2023年5月、GX(グリーン・トランスフォーメーション)推進法が成立。新しい国債の発行が可能になるなど、官民を挙げた投資が進みそうです。2050年のカーボンニュートラル(CN、脱炭素)が各所で謳われ、DXのみならずGXも国の看板政策として定着しつつあります。一方でGXの取り組みは、中小企業にとって遠い存在だと思われているかもしれません。そこで今回は、2023年度に本格的な活動を開始する「GXリーグ」について詳しく見ていきます。
CNに向けた産官学の「GXリーグ」
GXとは、「2050年カーボンニュートラル」などの達成を主眼として、温室効果ガスの排出削減と産業競争力の向上を両立させ、経済社会システム全体を変革すること。そのために産官学で協働する枠組みが「GXリーグ」で、2023年現在ですでに約700社の企業が「賛同」表明をしています。今後の産業界におけるGXの方向やスピード感を決定付ける企業群と言えるでしょう。(※)
主な活動には
- ビジネス機会の創造・共有の場
- 市場ルール形成
- 自主的な排出量取引制度(GX-ETS)
- 参画企業間の交流の場
があります。
GXリーグ参画企業に求められる取り組み
GXリーグ参画企業は、サプライチェーンの上下を問わずCN実現に向けて取り組むことになっています。
自社の排出削減
まずは自社での温室効果ガス排出削減です。自主的に目標を定め、GX-ETSを活用して達成に向けたプレッジ&レビュー(誓約と評価)を行います。これはGXリーグ参画企業自身が直接排出するCO2の排出量削減に関する目標です。後述の取り組みと合わせ、自社の対応を考えましょう。
サプライチェーンでの取り組み
自社だけでなく、サプライチェーンでの取り組みも求められます。必須項目と任意項目の2種類が設けられています。
[必須項目]
2050年CNに向けて積極的に取り組みつつ、サプライチェーンの上流企業へのCNに向けた取り組み支援に加えて、下流の企業や消費者に対しては、商品やサービスを通じた付加価値の提供と、CNに対する意識醸成を行うこと
[任意項目]
サプライチェーンでのCO2排出量について、2030年までの削減目標を掲げ、その目標達成に向けた戦略づくりを行うこと
特に任意項目はサプライチェーン全体を対象とした目標設定であり、かつ2030年という時限も設けられているため、中小企業へも強い影響があるでしょう。2023年度からの本格的な活動開始に伴い、企業のステータスが「賛同」から「参画」へと切り替わる中で、参画企業の動向をよく確認していく必要があります。
グリーン市場創出
グリーン製品(環境に配慮していることを認証された商品)の積極・優先購入等により、市場のグリーン化を目指す取り組みです。中小企業には、グリーン製品の調達・購入による需要創出を図ることが求められています。
グリーン製品の調達・購入、消費市場のグリーン化は、身近な産業でも進んできています。
取り組みの成果報告
GXリーグ参画企業は、自社のサプライチェーンでのCN実現に向けた取り組み状況を発信し、外部に開示する義務があります。この情報開示の基盤として整備されているのが、「GXダッシュボード」です。以下のホームページを参考にしてください。
「来年度から本格稼働する GXリーグにおける排出量取引の考え方について」
「GXダッシュボード情報開示ガイドライン」
今回ご紹介した取り組みの中でも特に、「サプライチェーンでのCN実現に向けた取り組み」は、中堅・中小企業にも大きく影響を及ぼすものです。
GXリーグを推進することは、新たなビジネス市場とそのルールを形成していくことを示唆しています。GXリーグを推進する企業としての立ち位置を確立することで、新しいビジネスチャンスを見出せるのではないでしょうか。
具体的な事例あり!GXリーグで中小企業に実際に求められることについてはこちら
SDGsについて、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。