保有不動産にもSDGsや環境の視点が重要に
企業経営において、「SDGs」、中でも特に「環境」といったキーワードはますます重要性を増しています。過去を振り返ると、2011年の東日本大震災により脱原発、再生エネルギー活用の機運が高まり、2015年に国連で開かれたサミットの中で、世界のリーダーによって国際社会共通の目標「SDGs」が採択されました。
我が国においても2020年、菅義偉総理(当時)は「2050年までに実質的に温室効果ガス排出をゼロにする」との目標を掲げ、今や対策は待ったなしとなっています。
SDGsの要件は多岐にわたりますが、中でも脱炭素は企業にとって重要な項目のひとつとなっています。国内外の大手企業が脱炭素への取り組みを加速しており、そのサプライヤーとなっている企業も対応を迫られているからです。事業そのものの脱炭素ももちろん重要ですが、見逃せないのが保有不動産の脱炭素への取り組みです。
環境不動産の価値は今後高まる
特に近年、環境の観点から見て価値の高い不動産は「環境不動産」と呼ばれており、注目されています。自社の資産を環境不動産化することは、脱炭素などへの取り組みをしているアピールになるほか、不動産としての価値も今後、高まっていくことが予想されます。
上の図は、ESGに配慮した不動産は、そうでない不動産と比べてどの程度賃料に違いがあると考えるか、を投資家に聞いた調査結果です。現在は、賃料に「特に違いはない」とする回答が8割以上を占めますが、10年後には、賃料が高くなると回答した割合がおよそ9割に上ります。
最近注目を集めているひとつに「ZEB」(Net Zero Energy Building)があります。これは、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギー収支をゼロにすることを目指した建物です。省エネ性能と、太陽光による創エネを組み合わせて、正味で100%以上の省エネルギーを実現することが可能になります。
環境不動産のキーワードは多岐にわたります。照明のLED化など高効率設備の導入による省エネ性能強化や、太陽光など再生可能エネルギーを使用する創エネはもちろん、さらには周囲の自然環境に悪影響を与えないこと、断熱性能が高いことなども重要となります。
不動産の環境性能を測るひとつの手法が建築環境総合性能評価システム(CASBEE)です。
詳しくは、「不動産にもSDGsの波到来、「CASBEE」とは?」をご覧ください。
他にも、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)や、DBJ Green building認証(日本政策投資銀行が創設した不動産の評価・認証制度)などがあります。また、国際的には、欧州の年金基金グループが創設した「グローバル不動産サステナビリティ・ベンチマーク(GRESB)」が広く用いられています。
「スクラップ&ビルド」から「ストック建築」へ
こうした流れの中、「スクラップ&ビルド」から「ストック建築」、つまりメンテナンスなどで性能を向上させて、建物を長く活用しようという考えも広まりつつあります。オフィスビルのみならず、2016年にはマンション供給戸数において中古物件が新築物件を初めて上回り、戸建てでもリフォーム需要が高まるなど、不動産業界全般に、この動きは波及しています。当然ながら、建物を長く使用できれば、それだけ廃棄物削減や資源の節約につながり、地球環境には良いということになります。
これまで、不動産はその住環境や耐震性などの使用目的に焦点が当たってきましたが、それに加えて環境への配慮や社会貢献に関与することも求められるようになってきているのです。
まずは自社物件の現状をしっかり把握し、どのように環境配慮や、他のSDGs要件に対応していくかを、じっくり考えてみてはいかがでしょうか? りそな銀行では、不動産売買だけでなく、建設案件や保有不動産の最適な活用手法に関わるコンサルティングも実施しています。まずはお近くの支店にお気軽にご相談ください。
不動産の有効活用について、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。