SDGsの観点から考える自社の魅力度向上策

SDGsに取り組んだ方が良い、そうは思っても全社を挙げての新たな取り組みは、コストや労力がかかります。時間、資金、人手、どれひとつ取っても、余裕があるとは言い難い企業も多いでしょう。そのため、SDGsへの取り組みに二の足を踏んでいるという声も聞かれます。
しかし、SDGs対応が将来的に訪れるリスクを回避し、なおかつ自社の魅力度向上に貢献する、一石二鳥の策になるかもしれません。

これからの時代にPRすべき企業の魅力

社会・経済から見るSDGs対応

エシカル消費、という言葉を耳にする機会が増えたと感じている方もいるのではないでしょうか。消費者が社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む企業や事業者を応援したりしながら行う消費活動を指しています。

消費者庁の調査(※1)においてもエシカル消費の傾向が年々強くなっているという調査結果が出ています。SDGsへの対応で生み出される商品・サービスは、「自分の選択が社会問題の解決につながる」という新たな付加価値を持ち、その商品を製造・販売する企業はブランド力が高まるでしょう。

大手企業では自らSDGs対応を行うのみならず、サプライヤーに対しても同様にSDGsへの取り組みを求める動きがあります。日本能率協会総合研究所の調査(※2)によると、SDGsを重視する趣旨が調達基本方針やサプライチェーン方針にも明記している企業は約4割、うち1割は取引先のSDGs対応を必須事項として定めています

今後は自社が取引先から対応を求められることも想定すべきであり、新たな取引先開拓のことも考えると、SDGs対応は事業継続に重要な要素と捉えるべきでしょう。

環境への配慮を魅力に転化 サラヤグループのSDGs取り組み

一般家庭から食品衛生や公衆衛生、医療・福祉など幅広い分野で、多くの洗浄・消毒剤などを製造・販売しているサラヤ株式会社。手肌と地球にやさしい「ヤシノミ洗剤」などは、消費者からも好評を得ている定番商品としてよく知られています。

環境資源と原材料生産の両方を持続可能なものとする取り組みにより、2017年に第1回ジャパンSDGsアワードSDGs推進副本部長(外務大臣)賞を受賞しています。
その取り組み内容と、受賞に至るまでの道程はどのようなものだったのでしょうか。

批判から得た環境への気付き

2004年、とあるテレビ番組の取材を受けたサラヤ社は、世間からの批判を浴びることになってしまいました。植物原料の一つであるパーム油の原材生産地である東南アジアのボルネオ島で、パーム油の原材料となるアブラヤシの栽培のための大規模な熱帯雨林の伐採などの環境破壊が問題となっていたのです。

それまで商社を通じてパーム油を購入していたサラヤ社はその状況を知らず、はじめて環境破壊の現実を知ることになりました。

環境保全とパーム油生産の持続を目指して

パーム油は食用需要が85%、残り15%が工業用として利用され、石鹸・洗剤メーカーであるサラヤ社が使用する量は全体から見るとごくわずかです。しかし、テレビを見た視聴者の中には、環境破壊の原因がサラヤ社にあるように誤解した人も少なからずいたようです。その批判をきっかけとして「ボルネオ環境保全プロジェクト」を打ち出したサラヤ社は、2005年にRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議:Roundtable on Sustainable Palm Oil)に日本企業としては初めて参加。分断された熱帯雨林をつなぐ「緑の回廊プロジェクト」などの施策を実施しました。熱帯雨林と生息する野生動物を守りつつ、現地産業であるパーム油生産と、消費者への製品提供も維持する取り組みを続けています。

2010年には日本初となるRSPO認証パーム油を原料として使用した商品の販売を開始し、2019年11月にはすべての自社製品(国内販売)において、RSPO認証を100%取得するまでに至っています。

社会貢献活動の訴求

サラヤのパーム油関連ブランド「ヤシノミ洗剤」や「ハッピーエレファント」などの対象商品の売上の1%は、ボルネオ保全トラスト(BCT)を通じてボルネオ島の環境保全に使われています。これらの取り組みを消費者へ広く周知することによって、「買うことで社会貢献ができる」という付加価値を与えられた商品となり、先に挙げたエシカル消費の対象としても優先的に選ばれるものになっています。SDGsの取り組みを実施することが企業と商品の魅力に結びついた良い実例ではないでしょうか。


今回取り上げた例は、従来行ってきた取り組みがSDGs社会の先駆として花開いたものと言えるでしょう。これからの時代に対応すること自体がビジネスチャンスへとつながった好例でもあります。

SDGsに対応しないままでいると、取引先や消費者から選択されなくなるリスクに繋がりかねません。対応してリスクを回避すれば、商品やサービスだけでなく、自社の魅力も増す可能性があります。

りそな銀行では、SDGsに関する情報発信を行っています。自社でのSDGsへの取り組みについておこまりごとがありましたら、りそな銀行までお気軽にご相談ください。

※1 消費者庁 エシカル消費(倫理的消費)に関する消費者意識調査報告書の概要について
※2 株式会社日本能率協会総合研究所 「ESG時代のサプライチェーンマネジメントに関する自主調査」調査結果

SDGsについて、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。

【該当するSDGs目標】

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2022年6月6日時点の内容となります。
上記記事は、将来的に更新される可能性がございます。
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