自社の未来を担うZ世代。どうマネジメントすれば?

「どうも今の若手には響かない」「自社への愛着がイマイチ」――。そんな悩みはありませんか? ベテランの従業員と、生まれた時からSNSがあったような世代とでは、同じやり方は通用しないでしょう。特に、「VUCAの時代」とも呼ばれる予測困難な時代に育ってきた「Z世代」のマネジメントは企業の活力を左右しかねません。どう接すればいいのか、そのヒントを考えます。

「VUCAの時代」を生きるZ世代

コラム「Z世代のこと、理解できていますか?」でも触れていますが、日本におけるZ世代とは1995年後半~2009年に生まれた人とされています。インターネットで情報を発信し、他人と情報を共有する「ソーシャルネイティブ」です。仕事とのバランスではプライベートを重視し、仕事に多大な時間と労力を捧げる働き方を好まない。不安定な時代がデフォルトであるため、スキルアップには意欲的な傾向があります。

Z世代が企業に求めるものとは?

Z世代が企業に求めるものはさまざまですが、さまざまな調査結果から浮かんできた、代表的な3つをご紹介します。

オープンでフラットな社風を好む

株式会社電通の調査(※1)では、Z世代が就職先選びで最も重視するのは「社内の風通しの良さ」(42.4%)でした。「出世競争や上昇志向よりも、オープンでフラットな関係性を大切にする価値観が反映された」と分析されています。硬直化した組織で個人が埋没するのではなく、多様性をベースに個性を尊重する表れとも言えそうです。

同じ目線に立てるのが「理想の上司」

若者向けマーケティング機関「SHIBUYA109 lab.」による調査(※2)では、「理想の上司像」が浮き彫りになっています。トップは「分かりやすい言葉で説明してくれる」(53.3%)、次に「丁寧に教えてくれる」(46.7%)、「気軽に相談しやすい」(45.3%)が続きました。これらは「リーダーシップがある」(27.3%)よりも上位に入りました。強力な指導力よりも、カジュアルに同じ目線に立てるコミュニケーション能力を求めているようです。

ストレスには敏感? 丁寧なサポートを

デロイトトーマツグループの調査(※3)によると、Z世代はその1つ前の「ミレニアル世代」よりも2年以内の離職傾向が高く、雇用主の身体・メンタルヘルス面でのサポートを意識している傾向がありました。調査ではコロナ禍に言及した上で、従業員の不安やストレスを丁寧にケアすべきだと指摘。本人が安心して伝えられる環境をつくり、ウェルビーイング(満たされた状態)を支えるようアドバイスしています。

組織に個人を合わせるマネジメントから脱却を

これらを踏まえ、経営者として具体的にどのようにマネジメントすればよいでしょうか。

個性を尊重し、丁寧に接する

世代が違えば価値観も常識も異なります。世代間ギャップでギクシャクすることがあっても、ひと呼吸置いて「これも1つの個性」「多様性は強みだ」ととらえてみませんか?

その上で、できるだけ同じ目線に立って傾聴しましょう。すれ違いを放置すればストレスが増し、離職やパフォーマンス低下といったリスクにつながります。「Z世代だから」とひとくくりにせず、丁寧に、一人ひとりに寄り添う姿勢が大切です。

人生トータルでの成長と充実を後押し

「仕事だけが人生だ」という価値観は、Z世代には受け入れられない可能性が高いでしょう。「仕事を通じて人生を豊かに」という意識で接してみてはいかがでしょうか? 勤務時間外の安易な連絡を自重するのはもちろん、プライベートを侵さないよう注意しつつ、人生で何を重視するかをじっくり把握する。その上で、仕事を通じて実現できることや、成長ややりがいを実感できる方法を考えてみましょう。それによりミスマッチのリスクとストレスを減らしたり、自社への帰属意識が向上したりするはずです。

例えば、各個人の考えや価値観に合った「オーダーメイド型」の育成を検討するのはいかがでしょうか。組織に個人を合わせるような効率重視の管理を脱却し、個人に合わせたサポートを心掛けて意欲と能力を引き出すことで、エンゲージメントとモチベーションの向上を目指したいところです。それはやがて、定着率の向上や社内活性化、不確実性の高い時代に事業を継続する推進力になるでしょう。

(※1)株式会社電通「Z世代就活生 まるわかり調査2022」(2022年9月29日)
(※2)㈱SHIBUYA109エンタテイメント SHIBUYA109 lab.「Z世代の仕事に関する意識調査」(2023年2月22日)
(※3)デロイト トーマツグループ ニュースリリース「デロイト トーマツ、日本と海外のミレニアル・Z世代の意識調査の結果を発表」(2021年7月14日)

課題解決の考え方について、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2023年9月14日時点の内容となります。
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