社員のSNS運用、ここがあぶない!

スマートフォンの普及に伴いSNSの利用者数は年々増加し、誰もが利用するようになりました。気軽につながれるプラットフォームとして個人で利用できるだけでなく、これをビジネスチャンスと捉え、多くの企業も自社アカウントを作成し、積極的に運用することが今では当たり前となっています。

一方で、社員はプライベートの個人アカウントでも自主的に自社の宣伝・プロモーションを行ったり、仕事内容について発信するケースも少なくありません。これには良い面もありますが、SNSは簡単に多くの人にリーチできるツールであると同時に、運用していく上でのトラブルも数多く発生しています。その代表的なものは「炎上」と呼ばれる投稿内容の批判的な拡散です。

組織レベルと個人レベル、それぞれでSNSを利用する上でのリスクを把握し、きちんと管理することが重要です。

「炎上」にも段階がある

そもそもSNSにおける「炎上」の定義はどのようにされているのでしょう?

総務省によると、

「炎上」とは、「ウェブ上の特定の対象に対して批判が殺到し、収まりがつかなさそうな状態」「特定の話題に関する議論の盛り上がり方が尋常ではなく、多くのブログや掲示板などでバッシングが行われる」状態である。

総務省「令和元年版 情報通信白書のポイント」より

とあります。

対義語として「バズる」がありますが、これは炎上と同じように多くの人の目に触れ認知を得られることは同様であるものの、ポジティブな意味での拡散を意味しています。

炎上の経過を見ていくと、大きく3つの段階に分けられます。

  1. ブログやSNSなどで投稿したコメント欄に批判的な内容が多く寄せられる。
  2. それが個人レベルで拡散され、さらに注目が集まり、批判が殺到する。
  3. 大手メディアで紹介され、投稿したSNSだけでなく、企業であれば会社のホームページなどの別の媒体にも抗議のメッセージや電話があったり、警察やプラットフォーム側へ通報されるなど、収拾がつかなくなる

このように、一度拡散が始まると手がつけられなくなるのがSNS運用で気をつけなければならない部分です。しかし、使い方によっては有益であることも事実であるため、炎上しないよう事前の予防策を取らねばなりません。では、企業の炎上への対策には、どのようなものがあるでしょうか?企業レベルと個人レベルで過去の実例を元にした対策を見ていきましょう。

炎上の対策とは?

◆企業の炎上例とその対策:運用ルール・ガイドラインの策定

企業が自社商品やサービスのPRを目的として行った投稿が炎上してしまい、投稿を削除するだけにとどまらず、公式に謝罪コメントを発表する例は多数存在しています。また、謝罪の内容によってさらに炎上してしまうというケースもあります。

SNSは広く世の中に向けて発信されるものです。担当者が問題ないと思っていても他の人から見ると不快な内容となってしまうことが無いように、事前に投稿する内容のルールを定めておく必要があります。

主に企業が発信すべきでない内容は以下が考えられます。

  1. 政治・宗教など思想の違いに関する内容
  2. スキャンダルなど特定の個人の不祥事やうわさに関する内容
  3. フェイクニュースなど信憑性のない内容

その他に、普段なら問題のない内容でも、災害やテロなどが発生した場合には明るい内容の投稿には注意が必要です。

このようなルールの策定をすることで、炎上を防ぐ以外にも投稿内容のクオリティを担保するという効果も得られます。
そして、定めたルールに沿った内容であるかどうか担当者一人で判断せず、複数人による十分なチェック体制を作りましょう。

◆個人の炎上例とその対策:社員の研修や教育プログラムの策定

とある飲食店のスタッフが、勤務時間中の不適切な行動を撮影し、非公開のプライベートなSNS上に投稿。それを見た人が、公開されたSNS上に投稿したことで拡散されてしまい、大手メディアにも報道され、飲食店側が謝罪する事態に発展しました。撮影したスタッフは「非公開設定にしていたのでバレないと思った」と話していたようです。

同様に「アカウント名が本名ではないから」という理由で、職場の人間関係の愚痴やお客さまへの不満を投稿し、プロフィールや過去の投稿内容から所属している組織や人物が特定されるケースも見受けられます。

対策として、社員のモラルの育成はもちろんですが、SNSによるリスクなどについて、社員一人ひとりの理解が重要です。個人のアカウントはプライベートな部分ですので会社側で介入できるものにも限界があります。しかし、個人の良心だけに頼らず、業界に合った事例の共有や役職ごとに研修内容を変えるなど、企業側で体制を整え、社員教育を徹底する必要があります。

炎上してしまった時に備える

社員がSNS運用で十分気をつけていても、思わぬところで炎上してしまう場合もあるかもしれません。炎上が大きくなって拡散が広がる前に早期発見するサービスや、製品の不具合などで外部の投稿から炎上してしまった時などにも利用できる保険やサービスもありますので、万が一に備えて加入を検討するのもいいでしょう。

社員一人ひとりの理解を得ることが重要

SNSでの炎上に関する代表的な事例とそこから学べる対策についてご紹介しました。SNSをうまく活用している企業が定めているルールやガイドラインでは、利用の禁止や抑圧するものではなく、むしろ積極的に活用していくための指針となっていることが多いようです。しっかりした運用指針の元で、アカウントを全社員に解放したことで大きくフォロワー数を伸ばした事例や、担当者に大きな自由と権限を与えたことで成功しているケースもあります。
社員全員のSNS文化の理解と、自社への帰属意識の育成が企業の利益と信用を守ることにつながると心得ましょう。

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2022年4月4日時点の内容となります。
上記記事は、将来的に更新される可能性がございます。
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