「エシカル消費」 が これからの消費者のスタンダードになる?

SDGsが企業活動に大きな影響を与えるようになり、消費者の動向も変わってきています。例えば、地元で生産・製造された商品や、売上の一部が原料産地の子どもたちの教育資金に充てられる商品を選ぶなど、購入・消費するという日常生活の中で、地域や世界に対して良い影響のある消費行動をとる人が増えてきました。この新しい消費行動は「エシカル消費」と呼ばれ、ビジネスにも欠かせない観点になりつつあります。

社会の課題解決につながる消費行動「エシカル消費」

「エシカル」とは「倫理的・道徳的」という意味があり、消費者庁の定義(※1)では、地域の活性化や雇用などを含む、人・社会・環境に配慮した消費行動のことをエシカル消費といいます。SDGsのゴールのうち、特にゴール12「つくる責任 つかう責任」に関連する取り組みで、以下の3点を消費者が配慮すべきこととしています。

人・社会への配慮
普段使っている日用品や食料品などが、どのような環境や人々によって作られているかを想像し、より多くの人が持続可能な生活を送れるような商品を選択すること

地域への配慮
購入時に地元の商品を選択したり、地元の商店を利用することで、地域産業の持続可能性を支えること

環境への配慮
大量生産・大量消費・大量廃棄の暮らしが地球環境へ悪影響を与えていることを理解し、行動を見直すこと

上記のような地球環境や地域・世界の経済などが持つ課題に想像力を働かせて、自分たちの日常的な行動で何ができるかを考えてみることが、エシカル消費への第一歩になります。

エシカル消費への社会の関心は高まっている

消費者庁が実施した「エシカル消費に関する消費者意識調査(2019年度)」(※2)によると、2016年度の調査と比較してエシカル消費に対して関心を持つ人々が大幅に増加していることが分かりました。

「エシカル商品・サービス」の購入状況、購入意向の質問には、80%以上の消費者がエシカル商品の購入経験がある、あるいは今後購入する意思があると回答しています。中でも食料品分野では積極的にエシカル商品を選択する傾向があり、10%程度であれば価格に転嫁されても許容できるという結果が出ました。
さらに、エシカル商品・サービスを提供する企業に対して「企業イメージが向上する」と考える人々が約80%存在することも分かっています。エシカル消費を意識した事業展開は企業ブランド力を高めるだけでなく、ビジネスチャンスにもなり得るでしょう。

エシカル商品購入状況・購入意向 今後購入の意思あり81.2%(これまで購入したことがあり、今後も購入したい35.5% これまで購入したことはないが今後は購入したい45.7%) これまで購入したことはあるが、今後は購入したくない4.2% これまで購入したことはなく、今後も購入したいと思わない14.6%
出典:消費者庁「令和元年度エシカル消費に関する消費者意識調査報告書」P25をもとにりそな銀行が作成
エシカル商品・サービスの提供が企業イメージの向上に繋がると思うか 企業イメージが向上するとの考え79.5%(そう思う16.8% どちらかというとそう思う62.7%) どちらかというとそう思わない15.4% そう思わない5.1%
出典:消費者庁「令和元年度エシカル消費に関する消費者意識調査報告書」P42をもとにりそな銀行が作成

エシカル消費に関する認証マーク

エシカル消費に繋がる取り組みが認められた商品には、認証マーク(サステナブル・ラベル)が付いているものが多くあります。エコマーク、有機JASマークなどは皆さんも目にしたことがあるのではないでしょうか。
上記の調査でも、約半数の消費者が「認証マークがある商品を選択する」と回答しています。つまり、エシカル消費に繋がる商品だと分かる表示があった場合、表示のない製品と比較した上で選択・購入しているということ。「エシカル」は、消費者に選ばれる要素の一つとして成長しているのです。

認証マークの例

様々な製品およびサービスの中で、「生産」から「廃棄」にわたるライフサイクル全体を通して環境への負荷が少なく、環境保全に役立つと認められた商品につけられる環境ラベル。このマークを見て消費者が環境を意識した商品選択を行ったり、関係企業が環境改善に取り組むことにより、持続可能な社会の形成を図る。

国際フェアトレード認証ラベルは、製品の原料が生産され、輸出入、加工、製造されるまでの間に、国際フェアトレードラベル機構が定めた基準が守られていることを示しています。

GOTS認証ラベル(英語サイト)

Global Organic Textile Standard(GOTS)。オーガニック繊維製品の基準と認証マーク。有機栽培(飼育)の原料を使用し、環境と社会に配慮した方法で製品をつくるための厳しい基準をクリアしたことを示しています。

サステナブル・ラベルについてもっと知りたい方はこちらのウェブサイトもご覧ください。
一般社団法人 日本サステナブル・ラベル協会(JSL)

このように消費者は、日々の生活の細かなところからエシカル消費に接しています。企業にとっても、「エシカル」が今後の事業展開において意識すべきキーワードになってきたことは間違いありません。
創業時から商品やサービスのラインナップが変わらず、リニューアルもできていない、という場合は、これを機にエシカル消費への対応や認証マークの取得を検討されてはいかがでしょうか。エシカル消費に興味があるが、事業にどのように活かせばよいか分からない、SDGs経営について検討したいなどの際は、りそな銀行にご相談ください。

※1 消費者庁「エシカル消費特設サイト」
※2 消費者庁「令和元年度エシカル消費に関する消費者意識調査報告書」

SDGsについて、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。

【該当するSDGs目標】

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2023年12月15日時点の内容となります。
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