラシーが醸成される点

企業型確定拠出年金(DC)導入は、社員の金融リテラシー醸成という効果ももたらします。
企業型確定拠出年金(DC)は、加入者である社員が運用を指図する仕組みのため、自ずと運用知識が必要になります。それまで老後の資金づくりや年金については受け身だった社員でも、社員向けの投資教育や年2回の運用状況を確認するモニタリングの機会を通じて、積極的に資産運用に関わるようになります。
企業型確定拠出年金(DC)導入は、社員が金融や投資、経済にかかわる知識・情報を身につける良い機会となるでしょう。

◆人事評価に基づき掛金を増額させる運用が可能である点

企業型確定拠出年金(DC)を活用する方法として、加入者全員に一律の定額掛金を設定する「定額方式」を採用するほか、人事評価に基づいて掛金を増額させる「給与比例方式」を採用することも可能です。
給与比例方式では、給与額や等級、勤続年数に応じて掛金を増額するよう設定できるほか、資格取得や社内資格、業績等に応じて設定するポイント制を導入するなど、掛金の柔軟な設定が可能です。
職場での評価が高まれば昇進や昇給につながり、年金の掛金も増加するため、社員の仕事や自己研鑽へのモチベーション向上も期待できます。


働き方の多様化や事業の特性上、短期雇用や契約社員が増えてしまう企業は少なくありません。しかし、本音を言えば、正規・非正規を問わず、仕事を覚えてくれた方や優秀な方には長く勤めてほしいものではないでしょうか。社員の立場からしても、会社の状況は理解しているものの、将来の不安を抱えながら働くことは、持っている力を発揮できる環境とはいえません。企業型確定拠出年金(DC)の導入によって、これらの問題が解決できれば、業績の向上とともに、社員満足度の向上が期待できます。 りそな銀行では、社員の正規・非正規に関わらず導入可能な年金制度の導入プランを用意しております。導入に迷われている方のご相談も常時受け付けておりますので、お気軽にお問合せください。

企業年金について、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。

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上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2022年6月6日時点の内容となります。
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